
【ジャパン・ブリーフ】中国全人代開幕
投稿日時 2009-03-09 | カテゴリ: Japan Brief
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【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0914】 2009年3月9日
◎中国全人代開幕――経済回復策が焦点、成長率8%維持に必死
中国の国会にあたる第11期全国人民代表大会(全人代)第二回会議が、3月5日開幕した。世界経済危機の影響で中国の経済成長が急降下する中での開催である。日本を含め先進国経済には回復のめどが一向に立たず、全人代でも最大の課題となっている中国の景気回復策は、世界経済全体に大きな影響を与えるものとして、世界の注目の的になっている。
米国、日本に次いで世界第3の経済大国である中国は、国内の安定を維持するために、毎年最低8%の経済成長を維持しなければならないとされている。2000万人の新規労働者に毎年職を与えるためには毎年これだけの経済成長が必要だからだ。これ以下の経済成長では、失業者が増えて社会不安が増大し、共産党政権にも脅威となる。今年は中華人民共和国成立の60周年、民主化要求のデモを武力弾圧した天安門事件から20周年にもあたり、北京政府は自らの安定性にも神経質にならざるをえない。すでに国内各地では、市民の不満が高まっている兆候が広がっている。
このため、温家宝首相が全人代で行った政府活動報告における経済政策演説でも、「保八」(8%成長を保つ)がスローガンとなった。演説の中で同首相は、夏の北京オリンピックの輝かしい開催にもかかわらず、四川大地震、チベット暴動、年後半の経済の落ち込みなどで、2008年がすでに困難な一年であったことをまず述べた。首相は、2009年はさらに難しい年になるだろうと予想、だが8%成長を維持するためにあらゆる政策手段を動員する方針を表明した。「中国のように13億人の人口を抱える発展途上国は、雇用を増やし社会の安定を維持するためには一定以上の経済成長が必要だ」と述べた。
GDPの40%を輸出に依存する中国経済は、昨年の夏以降、輸出の急速な減速に見舞われている。2008年10-12月期の経済成長率は、前年同期にくらべ6.8%増に止まり、必要とされる8%を大きく下回った。旧正月(今年は1月26日)前に職を失った農民工(農村地帯からの出稼ぎ労働者)は2000万人に達した。さらに、6月には大学を卒業する新規求職者が600万人いる。
減速する経済を立て直そうと、政府は4兆元(約57兆円)の財政投資に加え、5000億元(約7兆2500億円)の企業向け、個人向け減税を実施する方針である。景気回復が緊急に必要とされているのは中国自身のためだけではない。米国、欧州、日本など先進国経済が同時不況に落ち込んでいる今、世界中が中国の回復に期待をかけているようだ。
同時に、世界各国、特に日本は、中国の軍事支出が急増していることに懸念を表明している。中国の国防予算は過去20年間、毎年二桁の伸びを続けている。2006年の伸び率は対前年比で20.4%、2007年19.3%、2008年19.6%で、今年も14.9%増(4806億8600万元)が見込まれている。しかし、実際には公表された国防予算以外に、多くの軍事支出が宇宙開発、対外援助などの分野に隠れて存在しているものとみられている。増大する軍事支出は、すでに有数の軍事大国である中国の軍事戦略がグローバル規模のものに移行していることの表れであると理解されている。一方でもう一つ目立った動きとして、台湾に対する姿勢が大幅に軟化していることが注目されている。
◆期待と懸念
日本のメディアは、経済を立て直し、必要とされる8%の成長を回復する中国の決意に期待と不安を示した。日本企業は今や日本の最大の貿易相手国である中国の経済に少しでも改善の兆しがないかと目をこらしている。しかし、各紙社説(3月6日、読売新聞は3月7日付)は、中国の現状を見ると、温首相が表明した8%の成長維持という目標を達成することは決して楽観できないことを指摘した。
日本経済新聞と毎日新聞はいずれも社説を「中国の内需拡大に期待」と題した。日経は「すでに国際商品の相場が中国の内需拡大を見込んで反発したり、日本の証券市場で中国の内需に関連の深い企業の株価が上昇したりしている。中国の内需振興策の波及効果への国際的な関心は強い」と指摘。毎日は「世界の景気浮揚のけん引車として中国に期待を寄せているのは米国だけではない。日本の最大の貿易相手である中国の景気回復は、日本経済にも直結する」と書いている。また朝日新聞は「低賃金を生かして欧米や日本にものを輸出して経済を拡大させる。そんなモデルが万能ではなくなったことは中国政府も承知している。暮らし重視へかじが切れるかどうかが問われる」と指摘した。読売新聞は「高成長を支えてきた輸出は、昨秋以降、不振が続いている。主要な相手だった欧米諸国の不況は深刻だ。簡単に輸出が回復する見通しはない。成長戦略の大きな不安定要因だ」と警告した。
主要5紙はこぞって、中国の軍事支出の大幅な増加に強い懸念を表明した。産経新聞は「景気低迷で雇用不安が広がり、社会の安定維持を最優先したといえるが、世界経済が大減速する中で中国の積極策は歓迎されよう。その半面、国防費が前年比15・3%増と21年連続で2ケタ増になったことを懸念する」とし、読売新聞は「大幅な赤字予算の中でも、国防費だけは特別扱いだった。対前年比で14・9%増と、21年間連続の2ケタ増加である。経済成長率をしのぐ伸びとなった説明が見当たらない。中国が『平和的発展』を目指す国であるなら、合理的な説明が必要だ」と主張した。朝日新聞も「国防予算は21年連続2けたの伸びとなった。『聖域』扱いということだろうが、内容は不透明なままだ。これだけが相変わらず一本調子の拡大では、世界は落ち着かない」と同調した。 (了)
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