【ジャパン・ブリーフ】国連安保理、対北朝鮮制裁決議案を採択

投稿日時 2009-06-17 | カテゴリ: Japan Brief

【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0934】
2009年6月17日


◎国連安保理、対北朝鮮制裁決議案を採択

国連安全保障理事会は6月12日(現地時間)、5月25日に2回目の核実験を行った北朝鮮に対する追加制裁決議を全会一致で採択した。

採択された決議は、今回の核実験を、北朝鮮による前回の核実験(2006年10月)を受けて採択された安保理決議第1718号に違反するものとして強く非難し、同国に対しさらなる核実験や弾道ミサイル発射を行わないよう求めるとともに、北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査の強化、武器禁輸の対象拡大、核・ミサイル開発につながる資金・資産の移転阻止など、北朝鮮に対する新たな追加制裁措置を盛り込んでいる。北朝鮮の核・ミサイル開発に絡む資金・物資の流れを封じ込めるのがねらいだ。

日本の主要紙報道によれば、焦点となった船舶の貨物検査をめぐっては、日米が国連加盟国への検査実施の義務化を求めたが、中国が慎重な姿勢を崩さず、最終的に、加盟国に対して検査実施を「要請する」との表現となった。しかし、2006年の安保理決議第1718号が様々な制裁措置を盛り込みながらも実効性を持たなかったことへの反省から、今回の決議には、制裁の履行状況を監視する専門家委員会の設置など、制裁の履行徹底に向けた仕組みが盛り込まれた。

麻生太郎首相は13日、「強い内容の安保理決議第1874号が、全会一致で採択されたことを評価する。これは、北朝鮮の核実験に対する国際社会の強い非難と懸念を示すものである。北朝鮮に対し、国際社会の断固たるメッセージを真剣に受け止め、決議を順守するよう求める。また、改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、具体的な行動をとるよう、北朝鮮に強く求める」とのコメントを発表。さらに「我が国としても、安保理決議を実効あらしめるよう、適切な対応を早急に行っていく」と述べ、決議に盛り込まれた船舶の貨物検査を実施するための法整備などを急ぐ考えも示した。

また、日本政府は16日、北朝鮮に対する日本独自の追加制裁措置として、同国への全面禁輸などを閣議決定した。同国からの輸入はすでに全面禁止されている。

◆各紙論調

国連安保理での北朝鮮制裁決議の採択に前後して、日本の主要紙5紙は一斉にこの問題を社説で取り上げた。

朝日新聞社説「対北制裁決議 危機への結束を崩すな」(12日)は、「(決議案作成に向けた)今回の協議で対北政策をめぐる関係国の共通理解は深まった。6者協議が停止した中、この結束をしっかり維持して、今後の対応も緊密に協議していかなければならない」と主張。同紙14日付社説「国連制裁決議 日本がすべき事を冷静に」は、貨物検査の実施に向けた国内法の整備について、「問題は、こうした目的を果たすために現行法をどう使うか、どこまでの新たな法整備が必要なのか、現実的な有効性の面から冷静に検討することだ」と述べる。

毎日新聞社説「北朝鮮制裁決議 実効上げるには結束だ」(12日)は、「問題はこうした追加制裁にいかに実効性をもたせるかである。制裁の履行状況を監視するための専門家委員会の新設はそのためのひとつの方策だが、強制措置をとれない以上、実効を上げるには結局は国際社会が結束して取り組むしかない。特に、強い決議に一貫して慎重姿勢をとっている中国には北朝鮮説得に全力であたってほしい」と主張している。

日本経済新聞社説「対北制裁へ安保理決議の厳格な履行を」(12日)は、「今後重要なのは厳格な履行である。中ロを含めた加盟国は制裁措置を順守し、断固たる対応で北朝鮮の度重なる挑発行為を封じ込める必要がある」、「北朝鮮へのエネルギーや食糧などの主要供給国である中国の行動は特に重要だ。決議案に同意した以上、中国にも着実な履行が求められる。北朝鮮の暴走に歯止めをかけるべく、独自の経済制裁も含めた厳しい態度を示してもらいたい」と述べる。

産経新聞社説「安保理決議合意 実効ある制裁を発動せよ」(12日)は、貨物検査の義務化が見送られたことで「制裁の実効性がどこまで担保されるかに懸念が残る」と述べるとともに、日本の現行国内法では公海上での貨物検査ができない問題について「このような法的不備があっては国際社会の信用を失ってしまう。この状態を直ちに解消すべきだ」と主張している。その上で、制裁の履行状況を監視する専門家機関について、「制裁に及び腰の加盟国には圧力となる」と期待を表明している。

読売新聞社説「北朝鮮制裁決議 中国が実効性のカギを握る」(12日)は、「核兵器保有の既成事実化を狙う北朝鮮には、堅固な包囲網で厳しく対応する必要がある。……(そのためには)なにより、北朝鮮にとって最大の貿易相手国で国境を接する中国の関与が不可欠だ」と強調。「(今回の決議は)より厳しい内容を目指した日米と、慎重な姿勢を崩さなかった中国との妥協の産物ではあるが、制裁の内容は前進した。肝心なのは、着実な履行だ」と論じている。
(了)

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