投稿日時: 2009-09-18【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0955】
2009年9月18日
◎鳩山内閣発足
9月16日午後の国会で、民主党の鳩山由紀夫代表が第93代、60人目の内閣総理大臣に指名された。新総理は、その後直ちに官邸に入り、17人の閣僚を発表。同日夜に皇居で行われた天皇陛下による総理親任式、閣僚認証式を経て、民主、社民、国民新の3党による鳩山連立内閣が正式に発足し、野党の衆議院総選挙での単独過半数獲得による政権交代が戦後初めて実現した。
主要紙報道によれば、鳩山新総理は、16日夕、総理官邸で就任後初の記者会見に臨み、「脱官僚依存」の政治を実践する決意を表明。その上で、民主党が衆議院選挙で政権公約に掲げた「子ども手当」やガソリン税などの暫定税率廃止など、家計刺激策に最優先で取り組む考えを示した。これら政策の財源に関しては、徹底した無駄遣い見直しにより「初年度分の7兆円余は十分めどが立つと確信している」と主張。行政の無駄を一掃するため、「行政刷新会議」を直ちに稼働させるとも述べた。一部事業の執行が始まっている09年度補正予算については、徹底的に見直す考えを示す一方、「地方で(事業を)止めて大きな影響が出るものには配慮する」と語った。10年度予算編成については、「(概算要求は)ゼロベースで考え直す」とした上で、年内編成を目指すとした。
9月下旬の国連総会出席時に予定されるオバマ米大統領との会談については、「今回は大統領との信頼関係の醸成が主眼だ。日米間の懸案、安全保障問題は、包括的なレビューに少し時間をかけ、議論していく」と述べた。
同日夜には初閣議が開かれ、予算などの骨格を策定する「国家戦略局」の前身となる「国家戦略室」の設置、政府・与党の意思決定の一元化、事務次官会議の廃止など、政治主導の骨格を定めた「基本方針」が決定された。また、閣議後の閣僚懇談会では、「政・官の在り方」として、政策の立案・調整・決定は、「政」が責任を持って行い、「官」はこれを補佐するとの政官関係が確認された。
◆主要紙論調
17日付全国紙5紙社説は、新政権発足の話題一色となった。多くが、「脱官僚依存政治」実現への期待を示しながらも、外交面での懸念、柔軟かつ早急な予算編成への注文等を述べた。
読売新聞は、新内閣に期待されているのは自民党政治からの転換であるとして、「日本の進路にかかわる基本政策は、継続する冷静な判断が大切」、「民主党は、衆院選の選挙公約に固執してはなるまい」と指摘。内閣の顔触れについては、「手堅い布陣と言えるが、清新さに欠ける」と述べた。その上で、「脱・官僚依存政治」実現の鍵は国家戦略局と行政刷新会議が握るとし、前者には景気回復と財源確保の双方に目配りした舵取りを、後者には「閣僚や関係団体の抵抗を排する強力な政治力」を求めた。また、外交面に関し、インド洋での海上自衛隊の給油活動の何らかの形での継続、日米合意の着実な実施、米中韓露とも連携した北朝鮮への対応等を求めた。
朝日新聞は、有権者が政権交代を喝采で迎えることなく、じっくり見極めようとしている点を指摘した上で、鳩山新総理に対し、「変化」を実感させる強力かつ具体的なメッセージを早期に発信するよう要求。新総理について、自身の置かれた立場を客観視する術としたたかな側面を持っているとした一方、虚偽献金問題での説明の不十分さ、発言の軽さ・危うさに一抹の不安を示した。
毎日新聞は、新内閣について、党内バランスと安定感を重視し、国民に手堅さをアピールした「気配り型人事」と評価した上で、まずは「旧来の行政の悪弊を絶つことが新政権の役目」と述べた。特に、税金の無駄遣い、縦割り行政、前例踏襲主義、政治家・官僚・業界のもたれ合いからの脱却に期待を示し、国家戦略局の設置、事務次官会議廃止、行政刷新会議が果たす役割の重要性を指摘。また、日米密約の検証を含む、情報・資料の公開も政権の責務であると指摘した。
日本経済新聞は、国家戦略室の機能について、官房長官と担当相らの役割分担、緊密な連携が重要とした上で、「新政権にとって2010年度の予算編成が最初の正念場」と指摘。無駄遣いの排除や硬直的予算配分の大胆な見直しに期待する一方、7.1兆円に及ぶ新規施策が国債発行を要する可能性にも触れ、景気動向に配慮した柔軟かつ早期の予算編成を求めた。また、政治主導、政策決定の内閣一元化の実現に関し、それぞれ、各閣僚の力量と、党との間での二重権力構造の排除の重要性を指摘した。対米関係については懸念を示し、良好な日米同盟関係の維持を求めた。
産経新聞は、新内閣について、「政治の流れを変えるという作業に総力で臨む決意を感じ取ることができる」と評価。その上で、新政権には「官僚機構の肥大化や無駄遣いにメスを入れること」が期待されるとし、特にそれらの問題を政策としてまとめ上げる「解決力」が重要と述べた。外交・安全保障政策に関しては、社民党との連立等を念頭に、現実的かつ機動的な対応の実現に懸念を表明。総理自らが指導力・主体性を発揮し、現実路線に徹するよう求め、インド洋での補給活動終了の判断についても再考を促した。また、早急な来年度予算案編成を求めるとともに、政策財源の不透明さ、景気回復と成長戦略の重要性に対する認識の希薄さを指摘した。
(了)
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