投稿日時: 2009-10-14【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No.0963】
2009年10月14日
◎北京で日中韓首脳が会談
10月10日、鳩山由紀夫総理は、北京の人民大会堂で中国の温家宝総理、韓国の李明博大統領と会談した。3首脳は鳩山総理が提唱する「東アジア共同体」構想の具体化への協力を確認する「日中韓協力10周年を記念する共同声明」と環境問題を重視しつつ経済発展をめざす「持続可能な開発に関する共同声明」の2つの文書をまとめ、会談後の共同記者会見で発表した。
◆長期目標「東アジア共同体」の発展と地域協力
日中韓サミットは1999年に、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3国の首脳会談が開かれた機会を利用して、別個に3カ国だけの会合をもつ形で始まった。今回の会談はその10周年を記念するものとなった。クリントン元米大統領の北朝鮮訪問(8月)、日本での鳩山内閣発足(9月16日)、中国首脳としては18年ぶりとなる温家宝総理の北朝鮮公式訪問(10月4~6日)など、東アジア情勢が微妙に動きだしたことを背景に、北京での3国首脳会議には格別の注目が寄せられた。
主要紙の報道によると、鳩山総理は会談の冒頭「日米同盟は重要と考えるが、一方でアジアの一国としてアジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」と述べ、「核となるのは(日中韓)3カ国だ」と表明した。この発言に関連して「日中韓協力10周年記念」の声明では「長期的目標として東アジア共同体の発展及び地域協力に引き続きかかわる」と明記した項目が加えられた(10月10日付毎日新聞夕刊)。
◆中心課題となった北朝鮮問題
3国首脳会談でもっとも多くの時間が割かれたのは、東アジア情勢の大きな不安定要因となっている北朝鮮問題をめぐる議論だったと伝えられる。共同声明では「6者会合の早期再開に向け他の関係者と共同で取り組む」ことが採択された。温総理は「北朝鮮側は6者協議に反対しないと言った。米国だけでなく、日本や韓国との関係改善を望んでいる。我々はいまチャンスに直面しているが、チャンスは一瞬にして消えてしまうこともありうる」と述べた(10月11日付朝日新聞)。
これに対し鳩山総理は「日本には核、ミサイルのほかに拉致問題がある。温首相から、日朝間も改善したいという金正日総書記の思いを伝えていただいた。その言葉を信頼したい。米朝の交渉も大いに結構だ。北朝鮮が新しい道への行動を開始することを大いに期待したい」と語った。また李明博大統領は「北朝鮮の6者協議への復帰が目標なのではなく、核問題の完全かつ後戻りできない一括妥結、つまり『グランドバーゲン』構想について(首脳会談で)説明した。韓国とも話をしたいという話が北朝鮮からあったのを歓迎する」と述べた(同紙)。
◆主要紙の論調
全国紙5紙は10月11日、日中韓首脳会談を論評する社説を掲載した。各社説とも鳩山総理がめざす「東アジア共同体」構想を主要テーマに据えた
読売新聞は「日中韓首脳会談で、鳩山首相は『今までややもすると米国に依存し過ぎていた』と述べた」、「首相の意図は、自民党政権下の外交を『米国依存』と印象づけ、政権交代による外交姿勢の変化をアピールしよう、ということなのだろう」と書く。その上で「首相の目指す『東アジア共同体』構想は、外交の重心を米国からアジアに移すもの、と解釈されかねない。日本外交の基本はあくまでも日米同盟基軸である。誤解を招かないよう、首相には繰り返し強調してもらいたい」と強調する。
朝日新聞は「(3国首脳は)『歴史を直視し、未来に向かう』と誓い合った。始まって10年になるこの会議は、日本の政権交代を受けて、相互信頼と対話の新たな段階に入ったと言えるのではないか。鳩山由紀夫首相が掲げている『東アジア共同体』は、共通の長期的な目標として共有することになった。鳩山政権のアジア外交は、歴史問題を抱えてまだぎこちない3国関係のベクトルを、共同体に象徴される未来の方へ向けることから取りかかろうとしている」と、鳩山外交を原則的に支持する。
毎日新聞は「東アジア共同体」構想への賛意を表明しつつも、「日本が反米になったのではないかと神経をとがらせている米国のことも忘れてはならない。思わぬ反発を受けないよう、鳩山流共同体論の全体像を具体的に提示すべきだ」と論じる。そして「中国からは北朝鮮が日朝協議の再開を望んでいるという情報が伝えられた」、「日中韓の首脳が連携を示したことは、北朝鮮へのメッセージになった。鳩山首相は、軍事力より外交力がまさることを今後の実績で示してもらいたい」と要望する。
日経新聞は、3国首脳の共同声明について「格調の高い言葉が並ぶ割に、中身の乏しさは否めない」と述べ、3国間の経済利害対立で具体的な論議がなかったことを指摘しつつ、「基本的な経済問題に関して腹を割って話し合えないようでは、まだ本物の友好関係とは言えまい」と述べる。また北朝鮮問題について「北の核放棄では前進はみられない。中国のエネルギー支援が北の独裁体制を支えている。中国は(北朝鮮の核放棄に)本気なら一層の努力をすべきだ」と主張する。
産経新聞は「首相は欧州連合(EU)型の共同体を描いているとの見方もあるが、その場合には政治・社会体制も異なる中国をどう位置づけるかの説明をすべきだろう。アジア外交で日本が指導力を発揮する前提となるのは同盟を通じた日米の連携と協力があってこそである。首相と外相はこのことを肝に銘じてもらいたい」と結ぶ。
(了)
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