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ジャパン・ブリーフ

【ジャパン・ブリーフ】オバマ米大統領の東京演説、「アジアに積極関与」を約束  
【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0971】
2009年11月17日


◎オバマ米大統領の東京演説、「アジアに積極関与」を約束

バラク・オバマ米大統領は東京都内で11月14日、米国のアジア外交に関する初の主要演説を行った。この演説でオバマ大統領は、米国を「アジア太平洋国家」と位置づけ、「より活性化した日米同盟を通じ、アジア太平洋地域での米国の指導力の回復をめざす」と述べ、日本や中国との2国間関係強化に加えアジア太平洋経済協力会議(APEC)など多国間地域機構への「より深く広範な関与」によって、地域の繁栄・安全保障確立をめざす方針を表明した。

◆大きく注目された東京演説

オバマ大統領は「核のない世界」を唱えたプラハ演説(4月5日)、イスラム世界との「相互利益と敬意」に基づく関係強化を呼び掛けたカイロ演説(6月4日)で、米国の新外交方針を明らかにしている。それに続く東京での演説は、経済成長めざましいアジア地域への米国の外交方針を示すものとして、強い注目を集めた。3大紙の読売朝日毎日各紙の11月14日夕刊は、「米、アジアに積極関与」(読売朝日両紙)、「米、アジア関与強化」(毎日)との大見出しを掲げた1面トップ記事で大統領演説を報じた。

オバマ大統領は演説冒頭で、日米同盟が「両国の安全保障と繁栄の基盤」であり続けて来たと指摘し、日米両国が共同して地球規模の課題に取り組むとの意欲を表明した。そのうえで大統領は、米国の将来がアジア太平洋地域と密接不可分であることを強調した。

◆演説内容の骨子

大統領演説はアジア太平洋地域への外交施策を網羅的に盛り込んでいた。朝日新聞(14日夕刊)はその骨子を次のように要約している。

・日本はアジア太平洋地域における米国の取り組みの中心的存在であり続ける。
・中国との実務的な協力を追求、米国は中国封じ込めを目指さない。
・東アジアサミットにいっそう正式な形での関与を期待する。
・日米ほど核兵器がもたらす結果を知る国はない。我々は共に核なき世界を追求する。
・北朝鮮に貿易や投資、安全保障を与える用意。日本人拉致被害者の行方がすべて明らかになるまで隣国との完全な関係正常化はありえない。
・米国は太平洋国家として地域での指導力を強化する。

大統領は演説の最後に「太平洋地域出身の初の米国大統領」として、「米国は死活的な重要性をもつこの地域で指導力を強化し、持続させていく」と約束した。

◆全国紙の論調

全国紙5紙はいずれも11月15日、オバマ大統領演説を社説で論評した。

読売新聞は「大統領は演説で、アジアへの関与を強めていく土台は『日米同盟』であることを明確にした。13日の日米首脳会談で、両首脳は同盟の『深化』で合意した。鳩山首相は、きしみをみせ始めた日米関係を再構築するため、指導力を発揮していかねばならない」と総理の責務を強調する。大統領が「中国封じ込めの意図はない」と明言したことに関連して「(大統領は)戦略・経済対話や米中軍事対話も一層拡充する意向だ。訪中するオバマ大統領が中国首脳との会談で、どのような関係強化策を打ち出すか注目される」と米中協議の成果に強い関心を寄せる。

朝日新聞は「ブッシュ政権になって外交の主軸は『テロとの戦い』に移り、アジアでの(米国の)存在感も急速に薄らいだ。イラク戦争や金融危機で、米国の一極パワーは衰えたという見方がアジアにも広がりつつある」と指摘しながらも、「政治、安全保障の面で米国の力はなお圧倒的な優位にあるし、平和や民主主義の重しとしての期待も大きい」、「朝鮮半島の非核化や温暖化対策などを含めて米国が中国と実務的な協力関係を築くことは、地域の安定と繁栄のために欠かせない」と書き、米国のアジア回帰を歓迎する。

毎日新聞は「(大統領は)アジア諸国が米国への製品輸出で成長するという構造の『限界』を指摘し、米国製品をアジアに輸出すれば米国での雇用創出につながるという見解を示した。国益重視が鮮明で、日本を含むアジア諸国にとって極めて重い注文と言うほかはない」と述べ、さらに「米中両国の関係が深まる流れは不可避だが、両国の利害と勢力争いだけで地域の将来を決めるようなことは許されない」と、米国によるアジア関与が新たな問題をもたらす可能性に注意を喚起する。

日本経済新聞は「大統領は保護主義への反対も強調したが、雇用創出と輸出促進が経済運営の柱の一つになるだろう。第2次世界大戦が終わってからずっと対米輸出に依存してきた日本など多くのアジア諸国は、新たな成長戦略を求められる」と書き、「(日本にとって)成長戦略の核になるのはやはり通商の自由化だ。APEC全体の自由貿易圏を目指す作業を着実に進めたい。シンガポールやチリなど自由化で先行している一部のメンバーが独自に具体化した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討する必要もある」と提案する。

産経新聞は「アジア外交にかけるオバマ政権に日本も積極的に呼応し、日米同盟の結束力を高めなければならない」と論じつつも、オバマ大統領が「中国封じ込め」策をとらないと約束したものの「(中国の)急速な軍事力拡大と透明性の欠如には踏み込まなかった。人権や自由の必要性を指摘する一方で、チベット問題には言及していない」と不満視する。
(了)

(Copyright 2009 Foreign Press Center / Japan)

※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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