【ジャパン・ブリーフ特別号 vol.10/FPCJ】 2011年5月27日
東日本大震災の概況・復興への道(その10)
<概況> 福島第一原子力発電所事故を巡る動き 東京電力は5月18日、福島第一原発敷地内の原子炉建屋地下などにたまった放射線物質を含む汚染水の推定総量が約10万トンに上ることを明らかにした。原子炉の冷却には毎日約500トンの注水を続ける必要があり、汚染水が増え続けることから、東京電力では、汚染水から放射性物質と塩分を除去し原子炉の冷却に再利用する「循環注水冷却」の準備を進めており、6月中旬迄の処理施設の稼働を目指している。
一方、汚染水の海への流出を防ぎ、また復旧作業を円滑に進めるため、東京電力は19日から2、3号機の建屋地下などにたまっている高濃度の汚染水を敷地内の集中廃棄物処理施設に一時的に保管するための移送作業を始めた。その後、移送された汚染水の量が計画容量に近づいたため、移送作業は現在、中断されている。
こうした中、21日、長さ136メートル、幅46メートル、高さ3メートルの巨大な鋼鉄製の人工浮島「メガフロート(大型浮体式構造物)」が福島第一原発に到着した。中が空洞になっており、1万トン程度の汚染水を保管できる容量がある。東京電力では、経済産業省原子力安全・保安院の安全確認を経た上で、これを比較的低濃度の汚染水の一時貯蔵に利用する予定だ。
一方、東京電力は23日、地震発生直後の原子炉のデータを解析した報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。同報告書は、原子炉内の水位が水位計の表示通り一定量維持されていた場合、実際の水位がそれよりも低く核燃料が全て露出していた場合、の二つに分けて核燃料の状況を分析し、それぞれ炉心の一部または大部分が溶解したと評価した。特に実際の水位が低い状態を想定した場合は、2号機は地震発生から101時間後、3号機は同60時間後にそれぞれ燃料の大部分が溶け落ち、原子炉圧力容器の損傷に至ったとしている。但し、東京電力では、現在の圧力容器周りの温度などから、「燃料の大部分は原子炉圧力容器内にあると考えられ、現状では安定的に注水を継続し、十分に冷却できていることから、今後、事象の進展はないと考えられる」としている。
23日には福島第一原発事故の状況や原因を検証するため、国際原子力機関(IAEA)の調査団が来日した。6月2日まで滞在し、政府や東京電力関係者からの事情聴取や現地視察などを行い、同月1日に調査結果概要を日本政府に提出する予定になっている。
<復興への道> 日中韓サミット 中国の温家宝国務院総理と韓国の李明博大統領は、5月21日、日中韓サミットに参加するため相次いで仙台空港に到着し、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県名取市を訪問、献花などを行った。その後両首脳は、菅直人総理とともに、福島第一原発の事故を受けて周辺住民らが避難している福島市内の避難所を訪れ住民を励まし、福島県産のサクランボなども試食した。菅総理は5月22日、温家宝総理および李明博大統領と、東京の迎賓館で会談し、防災及び原子力安全、経済成長、環境と持続可能な開発などの分野で三国間協力を進展させることなどを明記した「日中韓サミット 首脳宣言」を発表した。菅総理はサミット後の共同記者会見で、両首脳の宮城、福島への訪問に感謝しつつ、2人の行動こそが、日本に対する復興支援の最大の効果を上げていると述べた。
22日菅総理は、中国・韓国の両首脳とそれぞれ会談した。日中首脳会談で温総理は、食品の12都県の輸入禁止措置の中から山梨県及び山形県を外す措置や中国からの観光客の回復に向けての措置などをとると表明した。また、日韓首脳会談では、原子力の安全、防災、復興、観光の分野での協力について、今後さらに協力を進めることで一致した。 (了)
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