【ジャパン・ブリーフ】APEC首脳会議、保護主義の回避を決意

投稿日時 2008-11-28 | カテゴリ: Japan Brief

【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0869】

2008年11月27日


◎APEC首脳会議、保護主義の回避を決意し、WTO交渉の年内合意を誓約


11月23-24日、リマで開かれたアジア太平洋協力会議(APEC)の首脳会議は、世界が米国発の金融危機により引き起こされた深まるグローバルな景気後退と闘っている今、断固として保護主義を抑え込む姿勢を明らかにした。保護主義に反対する立場を示すために、中断している世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハラウンド)の大枠合意を年内に達成することを誓約した。

中国、日本、ロシア、米国を含むアジア太平洋地域の21カ国・地域の首脳会議は、金融の安定を達成し、景気後退の拡大を抑えこむために協調することを決めたワシントンでの20カ国(G‐20)緊急首脳会合からわずか1週間後に開かれた。APECサミットは、各国が個別に、そして協調して進める金融安定化とその他の需要喚起策に関するG‐20サミットの決議を全面的に支持した。

日本の麻生太郎首相は、27兆円の景気対策はじめあらゆる政策手段を動員して国内外の景気後退に対応する最善の努力をする方針をあらためて述べた。同首相は、アジアの成長力の強さを指摘し、各国が地域統合の強化に向けて努力するよう呼びかけた。そして、世界銀行と協力して、金融危機の影響を受けた発展途上国の銀行に対する支援を行う新しい基金、貿易の促進のために域内各国が貿易保険で協力しあう「アジア太平洋貿易保険ネットワーク」の設立を提案した。日本は外貨準備から最大1000億ドルを国際通貨基金(IMF)の貸し出し機能強化のために融通する用意があることをすでに表明している。

麻生首相はまた、日本がAPEC首脳会議の議長国を務める2010年の重要性を強調した。1994年のボゴール宣言では、域内先進国が2010年までに貿易・投資の完全自由化を実施することになっているからだ(途上国の目標年は2020年)。議長国がシンガポール、日本、アメリカと続く2009年から2011年までの3年間に域内の貿易自由化が大幅に進展すると期待する向きもある。こうした見通しの中で日本が指導力を発揮するためには、二国間、多国間貿易で自身の自由化をさらに進める必要があるものとみられている。

◆新聞論調は意義を評価

日本のメディアは、APEC首脳会議がグローバルな経済危機と戦うことを決めたG‐20サミットの合意を支持したことの意義を認め、各国政府が必要な政策を具体化し、促進するよう呼びかけた。

日本経済新聞は11月25日の社説で「APEC首脳が金融安定化への強い決意を表明した意義は大きい」と指摘した。同紙は、APEC首脳がWTO貿易交渉の年内大枠合意を誓約することにより、保護主義を抑え込む上でさらに一歩踏み込んだことに特に注目した。そして「APEC首脳会議の合意内容にいかに実効性をもたせていくか」の重要性を強調した。「日本も農業分野の防戦に躍起になるだけでなく、先進国と新興国の調整へ指導力を発揮すべきだろう」と主張した。

産経新聞は11月25日の社説で、APECに経済危機克服へさらに努力するよう求めた。「合意には各国の犠牲と譲歩が欠かせない。……『WTO大枠合意』となれば、景気の下支えに大きな力となる」と指摘した。そして「来月に相次いで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸とした一連の国際会議や日中韓首脳会議などでもこの勢いを継続してほしい」と主張した。

読売新聞の11月25日の社説は「APEC声明 WTO交渉合意の誓約を守れ」と題し、「麻生首相は、ペルーでの記者会見で、『攻めるべきは攻め、守るべきは守り、まとめる方向で努力すべきだ』と強調した。難交渉の決着に向け、日本が果たすべき役割は大きい」と論じた。

(了)




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