【ジャパン・ブリーフ / FPCJ,No.0985】 2010年2月18日
◎2009年10-12月期GDP、年率4.6%の伸び
日本経済の2009年10-12月期の成長は年率換算4.6%になったと2月15日内閣府が発表した(速報値)。10-12月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1.1%の伸びで、3四半期連続のプラス成長となった。これは市場予測を上回るものだった。
菅直人財務相兼経済財政政策担当相はGDP統計の発表を受けて、「景気の二番底懸念は少し薄らいできたかなと思う」と語った(2月15日付日本経済新聞夕刊)。しかし同相は厳しい雇用情勢や海外での下振れリスクをあげて楽観を戒めた。
10-12月期のGDPの成長は、輸出と個人消費の伸びによるところが大きい。輸出は前期比5.0%の伸びで、特にアメリカ向けの自動車やクレーンなど建設機械が寄与した(同紙)。電機メーカーは中国における薄型テレビ需要への対応に追われた。
個人消費はエコカーの購入に対する減税や家電製品のエコポイント制度など政府の景気刺激策に支えられて好調だった。個人消費や輸出の好調を反映して設備投資も7四半期ぶりに前期比1.0%のプラスに転じた。半面、公共投資は1.6%減となった。2期連続のマイナスで、公共投資の前倒し実施の効果が薄れてきたためである。
2009年の最後の3カ月には好調な指標が現れたものの、エコノミストの多くは政府、民間ともに総じて今後の経済動向について警戒を緩めていない。勤労者報酬(給料や年末のボーナス)が落ち込んでいること、失業率が依然5%を上回る水準であることが大きな理由で、政府の景気刺激策の効果も息切れしそうだと見られているためである。海外諸国の刺激策も同じように効果が薄れれば、輸出に影響を受ける可能性もある。
もうひとつの懸念はデフレである。昨年10-12月期の名目成長率(物価変動に対する調整をしない成長率)が、前期比0.2%増、年率では0.9%増に過ぎず、実質成長率(年率4.6%)に比べると非常に低いことが、物価の下落を明白に意味しているからである。
2009年の日本経済は前年に比べ5.0%縮小した。第二次世界大戦後最悪の記録で、2008年の1.2%に続き2年連続の縮小。名目GDPは6.0%の縮小で、これも戦後最悪だった。これほどの落ち込みは2008年に始まった世界金融危機の影響で内需、外需ともに急落したことが引き起こした。名目GDPの金額は474兆9240億円(ドル換算5兆849億ドル)で、中国の4兆9090億ドルをかろうじて上回り、米国に次ぐ世界第二の経済規模を維持したが、今年には中国に追い抜かれることが確実視されている。設備投資は前年比19.3%、輸出は24.0%それぞれ激減し、個人消費も1.0%減った。
◆新聞論調
主要紙の社説の論調は多かれ少なかれ、日本経済の先行きについて漂う警戒感を反映するものとなったが、日本最大の二つの日刊紙である読売新聞と朝日新聞は景気の二番底の可能性について対照的な見解を表明したことが目立った。
読売はその2月16日の社説のタイトル「まだ『二番底』の懸念は残る」が端的に示すように、経済の現状について朝日よりも評価が厳しかった。「経済成長が巡航速度に戻った形だが、実情は景気対策や海外経済の回復に支えられた『上げ底』の成長である。景気が減速して『踊り場』に入り、さらに『二番底』に向かう懸念はぬぐえない」と論じ、「自律的な経済成長には設備投資の本格回復が必要だ。環境やエネルギーなど成長分野を中心に、投資減税などの支援策を望みたい。国際的にみて高い法人税の実効税率引き下げも検討すべきだ」と主張した。
これに比べると朝日の判断はかなり楽観的だった。2月16日の社説は次のように指摘した。「回復しつつある世界経済に、日本もしっかりと支えられている。2009年10~12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で4.6%増となり、不況下でも景気が徐々に上向いている様子を確認できた」。そして海外にはリスク要因もあるものの、「日本経済が景気の『二番底』に陥る危険性は薄らいできたとみていいだろう」と論じた。
一方、日本経済新聞は、10-12月期の成長にもかかわらず、日本経済の水準そのものが低いことを問題にした。2月16日の社説は「5%に迫る成長率といっても、企業や消費者の実感にはそぐわないだろう。GDPの水準は08年1~3月期のピーク時を6%下回り、年換算額で約35兆円少ない」と指摘、さらに次のように論じた。「景気が二番底に陥る懸念はやや薄らいだものの、民間需要が主役となった自律回復はなお遠い。消費喚起策の息切れや、米欧の金融市場の不安定さなどリスクへの警戒も欠かせない。目先の好転に油断せず、政府は強力な成長戦略の提示など、経済への目配りを怠ってはならない」。
(了)
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※ジャパン・ブリーフは、(財)フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており政府やその他の団体の見解を示すものではありません。
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