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タイトルアイコン【ジャパン・ブリーフ】日本初のプルサーマル発電開始(2009-11-13)
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投稿日時: 2009-11-13

【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0968】
2009年11月13日


◎日本初のプルサーマル発電開始

使用済み核燃料から抽出したプルトニウムをウランと混ぜてプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料にし、再び原発で燃やすプルサーマル発電の試運転が、日本で初めて九州電力の玄海原発(佐賀県)で11月5日に始まった。12月2日に商業運転に入る予定。プルサーマル発電は1990年代末に始まる予定だったが、いくつかのトラブルのために当初計画より10年遅れとなった。
(注)プルサーマル=「プルトニウム」と「サーマルリアクター」(軽水炉)を組み合わせた語。

プルサーマル運転の開始にあたり、経済産業省の近藤洋介政務官は5日、記者団に対し「日本の原子力の発展、エネルギーの安定供給にとって意義ある大きな一歩だ」と述べた(11月6日付毎日新聞)。近藤政務官の発言は、二酸化炭素をほとんど排出しない原子力発電を地球温暖化対策の切り札と位置づけている鳩山政権の方針を反映したものだ。鳩山由紀夫総理自身、「プルサーマル計画を含む核燃料サイクル政策を推進したい」と語っている(11月5日付日本経済新聞)。

出力118万キロワットの能力を持つ玄海原発では、通常の核燃料ウランに混入するMOXの比率は安全性を考慮して燃料全体の3分の1を限度としている。MOXに必要な使用済み核燃料の再処理はフランスで行われた。

プルサーマルによってウラニウムの必要量は10-20%節約になる(11月5日付日本経済新聞)。しかし、余分なプルトニウムを持たないという国際公約のため、日本が原子力発電の結果生じるプルトニウムの在庫を減らさなければならないことも、政府がプルサーマル発電推進に熱心な理由の一つである。

四国電力の伊方原発(愛媛県)と中部電力の浜岡原発(静岡県)も2010年度中にはプルサーマルを開始する予定である。電気事業連合会は当初全国各地で16-18基のプルサーマル運転を2010年度までに開始する計画だったが、今年6月その計画を2015年度に遅らせることを決めた。海外ではプルサーマル発電は1963年にベルギーで始まり、フランスや米国などでも行われている。2008年末までに全世界の58基の原子炉で6,350体のMOX燃料が消費された。

日本のエネルギー政策では、原油を中心とする輸入化石燃料への依存を低下させるために原子力エネルギーには大きな期待がかけられており、発電量全体に占める原子力発電の比率を現在の30%からさらに高めようとしている。新政権が温室効果ガス排出削減の高い目標を掲げた今、その重要性は一段と高まっている。こうした政策の流れの中で、政府の究極の目標は、消費した以上の新しい核分裂性物質を生成できる原子炉(高速増殖炉)を利用した核燃料サイクルの確立である。

しかし高速増殖炉計画は1995年に起こったプロトタイプ「もんじゅ」(福井県)における事故以来止まっている。したがって高速増殖炉の商業運転の開始は2050年頃になるとみられ、それまではプルサーマルが過渡的な役割を果たすことになっている。

プルサーマルには解決すべき問題も残っている。プルサーマル発電はウラニウムを節約できるとはいえ、使用済み燃料の直接処理に比べるとコストが高い。さらに、国内(青森県六ヶ所村)に建設中の再処理施設の完成は17回も延期され、建設コストも当初計画の3倍、2兆2000億円に膨れあがっている(11月5日付日本経済新聞)。もう一つの問題は、高レベル放射性廃棄物を埋める最終処分場の場所の決定が宙に浮いていることで、国は約20年間かけて処分地を決めることにしている。

こうした問題はあるものの、民主党政権は原子力発電推進を堅持する考えだ。民主党は2006年、それまで「過渡的エネルギー」としていた原子力を「基幹エネルギー」という位置に格上げした。直嶋正行経済産業相は先月23日、関係自治体首長との会談で「国の原子力政策は民主党政権になったからと言って、大きく変化することはない」と述べ、プルサーマルを含む核燃料サイクル政策の堅持を明言した(11月5日付朝日新聞)。

◆主要紙論調――最も積極的なのは日本経済新聞

主要紙の中でプルサーマル計画を最も積極的に支持しているのは日本経済新聞である。同紙は11月7日の社説で、「エネルギー資源の大半を輸入する日本では、原発の使用済み核燃料を再利用する『核燃料サイクル政策』は避けて通れない」と指摘し、さらに「中国やインドなど新興国の原発建設ラッシュなどで、中長期的にウラン資源の奪い合いも見込まれる」のでプルサーマルの意義は増す一方であると主張した。

読売新聞産経新聞もおおむねこの見解に同調し、読売は11月7日の社説で、「(プルサーマルは)安全を確認しながら着実に推進すべきだ」と論じ、「核拡散を防ぐため、余剰なプルトニウムを保持しないという、安全保障面からも欠かせない政策といえよう」と付け加えた。産経(11月7日社説)は「ベルギーやドイツでは1960年代から実施されているが、大きなトラブルの例はない」と指摘して、プルサーマルに対する反対論を退けた。

対照的にきわめて懐疑的だったのは毎日新聞で、同紙の11月6日の社説は次のように始まっている。「『利点』と『問題点』をはかりにかけると、現時点では圧倒的に問題点が多い。日本が原子力政策の柱としてきた『核燃料サイクル』には、課題が山積している」。朝日新聞も慎重で、11月6日の社説は「プルサーマルでこれら(日本のプルトニウム)の在庫を燃やしていくことは、『余分なプルトニウムをもたない』という日本の国際公約に沿う」と認めつつも、「使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再び使うのか。それとも原発燃料の使用は1回にとどめ、プルトニウムを取り出さずに処分するのか」と問題を提起し、鳩山政権は「この問題で国民の合意点を見いだす努力をしなくてはなるまい」と論じた。
(了)

(Copyright 2009 Foreign Press Center / Japan)

※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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