社説読みくらべ

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韓国・釜山の少女像設置

投稿日 : 2017年01月16日

朝日:性急な対抗より熟考を

産経:反日では墓穴掘るだけだ

日経:日韓の合意をほごにするな

毎日:合意の崩壊を危惧する

読売:日韓合意を損なう不法行為だ      (50音順)

 

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写真:YONHAP NEWS/アフロ

 

韓国・釜山の日本領事館前に2016年12月末、慰安婦問題を象徴する少女像が設置され、日本政府は1月6日、長嶺安政駐韓大使らの一時帰国などの対抗措置を決めた。

 

全国紙5紙は、事態の深刻さを憂慮し、5日~7日付の社説で順次取り上げた。

 

 

■ 全紙が、強い懸念を表明

 

朴槿恵大統領の弾劾決議成立、職務停止という韓国政界の混乱の中で起きた釜山の少女像設置について、「憂慮すべき事態である」(読売)、「日韓関係が再び、暗いトンネルに入りかねない局面である」(朝日)、「憂慮せざるを得ない」(日経)、「明らかに(日韓)合意の精神に反している」(毎日)、「日韓合意をさらに踏みにじるものだ」(産経)と、全紙とも強い懸念を表明した。

 

読売は、韓国側の対応について、「韓国政府が、地方自治体の判断する事案だとして、自らの立場を明確にしないのは疑問だ。(中略)政府は最低限の外交秩序を維持すべきではないか」と批判した。慰安婦問題に関する“最終的かつ不可逆的解決”である日韓合意についても、「日韓関係は、合意を契機に改善に向かいつつあった」だけに、少女像設置で「日本国民の嫌韓感情が再び高まるのは避けられまい」と指摘した。

 

毎日も、「合意はいまや、日韓関係を前へ進めるための基盤である」との前提に立って、日本政府の対抗措置について「日本として強い不快感を示す外交的措置をとることは必要だろう」と主張した。その上で、今回の設置によって「互いの国民感情を悪化させ、合意そのものを揺るがせてはいけない」とするとともに、米国が日韓合意について繰り返し支持表明していることを挙げ、「良好な日韓関係は、日米韓連携のためにも必要だ」と強調した。

 

産経は、韓国政府が事態を傍観する姿勢を採ったことに対して、「看過できない。韓国の法治とは、情緒的に法を曲げるものなのか」と批判。日本政府の対抗措置についても「遅きに失した感は否めないが、当然の対応だ。法を守らず、事態の悪化を放置する国を信頼することはできない」とまで踏み込んだ。

 

日経も、日韓関係改善の機運がしぼみかねない上に、「野党勢力を中心に日韓合意をほごにしようという動きが出ている」ことに強い懸念を示し、「仮に政権交代後に慰安婦合意を含めた国際的な約束がほごにされれば、韓国は国際社会での信認を失う」として、韓国政府の慎重な対応、言動を求めた。

 

■ 対抗措置に懸念

 

朝日も、日韓合意について「いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。この合意を侵食するような行動は双方が慎むべきだ」として、「韓国側は合意の文言を尊重しなくてはならない」と念押しした。その上で、日韓両政府は「大局観に立ち、隣国関係を対立の繰り返しではなく、互恵へと深化させる価値を国内外に説くべき時だ」と強調した。

 

しかし、朝日は、駐韓大使の一時帰国、日韓通貨スワップ協議の中止など日本政府の対抗措置について、「日本政府が善処を求める意思表示を示すのも当然だ」としながらも、経済協議や人的交流の凍結は「今後の対韓交渉で説得力を失うものだ」として、「過剰な反発はむしろ関係悪化の悪循環を招くだろう」と適切な外交措置の“熟考”を求めた。

 

■ 韓国で報じられない財団活動

 

各紙もう1つ注目される点は、日韓合意に基づいて韓国に設立された慰安婦支援財団の活動についての言及だ。財団はすでに日本政府が一括拠出した10億円を基金に、合意時点での生存者46人のうち29人に対し各1億ウォン(約1千万円)を支給している。しかし、読売は「財団事業がこれだけ進展している以上、合意は『不可逆的』であり、再交渉の余地はない」と論じるとともに、こうした事業実態が「韓国で十分に報じられていない」ことと強い懸念を示した。

 

毎日も同様に、「財団による元慰安婦らへの現金支給事業は順調に進んでいる」にもかかわらず「韓国ではほとんど報じられていないが、当事者の意向はもっと重視されるべきである」と指摘した。その上で、「残念なのは、合意への韓国社会の理解が深まっていないように見受けられることだ」と強調した。

 

日経も、「日本側はすでに履行義務を果たし、元慰安婦への現金支給も始まっている」ことを評価するとともに、ソウルの日本大使館前に設置されている少女像の撤去も含めて韓国側が約束した国際的な合意の誠意ある履行を求めた。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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