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ジャパン・ブリーフ

【ジャパン・ブリーフ】政府、2020年度までの新成長戦略を決定  
【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No.1020】
2010年6月22日


◎政府、2020年度までの新成長戦略を決定

日本は2020年度までの今後11年間の平均で、実質年2%、名目年3%を上回る経済成長を見込むことになった。これは6月18日の閣議で決定された新成長戦略で明らかになった。この戦略は菅直人総理が日本再生の一環として掲げる「強い経済」の実現を目指して決まったものである。多岐にわたる政策の中でも特に4つの分野――環境、健康、観光、アジア――において計500万人程度の雇用を創出することを目標にしている。政府はまた、2011年度にもデフレからの脱却をはかることも明記した。

目指す経済成長を実現するための戦略分野は7つである。すなわち(1)環境・エネルギー、(2)健康、(3)アジア、(4)観光・地域活性化、(5)科学・技術・情報通信、(6)雇用・人材、(7)金融。(1)-(4)の4分野で123兆円の需要創出、499万人の新規雇用を見込んでいる。

これら7分野における具体的な数値目標としては次が含まれる。環境関連で50兆円超の市場と140万人の雇用創出、世界で13億トン以上の温暖化ガス削減(日本全体の総排出量に相当)、医療・介護・健康関連サービスで約50兆円の市場と284万人の雇用創出、アジアを中心に官民連携で19.7兆円規模のインフラ輸出、訪日外国人年間3000万人の実現。

具体的な政策手段は約330項目にわたるが、この中から特に経済成長への大きな貢献が期待できる21の政策を「国家戦略プロジェクト」に指定し、優先的に取り組む。これらには「環境未来都市」、「インフラ海外展開」、「幼稚園と保育所の一体化」、「証券・金融・商品の総合取引所の創設」などが含まれる。

日本のテクノロジー水準の向上と競争力の強化策としては、日本が強みを持つ学問分野を結集したリーディング大学院を構築し、成長分野などで世界を牽引する博士人材を養成することにしている。特定分野で世界のトップ50に入る研究・教育拠点を100以上構築する。

経済界からの要求が強い法人税の引き下げについては、法人実効税率を「主要国並みに引き下げる」ことが明記された。引き下げの時期は明示されていないが、現在の約40%から25%程度への引き下げを検討するとされる(6月18日付日本経済新聞夕刊)。

慢性的なデフレからの脱却ももう一つの優先課題である。政府は成長戦略の中で、2011-2012年度ごろをめどにデフレを終結させることを目標に、2011年度中には消費者物価上昇率をプラスに転じさせることを目指すとしている。このプラス転化を達成した後は、物価動向の総合的な指標であるGDP(国内総生産)デフレーターで1%程度の適度で安定的な上昇を目指す。失業率はできるだけ早期に3%台に低下させるとしている。

新聞各紙は、今回の経済成長戦略を成功させるための条件として、①財源が十分に確保されること、②改革や規制緩和に対する既得権益の抵抗を打破すること、③省庁の枠を超えた政策協調に対する官僚組織の消極性を取り除くこと――などを指摘している。

◆主要紙社説論調

主要各紙の社説は、その多くが成長戦略の着実な実行、そのための政府の意思の重要性を強調している。

読売新聞社説(6月21日)の見出し「『絵空事』に終わらせるな」が端的だ。同社説は、「全体の問題として、需要創出など効果の数字は出したのに、必要な財政支出などコストを示していない点を指摘しておきたい。厳しい財政の中、費用をどう工面するのか詰めないと、せっかくのプランも絵空事になる。コストの割に成果が乏しくないかなど、監視の継続も重要である。実施体制のあいまいさも気がかりだ」と述べる。

産経新聞(6月19日)も「何より実行力が問われる」と題した社説を掲載。日本経済を再び成長軌道に乗せるには、企業活動の活性化が何よりも重要だと指摘した上で、「この成長戦略では企業に対する十分な支援策は盛り込まれておらず、需要の創造にどこまで結びつくかは不透明だ」と批判した。

日本経済新聞(6月19日)も「着実な実行にこそ意味がある成長戦略」と題した社説を掲載。「3%超の成長持続は極めて厳しいとしても、盛り込んだ政策を着実に実行してほしい」と述べた上で、新成長戦略について「生産性重視の政策をいくつか盛り込む現実路線をとっている」と評価した。

一方、毎日新聞(6月19日)は、「人材育成を最優先に」と題した社説を掲載。「日本経済の活力を高めるという意味では、人材の育成に最も力を入れるべきだろう。人が変わらない限り、経済も変わらない」と主張した。

朝日新聞は成長の重要性を指摘。6月19日の社説は「名目成長率を2020年度までの年平均で3%に引き上げるとの意欲的な目標」を評価して、次のように論じた。「ここ10年、名目成長がマイナスであることに照らせば目標数値はきわめて高いが、挑戦する意思と指導力を買いたい。菅首相が掲げる『強い経済、強い財政、強い社会保障』を実現するには、何より成長が不可欠である」。

(了)

(Copyright 2010 Foreign Press Center / Japan)

※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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