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日露首脳会談 | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

社説読みくらべ

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日露首脳会談

投稿日 : 2016年12月22日

朝日:あまりに大きな隔たり

産経:「法と正義」の原則崩せぬ 四島での共同活動は危うい

日経:出方見極め冷静に対ロ交渉継続を

毎日:領土交渉の出口見えず

読売:「領土」解決へ重要な発射台だ

 

 Vladimir Putin

写真:代表撮影/AP/アフロ

 

12月15、16日、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との日露首脳会談が山口県長門市と東京で行われた。北方領土四島における「共同経済活動」実現に向けた協議の開始で合意したが、領土交渉自体の進展はなかった。

 

全国紙5紙は、日露首脳会談について同17日付の社説で取り上げたが、条件付き評価の読売を除く4紙は首脳会談の全体的な成果について濃淡はあるが厳しい評価を下した。

 

■ 未来志向の意思表明を評価

 

IMG_0660読売は、北方領土問題について「日露の立場の隔たりは依然、大きい」との基本的認識を明確にしながらも、「両国首脳が解決の意思を確認したことは重要だ」と評価し、今回の首脳会談を「戦後70年余も残されてきた歴史的問題を克服するための大切なスタート」にすべきだと主張した。

 

北方四島における共同経済活動についても、「日露双方が受け入れ可能な『特別な制度』をどう設計するのか。(中略)日本政府の知恵の出しどころであり、交渉力が問われる」と条件を付けながらも、「共同経済活動が円滑に実施されれば、現在のロシア人の島民を含めて、日露間の信頼醸成が進むことが期待できる。平和条約交渉にもプラスになろう」と論じた。

 

 

■ 領土交渉と共同経済活動

 

厳しい評価をしたのは、朝日、毎日、産経3紙。朝日は日露両首脳について「すれ違いぶりが際立つ」、「溝は深い」などと主張の隔たりの大きさを強調し、「領土問題は重要だが、決して焦ってはならない。外交の原則を崩さず、粘り強く解決を見座す姿勢が肝要だ」と釘を刺した。経済協力の合意は二国間の信頼醸成に役立つとする一方、制裁を続けるG7の足並みを乱すことにならないかとの懸念を示した。

 

毎日も、首脳会談を重ねれば領土問題が進展するのではないかという思惑について「そんな期待を打ち砕く、厳しい現実が突きつけられた」と強調した。共同経済活動についても、ロシア側が90年代に提案しながら主権問題で暗礁に乗り上げてきた経緯を踏まえ、「新たに始まる協議が停滞すれば、領土交渉そのものの進展を阻むことにもなりかねない」との懸念を示した。

 

特に、同紙は領土問題の解決が期待された過去2回のチャンスの例を挙げ、「領土交渉の土台は、1回目(1997~98年)の『4島』から、2回目(2000~01年)は『2島』へ、そして今回は事実上『0島』からの出発へと大きく後退してしまった印象を受ける」と指摘した。

 

■ 領土交渉の基本原則

 

IMG_0671産経も、領土問題の進展がなかったことについて「分かったのは領土をめぐるロシア側の岩盤のような姿勢だ。その実態を見て見ぬふりはできない」と指摘した。さらに、「重要なのは、日本にとって平和条約の締結自体が目的ではないということである。条約締結は、北方四島の日本への帰属や返還が決まることの帰結に過ぎない」と強調した。

 

同紙は、経済共同活動の合意についても、「この結果に国民の十分な理解を得られるかどうかは大いに疑問である」と、政府の経済協力優先姿勢を批判した。さらに、そのための「特別な制度」についても、「実現可能なものなのだろうか」と疑問を呈した。

 

日経も、領土交渉について「ロシアの姿勢は硬く、返還への目立った進展があったとは言いがたい」と分析した。安倍首相の対露交渉についても「路線が間違っているわけではない」としながら「焦りは禁物だ。今回の会談の結果を詳しく分析し、ロシアの出方を冷静に見極め、話し合いに臨んではほしい」と注文を付けた。

 

特に、共同経済活動の「特別な制度」について、将来の返還の環境整備に役立つ半面、領土帰属問題を曖昧なまま進めれば「逆にロシアによる実効支配をさらに固定化してしまう」と懸念を示した。

 

■ 日米安保への影響

 

IMG_0653朝日は、プーチン大統領が記者会見で日米同盟に言及し、北方領土返還後、日米安保条約によって米軍基地が設置されることへの警戒感をあらわにしたことについて「日本としては受け入れられない主張だ」と強調した。

 

毎日も、北方領土を安保条約の適用除外にすることについて、「そうなれば日本は、米国との交渉をしなければならなくなり、領土交渉はさらに複雑化する恐れがある」と指摘した。また、対露協調のトランプ次期米大統領の誕生に関連し、「ロシアが米国の政権交代を見据え、対日政策を見直し始めた可能性もある」として、安倍政権の外交戦略の立て直しを示唆した。

 

日経もトランプ政権への移行で、「(ロシアは)領土問題で譲歩してまで日ロ関係の修復を急ぐ理由は薄れている」との分析に立ち、だからこそ「日米や日欧関係の強化がこれまで以上に大切だ」と強調した。産経も国際情勢の流動化の中、「日米同盟などにどう影響を与えるかについても、注意深い対応が必要だ」と指摘した。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません

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