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ジャパン・ブリーフ:国連安保理、韓国哨戒艦沈没事件に関する議長声明を採択  
【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No.1024】
2010年7月13日


◎国連安保理、韓国哨戒艦沈没事件に関する議長声明を採択

国連の安全保障理事会は、7月9日、今年3月に発生した韓国海軍哨戒艦の沈没事件を巡って公式会合を開き、沈没を引き起こした攻撃を非難するとの議長声明を全会一致で採択した。声明は、北朝鮮を名指しすることは避けつつ、間接的な表現で北朝鮮を非難するものとなった。

◆「北朝鮮名指し」は避けるも、間接的な表現で非難

今年3月26日、朝鮮半島西方の黄海上において韓国海軍の哨戒艦が沈没する事件が発生、乗組員46名が犠牲となった。事件の原因究明に当たった国際軍民合同調査団は今年5月、沈没は北朝鮮製の魚雷による水中爆発によるものと断定、「北朝鮮の小型潜水艦・艇による発射以外に説明がつかない」と結論づけた。これを受け、韓国政府は、先月4日、国連安保理に事件への対応を巡る協議を要請していた。

約1カ月に及ぶ協議の末に今回採択された議長声明には、「沈没の責任は北朝鮮にあると結論づけた軍民合同調査団の調査結果に照らして、安保理として深い懸念を表明する」、「この沈没をもたらした攻撃を非難する」と明記され、北朝鮮を間接的に非難する内容となった。一方で、攻撃の主体を北朝鮮と断定することは避け、事件とは無関係だとする北朝鮮の主張に留意するとも併記された。

主要紙報道によれば、韓国政府及びこれを支持する日米両国は、当初、「議長声明」ではなく、安保理の文書として最も拘束力が強い「決議」の採択を目指し、北朝鮮を名指しする強い非難や北朝鮮による謝罪などを求めていた。しかし、中国やロシアが非難「決議」の採択や北朝鮮を直接的に非難することに最後まで慎重な姿勢を崩さなかった。中国は、名指しの非難決議や非難声明で北朝鮮を追いつめれば暴発する恐れがある、と強く反対したと伝えられている(7月10日付朝日新聞ほか)。

岡田克也外相は9日夜、「議長声明は北朝鮮の攻撃に対する国際社会としての明確なメッセージとなっている」と、議長声明の採択を歓迎する談話を発表した。外相はその中で、「我が国としては、北朝鮮がこの国際社会の一致したメッセージを真剣に受け止め、更に情勢を悪化させるような行為を取らないよう強く求め、引き続き韓国及び米国をはじめとする関係各国と緊密に連携していく」と述べた。

韓国哨戒艦沈没事件を巡っては、先月カナダで行われた主要8カ国首脳会議(G8サミット)の首脳宣言においても、北朝鮮を事実上非難する内容が盛り込まれた。

◆主要紙の論調

全国紙5紙のうち4紙が、この問題を社説で取り上げた。

読売新聞社説「安保理議長声明 北朝鮮への警戒を怠るな」(7月11日)は、「安保理が結束して、これ以上、事態を悪化させる攻撃や敵対行為を阻止する意思を表明したのは歓迎できる」と一定の評価をしつつも、「だれが攻撃したのかという肝心な点が、外交的な駆け引きの末にぼかされてしまった」として声明の内容には不満を表明。その上で、今回の哨戒艦沈没事件が、金正日総書記の健康不安、経済破綻など、北朝鮮の不安定な情勢下で起こったことを指摘し、「核兵器とミサイルを持つ北朝鮮だけに、この先も不測の事態へ警戒を怠ってはならない。まず日米韓の3か国が有事を想定した協議を始める時ではないか」と主張している。

朝日新聞社説「安保理声明 北朝鮮への厳しい視線」(11日)は、「北朝鮮は、名指しで非難されなかったことで高をくくっているようだが、厳しく認識すべきは、自らに向けられた国際社会のきわめて冷たい視線だ。……今回、中国やロシアが直接的な非難に反対したのも、なにも北朝鮮をかばうためではない。緊張を高めては国益にそぐわないからだ」と指摘。経済的苦境の中で金正日総書記の後継体制作りを急ぐ北朝鮮を、「体制を整えたところで、国際社会の支援や協力なしに苦境から脱することなどできまい。今のままでは、袋小路に入り込むだけである」と批判している。

毎日新聞社説「安保理議長声明 『北』の暴挙封じられるか」(10日)は、「(今回の議長声明は)北朝鮮の所業に対する非難と読める点で、先月の主要8カ国(G8)首脳会議の宣言と類似している。しかし事件とは無関係だという北朝鮮の主張に『留意する』といった記述もあり、G8のメンバーではない中国が安保理で粘り抜いた『成果』が歴然としている。……中国は北朝鮮の今後の行動について新たな責務を負ったと見るべきだ。魚雷攻撃に目をつむる形で北朝鮮を意図的に救ったなら、同種の暴挙が決して繰り返されないよう、強い影響力を行使するのが道理というものだろう」と論じ、中国に対して今後の責任ある行動を求めている。

産経新聞社説「対北議長声明 実効なく極めて不十分だ」(11日)は、「46人の犠牲を出した哨戒艦事件は北の不法な軍事攻撃であり、集団安全保障を通じて国際平和と安全の維持を担う安保理に対する重大な挑戦である。にもかかわらず、実効ある決議を実現できなかった中露など常任理事国の責任は厳しくとがめられるべきだ。これで一件落着としてはならない。日米韓に問われるのは、粘り強く安保理の行動を促しつつ、独自制裁や共同行動を通じて北への圧力を高めていくことだ。そのための連携を深めてもらいたい」と主張している。
(了)

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※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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