社説読みくらべ

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日米首脳会談

投稿日 : 2017年02月15日

朝日:「蜜月」演出が覆う危うさ

産経:揺るがぬ同盟への決意だ 「自由」の恩恵に資する対話を

日経:日米は新経済対話を冷静に進めよ

毎日:厚遇の次に待つものは

読売:経済で相互利益を追求したい 個人的信頼をもとに同盟強化をせよ        (50音順)

 

U.S. President Donald Trump and Japanese Prime Minister Shinzo Abe shake hands after their joint news conference at the White House in Washington.

写真:ロイター/アフロ

 

 

安倍首相とトランプ米大統領は2月10日(現地時間)、ワシントンで初の日米首脳会談を行い、日米同盟と日米経済関係を強化する方針を確認する共同声明を発表した。安全保障では沖縄県の尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の適用対象であることを共同声明に明記するとともに、経済関係では、貿易、金融、財政など分野横断的な「経済対話」の枠組み新設で合意した。全国紙5紙は2月12日付で、日米首脳会談について拡大版の社説を掲載した。

 

■ 総体的評価は「良好」

 

安倍・トランプ会談について、全紙とも首脳同士の信頼関係構築を評価し、安全保障政策面を中心に会談結果もおおむね良好であったとした。ただ、貿易・金融政策をめぐる経済問題では、先行き不透明感もあって慎重論もくすぶった。

 

特に、読売、産経、日経の3紙は、トランプ大統領が尖閣諸島への日米安保条約5条の適用対象であることを確約したことを歓迎した。読売は「トランプ氏本人が(5条適用を)認め、文書に明記したことは重い意味を持とう」と強調し、海洋進出を加速させる中国、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への「最大の抑止力となる」と評価した。

 

産経は、トランプ大統領が在日米軍の受け入れに対して「謝意」を表したことを歓迎し、「法の支配に基づく国際秩序の重要性を認め、『力による現状変更』に反対する基本的な価値観を共有できた意義は大きい」と強調した。

 

日経も、「トランプ政権がアジア太平洋地域への関与に消極的とみられている中での再確認には大きな意味がある」と歓迎した。

 

■ 対米一辺倒への懸念

 

これに対し、朝日は経済問題や安保政策で「一定の合意が得られた」ことを日本にとっての「安心材料といえるだろう」とした。しかし、「両国の『蜜月』を演出しても、それが国際社会の秩序の維持につながらなければ、意味は乏しい」と注文を付けた。

 

特に、視界不良の国際情勢の中で、「旧来型の対米一辺倒の外交は危うい」と論じ、首脳会談の注目点であった米国を国際協調の立場に戻すことについて、安倍首相が「全力で説いた形跡はうかがえない」と指摘した。環太平洋経済連携協定(TPP)についても、トランプ大統領に「TPP離脱の翻意」を迫らなかっただけでなく、「離脱にお墨付きを与えた形になった」と論じた。

 

毎日は、日本は「米国が内向きにならず、国際協調に関与し続けるよう、つなぎ役を果たす責任がある」と主張した。同時に「トランプ氏にすり寄るだけでは、日本は国際社会からの信頼を失いかねない」とも念押しした。

 

■ 慎重論くすぶる経済問題

 

貿易、金融政策を中心とする経済政策については、米側からの厳しい経済要求がなかったことを歓迎しながらも、慎重論も見られた。日経は、「避けなければならないのは、通商と安保の取引をすることだ」と指摘した。さらに、「日米FTAの可能性を最初から拒む必要はない」が、TPPの重要性を米国に「なお粘り強く説明していく必要がある」と主張した。

 

読売も、トランプ政権には「貿易赤字是正が念頭にある」として、「自由で公正なルール」を重視する日本とは、貿易では「日米で同床異夢の面がある」と指摘した。その上で、日米FTA交渉になれば、「TPPを超えるレベルの市場開放を迫られかねない」として米側の出方を注視する必要があるとしている。

 

産経も、トランプ氏の2国間協定を重視した通商政策について「選択肢の一つ」としながらも、これに応じれば米国が自国利益のために「TPP以上の要求を突きつけ、受け入れを迫るだろう」と分析している。日本がやるべきは、アジア太平洋地域間の経済関係強化に向けて、「多国間連携の意義を引き続き説いていく」ことだとしている。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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