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カジノ解禁法案 | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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カジノ解禁法案

投稿日 : 2016年12月09日

朝日:危うい賭博への暴走

産経:懸念解消を先送りするな

日経:拙速なカジノ解禁は問題多い

毎日:唐突な採決に反対する

読売:人の不幸を踏み台にするのか

 

A dealer picks up chips on a mock black jack casino table during a photo opportunity at an international tourism promotion symposium in Tokyo

 写真:ロイター/アフロ

 

 

カジノを解禁する統合型リゾート(IR)の整備推進法案(カジノ解禁法案)が12月3日の衆院本会議で可決された。本会議案可決を推進したのは自民党と日本維新の会だが、それに先立つ衆院内閣委員会での審議はわずか2日間のスピードで、連立与党の公明党の賛成は最後まで得られないままの採決となった。

 

全国紙5紙は同月2日付の社説(日経は3日付)でカジノ解禁法案問題を採り上げ、この急展開について「異常な状況」(朝日)、「乱暴」(読売)、「論外」(毎日)など全紙が強い懸念を表明するとともに、同法案の慎重審議を強く求めた。

 

■ 強引な審議を非難

 

朝日は「カジノ解禁に反対し、ギャンブル依存症をはじめ、負の側面を慎重に議論すべきだと主張してきた」と従来からの反対の姿勢を鮮明にした。

 

読売は、カジノ解禁法案が2013年12月に議員立法として提出されながら、14年11月の衆院解散で廃案、さらに15年4月に再提出されたが審議されずにいた経緯を示しながら、「自民党などは、今国会を逃すと成立が大幅に遅れかねない、というが、あまりに乱暴である」と指摘した。

 

毎日も、ギャンブル依存症の増加など様々な懸念が示されている中で、「まともな議論もせず採決することなど論外だ」と指弾し、「そもそも賭博は刑法で禁じられている。カジノを例外とする根拠はどこにあるのか」と疑問を投げかけている。

 

産経も、自民、維新両党中心の採決強行に、「およそ超党派の議員立法には似つかわしくない姿ではないか」と猛省を促し、日経も「(法案を)突然持ち出し、まともな議論もないままなし崩し的に解禁しようとする議員たちの見識を疑う。(中略)是非を判断する材料を欠いたままの拙速な審議は、許されない」と批判した。

 

■ 最大懸念はギャンブル依存症

 

朝日は、競馬、競輪などのギャンブル依存症について、厚生労働省研究班による2014年の「依存症が疑われる成人は全体の5%弱の536万人」という推計を挙げ、カジノ解禁推進派が依存症対策も総合的に推進するとの主張について「説得力は乏しい」と断じた。

 

読売は、カジノが競馬などの公営ギャンブルより高額の掛け金になりがちで、「客が借金を負って犯罪に走り、家族が崩壊するといった悲惨な例も生もう。こうした社会的コストは軽視できない」と懸念を示した。その上で、「さらに問題なのは、自民党などがカジノの様々な『負の側面』に目をつぶり、その具体的な対策を政府に丸投げしていることだ」と批判した。

 

毎日も、推進派が日本人のカジノへの入場資格設定や入場料徴収を検討するとしているが、「法案には具体策は書き込まれておらず、対応は先送りされた格好だ」として、法案の不備を指摘した。

 

■ 経済効果にも疑義

 

カジノ解禁による経済効果だが、国内各地にカジノやホテル、商業施設など統合型のリゾートが整備されることで、外国人観光客の増加や地方経済の活性化につながると説明されている。

 

しかし、日経は中国当局の腐敗取り締まりでマカオのカジノにおける中国人富裕層の客が減少している例を挙げ、「冷静に議論してみる必要がある」と指摘。地方の活性化についても、バブル経済時代に日本各地で開発された大規模リゾートが破綻したとして「かつての総合保養地域整備法(リゾート法)の二の舞になる心配はないだろうか」と問題提起している。

 

産経も、国内の公営ギャンブルの売り上げ激減による地方競馬、競輪の廃止、カジノ分野でのアジアにおける競争激化を挙げ、推進派は「肝心の経済効果がどれくらい見込めるのかに応えていない」と批判した。さらに、反社会勢力による資金洗浄(マネーロンダリング)などの「違法行為への心配も付きまとう」と指摘した。

 

読売は、カジノの収益に期待する経済戦略について「ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である」と手厳しく批判した。

 

朝日は、「一定の経済効果は期待できよう」としながらも、推進派が審議を急ぐ背景に2020年の五輪に間に合わせることや、25年の大阪万博招致構想の中でIR誘致が企画されていることを指摘し、「五輪、万博、カジノといずれも欧州発祥の発想に頼るばかりで、日本は世界の人を引き寄せ続ける観光大国になれるのか」と疑問を呈した。毎日も、カジノ解禁による収益について「ほとんどは海外資本に吸い上げられるとの指摘がある」と強調した。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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