【ジャパン・ブリーフ】世界の指導者、イタリアのサミットで温暖化問題など討議

投稿日時 2009-07-15 | カテゴリ: Japan Brief

【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0939】
2009年7月15日


◎世界の指導者、イタリアのサミットで温暖化問題など討議

7月8―10日、イタリア・ラクイラにおいて、サミット(主要国首脳会議)が開催され、日本から麻生総理が出席した。また、サミットにあわせて拡大会合、主要経済国フォーラム(MEF)、アフリカ諸国との会合等が開かれた。

主要国首脳会議(G8)の宣言は、世界全体の温室効果ガスを2050年までに少なくとも50%削減するとの目標の一部として先進国全体として2050年までに温室効果ガスを80%又はそれ以上削減するとの目標を書き込んだ。野心的な目標を掲げることによって、中国やインドなど主要排出国である新興国に世界全体で50%削減という目標に合意させようと意図したものと見られるが、主要経済国フォーラム(MEF)の宣言には、50%削減の文言は含まれなかった。しかし、MEFも2050年の気温の上昇を産業革命以前のレベルに比べ摂氏2度以内に抑えるというG8の目標には異議を唱えなかった。また、中期・長期双方の目標に関し、基準年を1990年に限定しない柔軟性が確保された文言となった。

また、世界経済危機については、G8の首脳宣言は、世界経済の最悪の状態は脱したが、経済は今後ふたたび落ち込むリスクもあると述べた上で、中断状態にあるドーハラウンドを再開し、2010年中の妥結を目指すことで一致した。世界経済危機の中で高まっている保護主義的な傾向に立ち向かおうとするもので、保護主義反対を唱えながら実際には保護主義的な政策を実行している国々を試すことになる。

核軍縮の面では、米露の戦略兵器削減の大枠合意を歓迎した上で、G8が核兵器のない世界の実現に向けて努力することで一致した。

また、麻生太郎総理が、北朝鮮による核・ミサイル発射実験は国連安保理決議の重大な違反であり「G8として断固とした立場で臨むべきだ」と主張したことを受け、首脳宣言には拉致問題とともにこの問題も盛り込まれた。

開発・アフリカに関しては、麻生総理より、責任ある国際的農業投資を促進するための指針が必要である旨訴え、各国の支持を得た。麻生総理は、食糧安全保障に関する拡大会合において、2010―12の3年間で、インフラを含む農業分野で少なくとも30億ドルの支援を行う用意があることを表明した。

◆主要紙論調

日本のメディアでは、G8の役割が依然重要だとしながらも、G8の重要性の相対的な低下と、新興国とりわけ中国の存在感の増大とのコントラストを強調する論調が目立った。各紙は、胡錦濤国家主席が新疆で起こったウイグル族による暴動のために急きょ帰国し、首脳会議を欠席したにもかかわらず、中国がラクイラ・サミットにおける影の主要プレイヤーであったと論じた。

朝日新聞社説(7月10日):「声明はすべての核保有国に対し、もっと核兵器情報を明らかにし、核軍縮を進めるよう求めている。米ロの削減が進んだ段階で、中国、英仏も含めた多国間の核軍縮交渉をめざす意図がこめられているのだろう。すぐ実現しないまでも、G8の指導者たちがこの道筋での協調を確認した意義は大きい」。同(7月11日):「米欧日が合意すれば世界がついてくる時代ではない。イタリア・ラクイラでの主要国首脳会議(G8サミット)は、そんな多極化時代のG8の限界をまざまざと示した」。しかし「為替や金利などの政策協調で実績を上げてきたG8の指導的役割はなくならない。G20はきめ細かい合意を目指すには所帯が大きい」。

毎日新聞(7月11日)社説「温暖化対策」:「残念ながら、今回のG8やMEFからは、日本の温暖化対策の決意や戦略は、まったく伝わってこなかった。しかし、日本もG8の一員として合意した以上、責任がある」。同日社説「サミット」:「しかし、サミットそのものを不要と見るのは早い。主要国が協調しなければ解決できない地球規模の課題は多く、首脳の定例会合はむしろ重要度を増している」。

日本経済新聞社説(7月11日):「G8の『80%以上削減』は新興国を合意に誘うカードだった。今回は合意に導けなかったが、高い目標を掲げたG8の決断を評価したい」、「80%以上の削減は米欧主導で決まった。『欧米を上回る』と政府が自負する中期目標では存在感を示せなかった」。

産経新聞社説(7月10日):「とりわけ北に対する国連制裁の完全履行や日本人拉致問題が首脳宣言に明記されたことは、日本外交の成果として評価したい。一方、先進国が温室効果ガスを今後40年間で80%以上削減するとした目標はあまりに高く、果たして実現可能なのか」。

読売新聞社説(7月10日):「世界景気が年内に回復に転じ、来年にかけてプラス成長に浮上する道筋はなお不透明だ。G8の主導で、中国、インドなどの新興国を含めた連携を強めることがますます重要になる。宣言が『あらゆる行動を取る』と強調したように、政策の手綱を緩めないことが肝要だ。雇用対策の強化を急がねばならない」。
(了)

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