投稿日時: 2009-08-20【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No.0947】
2009年8月20日
◎第45回衆議院選挙公示
第45回衆議院議員総選挙が8月18日に公示され、小選挙区(定数300)と全国11ブロックの比例区(同180)の計480議席をめぐり、8月30日の投開票に向けた選挙戦が開始された。立候補を届け出たのは、小選挙区選に1139人、比例代表選に888人(比例選単独235人、小選挙区との重複立候補653人)で、小選挙区選と比例選単独候補を合わせた立候補者数は1374人となった。
前回の05年9月総選挙は、「郵政民営化は改革の本丸」と唱えた小泉純一郎総理(当時)が、自由民主党を圧倒的勝利に導いた。それ以来、自民、公明両党の連立政権は衆院議席の3分の2を超す絶対多数を保持し、小泉氏が自民党総裁任期を終えてからも後継総裁に選ばれた安倍晋三、福田康夫、麻生太郎各氏が総理の座についてきた。4年ぶりとなる今回の総選挙では、自公連立政権の政策とその国民生活への影響をめぐる論争を中心に、与野党の激しい攻防が展開されている。
◆「政権選択」が最大の焦点
1955年に当時の保守2政党(自由党と民主党)の合併で自民党が生まれて以来、自民党はほぼ一貫して政権党の地位を保ってきた。自民党が野党に回ったのは、1993年選挙で衆院第1党になりながら過半数議席を失い、第2党以下が集まっての連立政権が短期間誕生した時だけだった。今回の総選挙は、1955年以降初めて本格的な政権交代が実現する可能性を持つ「政権選択選挙」として、従来の衆院選には見られない大きな注目を浴びている。3大紙と呼ばれる読売、朝日、毎日各紙も総選挙公示を伝える8月18日夕刊の1面トップ記事に、それぞれ「政権選択が焦点」(読売)、「政権継続か交代か」(朝日)、「『政権交代』是非問う」(毎日)という大見出しを掲げた。
マスコミ報道によれば、選挙戦での争点になるのは景気対策、社会保障、外交・安全保障政策、「政と官」のあり方、地方分権など多岐にわたる。自民党は景気回復と成長戦略を重視し、景気回復後の消費税率引き上げを表明し、民主党との違いを明確にしている。外交面では民主党が反対したインド洋での海上自衛隊の給油活動、ソマリア沖での海賊対策の継続を求める。他方で民主党は「税金の無駄遣いを阻止」を前面に掲げ、「子ども手当」支給など目玉政策の財源として16.8兆円を工面できるとしている。また政治主導の政策決定を強化するために政府に100人の国会議員を送り込む方針などを打ち出している(8月18日付読売新聞夕刊)。
◆全国紙の論調
全国紙5紙は通常の長さの2倍の社説を掲げ、衆院選挙に対する社論を展開した。重点テーマは各紙によって異なるが、長期的な観点で日本の将来像を論じようとする点では一致している。
読売新聞社説(19日)は、連立与党(自民党、公明党)の重点政策と野党3党(民主党、社民党、国民新党)の共通政策について、内政面での公約実施に不透明さが残ることを批判しつつ、後半部分で野党側の外交・安全保障政策を批判する。「野党3党の共通政策は外交・安保政策に言及していない。社民党が自衛隊の海外派遣に反対するなど、各党の立場に大きな隔たりがあるためだが、難題を衆院選後に先送りしたにすぎない。国家の基本にかかわる問題をあいまいにしたまま、連立政権を組んだ場合、責任ある外交を展開し、日本の国益を守れるのか」と疑問を呈する。
朝日新聞社説(18日)は、「真正面から『政権交代』の是非を問う、歴史的な衆院総選挙がきょう公示される」と書き出し、最後の部分で次のように訴える。「政権党は日々の政治の中で自らの理念や存在理由を問い直し、政策を実現させていく。敗者は野党に徹し、『政権準備党』として次の総選挙に向けて自らを鍛え直すことがあくまで原則である」、「政権交代がごく普通に繰り返される『2009年体制』の政治。30日の投票日、民意の力で新しい民主主義のページをめくりたい」。
毎日新聞社説(18日)は、主に外交問題を取りあげ「日本の政治家や官僚が米国の顔色をうかがう傾向は昔から指摘されてきた。だが、『対米追従』の実態とは何だろう。米国が有無を言わせず日本を従わせているのではなく、むしろ日本が自己規制や自縄自縛によって『思考停止』の状態に陥っているだけではないのかという指摘もある。だとすれば、米国自身が同盟国の助言を求めている昨今、『対米追従』に最も迷惑するのはオバマ政権、という逆説も成り立とう」と論じる。
日本経済新聞社説(18日)は、「選挙結果によっては連立政権の枠組みも焦点になる。自民、公明両党の政権が続く場合は、衆院で3分の2の多数を失っている公算が大きく、これまで以上に国会運営は困難になる」、「参院で安定的な勢力を確保するためには、自民、民主のどちらが(衆院で)第1党になっても連立は不可避の情勢だ」と選挙後の政治の枠組みを予測する。
産経新聞社説(18日)は、「民主党はこれまでインド洋での海上自衛隊の補給支援や在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定などに反対してきた」、「補給支援は来年1月で終了させ、中長期的には沖縄の在日米軍基地の整理縮小を進めようという内容で、日米同盟の変質を招く政策判断といえる。同様の主張で反米姿勢を強める社民党との連立政権が樹立されれば、日米同盟関係への影響はさらに深刻化しよう」と書く。
(了)
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