社説読みくらべ

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新潟県知事選挙、原発再稼働慎重派が勝利 

投稿日 : 2016年10月26日

朝日:新潟県知事選 原発への不安を示した

産経:新潟新知事は「脱原発」脱却を

日経:原発の不安解消になお努力を

毎日:新潟県知事選 原発不信を受け止めよ

読売:新潟県知事選 柏崎再稼働は冷静に議論せよ

 

Tokyo Electric Power Co.'s Kashiwazaki Kariwa nuclear power plant, which is the world's biggest, is seen from its observatory in Kashiwazaki

 

写真:ロイター/アフロ  

 

新潟県知事選挙(10月16日投開票)で、原発再稼働に慎重な米山隆一氏が自民、公明両党の推薦した候補を破り当選した。政府与党側には、知事選後の原発再稼働への期待が大きかっただけに、再稼働慎重派の米山氏の当選で大きな衝撃が走った。全国紙5紙は、同県知事選結果が今後の原発行政に大きな影響を及ぼしかねないとして、同月17日付の社説(日経は18日付)で論評した。

 

新潟県の柏崎刈羽原発は7基の原子炉が集中する世界最大級の原発だ。しかし、2002年に東京電力による「原発ひび割れ隠蔽」問題が発覚、07年の中越沖地震でも火災、微量の放射能漏れを起こし、11年の福島第1原発事故後すべての原子炉が止まっている。現在、原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を進めている。

 

■ 再稼働の慎重対処を評価―朝日、毎日

 

朝日、毎日両紙は選挙結果を厳しく受け止めた。

 

朝日は選挙結果を「原発の再稼働に前のめりな安倍政権への『待った』だ」、「県民の原発への強い不安だ」と強調。毎日も、「いかに東電に対する県民の不信感が強いかの表れだ」として、「安倍晋三政権と東京電力は選挙結果を真剣に受け止めるべきである」と論じた。特に、今年7月の鹿児島県知事選でも九州電力川内原発の停止を掲げた三反園訓知事が与党推薦候補を破った例を挙げ、「原発の維持・再稼働路線をひた走る安倍政権への批判も大きいと見ていいだろう」と指摘した。

 

また、米山氏が選挙で「東電福島第一原発の事故や、その影響・課題が検証されない限り、再稼働の議論は始められない」と公約したことについて、朝日は「再稼働を目指す国や東電に毅然(きぜん)と向き合うことが責務である」として、公約の有言実行を強く求めた。毎日も、原発事故の際の住民避難計画など課題は山積しているとして「米山氏が公約通り、それにきちんと対処していくのは当然だ」と念押しした。

 

 

■ “現実的対応”を要望―日経

 

日経も、選挙結果について「原発事故への県民の不安の大きさを改めて示した」とするとともに、原発再稼働を目指す政府や東電に対して「地域住民の理解を得るための一層の努力が求められる」と釘を刺した。特に政府に対しては、現知事の泉田裕彦氏が福島原発事故の原因究明を強く求めてきた経緯を踏まえ、「政府や国会などの事故調査委員会が根本的な原因を洗い出したとはいえ未解明の部分も残る」として、継続調査を強く求めた。

 

しかし、米山氏が当選後の17日の記者会見で再稼働は現状では認められないが、あらゆる可能性を排除するつもりはないと発言したことについて、「再稼働の議論自体は否定しなかった」と分析。その上で、米山氏に対し「安全確保を前提としつつ、現実的な対応を求めたい」と要望した。

 

■ 原発再稼働を求めるー産経、読売

 

読売は、「安全性が確認された原子力発電所は、着実に再稼働する必要がある」との立場を鮮明にし、米山氏に対し「新知事には、冷静な検討を求めたい」と注文を付けた。一方で、今回「再稼働問題が知事選の最大の争点」となったことについて、「人口減対策や地域活性化などの政策論争が乏しかったのは残念だ」と指摘した。

 

産経は、資源小国・日本では原発の役割は極めて大きいとして「原発の活用が不可欠」の立場を明確にし、「県民の選択を尊重するのは当然だが、米山氏は国家や国際レベルの視野に照らしても齟齬(そご)を来すことのない賢明な県政のかじ取りを期待する」と強調した。一方で、米山氏の対応次第では円滑な原発再稼働が難しくなる可能性もあるとして、「安倍晋三首相には国政と県政の調和点を探る努力が必要だ」と指摘した。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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