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山本寛斎氏 デザイナー/イベントプロデューサー【2】

投稿日 : 2015年12月16日

世界的なデザイナーであり、イベントプロデューサーである山本寛斎氏へのインタビュー。第2回は、日本国内で開催するイベントや、海外に向けての情報の発信のあり方などを中心に伺いました。

 

~ 日本人の「心を元気にするもの」を求めて ~

 

???????????????????????????????フォーリン・プレスセンター(以下、FPCJ): 海外でのイベントにとどまらず、日本でも、「太陽の船」(2007年、東京ドーム)や「天灯—SKY LIGHT」(同年、福島県相馬市)など数多くのイベントを手がけられています。日本でイベントを開催する目的は、海外で開催する目的とは違うのでしょうか。

 

山本寛斎氏: 私どもは、日本で開催するイベントに「日本元気プロジェクト」という呼称を使っています。「元気」って、何でしょう。栄養剤で元気をつけようというのもあるし、ジムで体を鍛える元気もある。では、「心を元気にするものはどういうものだろう」と考えました。私どもの「日本元気プロジェクト」は、ショーを見て少しでも元気になってくれればいいな、という思いでやっています。

 

残念なことに、2008年のリーマンショック以来、こうした活動への協賛金が減っているような気がします。以前は一流企業のトップに直筆の手紙を書いて説得する方法も取っていたのですが、それでは追いつかないなと思っています。今は新しい手法で協力してもらえるお金を得ています。

 

FPCJ: 2020年開催の東京五輪に向けて、どんなメッセージを海外に発信していきたいとお考えでしょうか。

 

小_スーパーエネルギー!!山本寛斎氏: 2015年6月に、東京都現代美術館で「スーパーエネルギー!!」を開催しました。今年度も企画を立てていますが、もっともっと発想を変え、今の時代に合ったものにしたいと考えています。「スーパーエネルギー!!」では、人間の持つエネルギーに焦点を当てました。次回も同じ路線でいくのか、目下検討中です。【写真:2015年6月に、東京都現代美術館で開催した「スーパーエネルギー!!」(山本寛斎事務所提供)】

 

毎回、私どものメッセージを打ち出していくのですが、このところ惹かれているのが「屋根」です。京都の二条城で、何が美しいかというと、屋根だと気が付きましてね。その次に魅了されたのが、千葉県・成田山の新勝寺というお寺です。そのほか、大阪の川沿いに市役所など昔からの建物があるのですが、屋根の銅が酸化して緑色になっています。屋根の美学があります。

 

日本のものだけをやりたいとは決して思っていませんが、2020年に向けて打ち出すメッセージを年々強くしていくことで、日本人の自覚や、優れているものをどんどんアピールしたいと思います。実は、次のイベントまでの日々を日記にして出版しようと思っています。何を感じたかということをメモして、それを一冊の本にしたい。寛斎はそんな細かいことを、しつこく毎日考えているのかと、驚くような日記になると思います。

 

~ハロウィンに驚き  日本人は、こんなにまで主張してこなかった~ 

 

FPCJ: 日本の海外への情報発信は不十分だと言われてきましたが、このところ、日本のハロウィンが世界の注目を浴びるなどしています。先日のハロイゥンの様子もずいぶんとニュースになっていましたが、変化の表れでしょうか。

 

山本寛斎氏:ハロウィンがあった週末は、横浜アリーナで音楽と照明を中心とするイベントに出かけていましたが、集まっている若者を見た時に、「今まで、日本人はこんなに着るもので主張していたかな」と思いました。渋谷の様子もテレビで見ましたが、「今までこんなことはなかったぞ」と。日本人は、こんなにまで主張してこなかった。まして、着るものでは。ただ引っかかるのは、2人ペアとか、数人揃えての仮装が多かったことです。欧米のイベントが日本に来たらすっかり変質して、まるでクリスマスみたいになっていますよね。

 

最近、村上春樹さんの 『村上春樹 雑文集』を読みましたが、その中で、おおむね日本人ははみ出さない、横並びの国だ、という印象を書かれています。それに対して、欧米の人たちは個性的であることを尊重する、と。私も基本的にはその通りだと思っています。人より目立たないという、旧態依然とした感覚はありますが、その一方で、ハロウィンのように主張する感覚が勝ってきている状態もあるのではないかと思います。

 

~温度、蚊、そして匂い 若者よ、肌で感じろ!~ 

 

FPCJ: 現代の若者は「内向き」で、留学にも消極的だといわれています。「日本元気プロジェクト」などで、日本の若者とも触れ合う機会が多いと思いますが、これからの日本を担っていく若者に対するメッセージをお願いします。

 

山本寛斎氏: 私の孫は、高校時代にアフリカに行って、ボランティアとして医療介護の手伝いをやっています。行動的ですよね。英語が一番上手で、その次に日本語、そしてその次に中国語がきます。いろいろな若者がいますから、若者をひとくくりにして言うのは危険だと思います。

 

横浜アリーナでは、Exileメンバーたちの舞台を見ました。あの動きは、もともとマイケル・ジャクソンとか、ロサンゼルスのストリートダンスの流れなのですが、今、日本が一番優れているかもしれません。久々にレーザー(照明)を見たのですが、その使い方も上手ですよ。進化し続けている。今の若者をひとくくりで色を塗ってしまうと、まずい。人によってそれぞれ違うのです。

 

一つ言いたいのは、インターネットの情報だけでその場所に行った気分になってしまっていること。これは大きな間違いです。たとえば、温度や、蚊、そして匂い。これは、その地に行かないと絶対わかりません。アマゾンのジャングルに行った時に、そう思いました。若者には「情報を体で見にいけ」と、言いたいですね。

 

実は、かくいう私も野球の試合を見に行ったことがないのです。大相撲も、稽古場には行きましたが、土俵際の席には行ったことがありません。自分では知っているつもりでも、いざ知っているかというと、ラグビーやアイスショーを含めて、見たことがない。「知ったつもり」が多い。大晦日の初詣にも出かけたことがありません。今年は、成田山に行こうと考えています。とにかく、もっと行動的になろうと思っています。

 

第3回につづく】

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山本寛斎氏プロフィール

デザイナー/プロデューサー。1944年生まれ。ファッション・エディターズ・クラブ賞、第7回日本イベント大賞 審査員特別賞、第7回 東京クリエイション大賞 国際賞、グッドデザイン賞、ブルーリボン賞ほか、受賞多数。東京ファッションデザイナー協議会設立幹事、ロシア国際人道救助協力基金海外顧問などを務める。「上を向いて。」(祥伝社、2012年)、「熱き心」(PHP新書、2008年)など著書も多数。

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