投稿日時: 2009-08-04【ジャパン・ブリーフ / FPCJ, No. 0944】
2009年8月4日
◎自民党、衆議院選挙の政権公約を発表
麻生太郎総理(自民党総裁)は、7月31日、党本部で記者会見し、衆議院選挙(8月18日告示、30日投票)に向けた同党の政権公約(マニフェスト)を発表した。
主要紙報道によれば、同党の政権公約は、「安心」「活力」「責任」の3本柱の下に重要政策を打ち出した。「安心」の分野では、社会保障番号・カードの2011年度導入、3~5歳児の幼児教育費の負担軽減と3年後の完全無償化、高校生・大学生を対象とする給付型奨学金の創設などが示された。これらの政策の財源にも関連する税制改革の問題については、2011年度までに法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施するとされたものの、消費税引き上げの幅や時期については具体的に示されなかった。
「活力」の分野では、低炭素革命などを通じた経済成長の実現や抜本的な地方分権のための道州制基本法の早期制定が明記された。経済成長の具体的目標としては、(1)2010年度後半の年率2%の経済成長実現、(2)今後3年間で40~60兆円の需要創出と約200万人の雇用確保、(3)今後10年間での家庭での可処分所得100万円増と国民所得の世界トップクラスへの引き上げなどを提示。生活支援を前面に掲げた民主党の政権公約との差別化を図る姿勢が見られた(8月1日付読売新聞)。
「責任」の分野では、北朝鮮による米国向け弾道ミサイルの迎撃や米艦艇防護を可能とする安全保障上の手当て実施などを明記。当初案では集団的自衛権を巡る政府の憲法解釈の見直しにも言及していたが、党内の異論に配慮し削除された(同日付朝日新聞)。
◆主要紙社説
8月1日付の全国紙社説は、一斉に自民党の政権公約を取り上げた。多くの社説が、政策実現のための道筋や財源についてさらなる具体性を求めている。また、主要政党の政権公約が出揃ったことで政策論争の深まりへの期待も表明している。
読売新聞「自民党政権公約 『責任力』に見合う具体策示せ」
「個々の政策を実現させる道筋には曖昧(あいまい)な部分が目立つ」。消費税や社会保障制度再構築のための負担に言及したことは「一応、評価できる」が、民主党の「子ども手当」に対抗して掲げた幼児教育の段階的負担軽減、2012年度の完全無償化については財源が示されていない。外交・安全保障分野でも、「集団的自衛権の『権利はあるが、行使できない』とする現行の政府解釈の変更を意味しているのなら、もっと明確に書くべきだったのではないか」。
朝日新聞「自民党の公約―気迫が伝わってこない」
「具体的な予算額や手順などはほとんど書かれていない」。政策の優先順位も十分示されていない。「税収は伸び悩み、財政赤字は膨らむばかり」という現状では、「どの政策を優先し、何を省くのか、その絞り込みこそが肝心なのに、そこがぼやけていては責任ある公約とは言い難い」。「自民党の政権担当能力そのものに疑問符が突きつけられている。なのに、その危機感も反省も伝わってこない」。
毎日新聞「’09衆院選 自民マニフェスト さあ公約を比べよう」
「全体的に総花的で数値や期限もあいまいだ。民主党に対抗する旗が十分に示されたとは言い難い」。「民主党がほとんどふれずじまいだった消費税など税制改革の11年度までの法制化を明記し、『違い』を意識したことは理解できる」が、「何を有権者に訴えたいのかが胸に伝わってこない」。「社会のひずみ是正と経済成長を両立させるという戦略や必要な対策、財源規模が説明されたとは言えまい」。各政策実現の期限についてもあいまいだ。
日本経済新聞「09衆院選 政策を問う 目標は掲げたが道筋見えぬ自民公約」
「経済成長や財政再建の目標値を示し、『責任政党』としての存在をアピールした」が、「実現への道筋には不明確な点が多く、改革続行への決意もかすみがちだ」。「社会保障制度の見直しも停滞感が強」く、「ばらまき色の濃い公約が並ぶ点は民主党の政権公約と共通している」。外交・安全保障政策では、「米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や連携する米国艦艇の防護を可能とするための対応、自衛隊の国際貢献活動のための一般法制定に言及した点は評価したい」。
産経新聞「自民党公約 米へのミサイル迎撃評価」
「北朝鮮が米国に向けて発射した弾道ミサイルの迎撃が可能となるように『必要な安全保障上の手当てを行う』と明記したこと」や「ミサイル防衛(MD)で連携する米艦艇の防護」への言及は、「憲法解釈の変更に踏み込むことを明確にしたもので評価したい」。「財政健全化については、今後10年以内に国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化を達成する目標を明示し」民主党との違いを示した。しかし、「自民党の『幼児教育無償化』と民主党の『子ども手当』など、似通った人気取りの政策を競っている側面もある」。
(了)
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