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ジャパン・ブリーフ

【ジャパン・ブリーフ】原爆投下64周年と広島「平和宣言」  
【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No. 0945】
2009年8月7日


◎原爆投下64周年と広島「平和宣言」

1945年8月6日に広島に原子爆弾が投下され、人口35万人の都市は瞬時に壊滅した。3日後の8月9日には長崎市も原爆の悲劇に見舞われた。それから64年、今年も8月6日に広島市の平和記念公園で「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式典)が開かれた。報道によれば、式典には昨年の約4万5千人を超す約5万人が参列し、ミゲル・デスコト国連総会議長やマハティール元マレーシア首相のほか核保有国ロシアを含む過去最大の59か国の駐日大使や総領事が参加した。

◆オバマ米大統領のプラハ演説と広島市長「平和宣言」

平和式典で麻生太郎総理は、「日本は被爆の苦しみを知る唯一の被爆国であります。広島、長崎の悲劇を二度と繰り返さないためにも、国際平和の実現に向け、あらん限りの努力を傾けていかなければなりません」、「私は、改めて日本が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立っていくことをお誓い申し上げます」と挨拶した。

毎年の平和式典では広島市長の「平和宣言」に、強い関心が寄せられてきた。広島の式典に先立ち、オバマ米大統領が4月5日のプラハ演説で「核兵器のない世界」実現を訴え、核兵器廃絶を求める国際環境にも大きな変化が生まれた。それだけに今回の「平和宣言」は例年にない注目を浴びた。秋葉市長が発表した宣言は、オバマ演説への共感と支持をはっきり打ち出した。秋葉市長は自らが会長を務め、核廃絶などを掲げる「平和市長会議」への世界の加盟都市数が3000を超えたことなどに触れつつ、核兵器廃絶が世界の大多数の市民や国々の声となっていると強調した。

秋葉市長はこうした多数派を「オバマジョリティー」と名付け、2020年までに核兵器全廃を目指そうと呼びかけた。そして「We have the power. We have the responsibility. And we are the Obamajority. Together, we can abolish nuclear weapons. Yes, we can」と宣言を英語で結んだ。

◆主要紙社説

全国紙5紙は8月6日、広島への原爆投下の日を機に、核問題に関する社説を掲載した。いずれの社説もオバマ演説を前向きに評価しながらも、核拡散の動きへの対応策や、日本の安全保障と核抑止力の関連性などについては異なった論旨を展開している。

読売新聞社説は「(オバマ)大統領は、『核兵器を使用したことがある唯一の核保有国』として、『核兵器のない世界』の実現に向けて『行動する道義的責任』があると明言した」、「原爆投下を正当化する風潮が、なお根強く残る米国の大統領のこの発言が、ヒロシマ、ナガサキに感動と希望をもたらしたことは、疑いがない」とオバマ大統領の発言を高く評価する。その一方で「日本も、深刻な核の脅威の下にある。北朝鮮は先にミサイル発射や2度目の核実験を強行した。北朝鮮の核ミサイルなどに対して日本は、米国の『核の傘』に頼らざるを得ない。オバマ演説のあと、日本政府が、核抑止力の低下を懸念して『傘』の再確認に動いているのは当然のことだ」と理想と現実のギャップに注意を喚起する。

朝日新聞社説は「核に頼らない安全保障体制を構築していくには、たくさんの政策の積み重ねがいる。核兵器国には山ほど注文したいが、ここでは特に、『非核の傘』を広げていくことを強く求めたい」と書く。「非核の傘」を広げる方法として、同社説は(1)国連安保理で核不拡散条約(NPT)加盟の非核国への核使用は認められないと明確に決議する、(2)ラテンアメリカ、南太平洋、アフリカ、東南アジア、中央アジアについて存在する非核地帯条約を効果的に活用する、(3)核兵器国が核先制不使用を宣言し、核の役割を相手の核攻撃の抑止に限定する、との方策を提言する。

毎日新聞社説は「(オバマ)大統領自身、『私が生きている間には達成できないだろう』と認めているように、核兵器廃絶の実現には極めて高いハードルが待ち受けている」と述べ、「NPTに加盟していない核兵器保有国のインドとパキスタン、大量の核弾頭を持つとされるイスラエルへの対応も難題だ。北朝鮮がNPT脱退を宣言して核実験を行い、イランも国連安保理などの要求に従わずウラン濃縮を続けるなど、核拡散の懸念はむしろ高まっている。テロリストが核兵器を手にする脅威も現実味を帯びてきている」と指摘する。

日本経済新聞社説は「『核の番人』と呼ばれ核物質の拡散防止を担う国際原子力機関(IAEA)の事務局長に日本の天野之弥氏が選出され、12月に就任する。日本は『ヒロシマ』『ナガサキ』の発信力も利用して核軍縮や核不拡散体制の強化を先導すべきだ」と唱える。また「北朝鮮の動きなどに対抗し日本でも核武装論が一部で出ているが、きわめて危険な議論だ。オバマ大統領に広島や長崎訪問を招請し、核廃絶への誓いを新たにすることこそ、日本の重要な使命である」と結ぶ。

産経新聞社説は「欧州と違って、アジア、特に北東アジアは北の核による深刻な脅威にさらされている現実も忘れてはならない。核の近代化と軍拡を急ぐ中国の存在も無視できない。日本や韓国にとって、米国の『核の傘』による抑止力は依然、必要である。最近、非核三原則をめぐる論議が再燃している。米軍の核持ち込みを禁じたままで日本の安全は守れるのか。非核三原則見直しの論議も必要だ」と論じる。
(了)

(Copyright 2009 Foreign Press Center / Japan)

※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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