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タイトルアイコン【ジャパン・ブリーフ】新たな企業救済措置 (2009-02-10)
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投稿日時: 2009-02-10

【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No. 0907】
2009年2月10日


◎新たな企業救済措置

日本では国内経済のさらなる悪化を食い止めるため、異例ともされる二つの追加措置が決定された。日銀による銀行保有株の買い取りと、政府が公的資金で一般企業に資本注入することである。これらの措置は、銀行が自己資本として保有している株の価格が下落し、含み損が増大する結果、貸し渋りが生じ、輸出の急減、円高により打撃を受けている企業の資金繰りを苦しくしていることに対応するため決定された。日本の銀行では自己資本の大きな部分が他社株の保有という形になっている。

日銀による銀行保有株の買い取りは今のところ予防的な性格のものだが、貸し渋り傾向が強まっていることから、政府の要請に応じて、2010年4月までに最大1兆円の買い取りを行うことを2月3日決めた。政府も国会で関連法案が可決されるのを待って、株式買い取り機構を通じ、最大20兆円規模の銀行保有株の買い取りをする方針である。この日銀の決定は、資金調達で困難に直面している企業のコマーシャルペーパーや社債の買い取りを決めたことに続く異例の措置である。

同じく2月3日の閣議で、政府は一時的に資金繰りが悪化している一般企業に公的資金を投入することができるよう、産業活力再生特別措置法(産業再生法)改正案を決定した。政府系の日本政策金融公庫が日本政策投資銀行に資金を貸し付け、それを対象企業として認められた企業の株式を取得するかたちで注入する。半導体大手のエルピーダメモリが新制度適用の第1号になりそうである。

政府はさらに、民間銀行による一般企業への投資に公的保証を与える方針を決めた。倒産などにより投資に損失が生じた場合、その50-80%を政府が補償するというものである。民間銀行による一般企業への融資に対しても同様な保証をつける。国会で必要な法案が成立すれば、数カ月内に発足する見通しである。

日銀や政府がこれら異例ともいわれる措置に動いている背景には、日本の有力企業の収益力のあまりにも急激な悪化がある。有力経済紙日本経済新聞の調査によれば、製造業上場588社の2009年3月期の連結最終損益は赤字になる見通しである。これは2000年以降初めての赤字転落である。

赤字が最も大きいのは電機で、次いで自動車。有力電機メーカー9社のうち7社が赤字の見通しで、日立7000億円、パナソニック3800億円、NEC2900億円、東芝2800億円、ソニー1500億円など。9社は国内外で合計6万7000人の人員整理を行う。その他の有力企業の3月期の予想赤字は、トヨタ自動車3500億円、シャープ1000億円、エルピーダメモリ1179億円、東レ160億円、日本航空340億円など。日経による調査対象32業種(製造業、非製造業)のすべてが、赤字ないし減益の見通しである。

非製造業で悪化が特に目立つのは銀行である。6大銀行の2008年4-12月の最終利益の合計は前年同期比89%もの落ち込みとなり、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループはともに赤字に転落した。最大の三菱UFJは420億円の最終赤字(前年同期は3146億円の黒字)だった。保有株の株価下落と貸出先企業の倒産の増加などが銀行の収益を大きく圧迫している。三菱UFJ、みずほを含む3メガバンクは新株の発行による自己資本の増強に動いているが、銀行は全体に貸し出しを抑えており、それが経済をいちだんと悪化させている。

◆安易な公的救済に対する懸念

一般企業を救済するために公的資金を注入することに対しては懸念も表明されている。本来ならば救済に値しない非効率な企業の存続を助けることになりかねないからだ。したがって、公的救済の認定基準の設定は、精査を要求する作業になるだろう。

日本経済新聞2月7日の分析記事は、公的資金による資本注入が慢性的な経営不振企業を存続させることにもなりかねず、「保護主義を招きかねない」という懸念を指摘した。「技術力があるのに一時的に資金不足に陥った企業など、本当に出資・融資が必要な企業をどう選ぶのか」。

産経新聞の2月4日付社説は政府の決定に対して次のような疑問を提起した。「経産省では認定条件について、3年後の収益回復が可能で『国民経済への影響が大きな企業』などとしているが、詳しくは政令などによって決めるとするなど極めて不透明だ。安易に公的資本による救済を行えば、経営効率が悪い企業が生き残って日本経済全体の活力を奪ってしまうことにもなりかねない」。

朝日新聞の2月1日の社説は次のように主張した。「世界大不況のショックから一時的に企業を守ることに主眼があるが、それだけでなく、中長期の構造転換という戦略的視点も加えた方がいい」。同紙はエコや省エネへの転換は、そうした視点に沿うものだと指摘した。
(了)

(Copyright 2009 Foreign Press Center / Japan)

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