社説読みくらべ

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原発強制起訴

投稿日 : 2016年03月11日

Demonstration in remembrance of Fukushima nuclear accident朝日:検証の重要な機会だ

産経:天災の刑事責任問えるか

日経:原発の安全対策問う強制起訴

読売:証拠に照らした公正な審理を

 

写真:Alessandro Di Ciommo/アフロ

 

 

 

 

2011年の福島第1原子力発電所の事故をめぐり、東京電力の勝俣恒久元会長ら当時の幹部3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された。検察は2度にわたり3人を嫌疑不十分で不起訴処分としたが、国民から選ばれた11人の委員からなる検察審査会が「大津波を予測し、事故を防ぐことができた」と結論付けたのを受け、検察官役の指定弁護士が東京地裁に強制的に起訴した。

 

この強制起訴について、朝日新聞、産経新聞、日本経済新聞、読売新聞が3月1日付の社説でそれぞれ論評した。

 

朝日は、「あの事故を『想定外』で片付け、誰の責任も問わぬままでいいのか。東電は利益優先で原発の安全対策を怠ったのではないか――。そうした市民の疑念を反映した強制起訴である」と分析した。

 

日経も、「これまでの政府や国会による調査でも、どうして事故が防げなかったのか判然としないままで、誰も責任をとった形になっていない」と指摘した上で、「強制起訴はこうした現状に対する率直な『市民感覚』の表れといっていい」と述べた。

 

読売は、「法律家と市民で結論が分かれた、判断の難しいケースだけに、裁判所には証拠に基づく公正かつ慎重な審理が求められる」と述べる一方、検察審の対応については「原発に『ゼロリスク』を求める厳格な姿勢がうかがえる」と評した。

 

産経は、「自然災害の刑事責任を個人に問うことができるのか」と疑念を示し、「事故の予見性をどう評価するか」と問題提起した。

 

■ 裁判の行方

読売は、今後の裁判について、「刑事裁判で個人の過失が認定されるためには、事故の『具体的な危険性』を認識していたことを証明しなければならない」と述べ、「指定弁護士が説得力のある証拠を示せるかがカギとなる」と分析した。

 

また、「公開の法廷で、勝俣元会長らが、原発の安全対策に関する考え方などを直接語る意義は小さくない。事故前に、地震や津波のリスクについて、東電と規制当局がどんな検討をしていたのかを検証する貴重な機会にもなろう」と、裁判の意義を強調した。

 

産経は、「通常、業務上過失事件の捜査では、具体的な予見性や因果関係、責任の所在などについて厳格に判断される。公判では、原発事業者に課せられる注意義務の範囲などが大きな争点となろう」と、裁判の焦点を解説した。

 

朝日は、「元幹部が事故前にどんな情報を得ていて、どんな判断をしたかは、これまで十分に明らかになっていない重要なパーツだ」と指摘し、「原発を抱える電力会社の組織の在り方や企業風土にも光を当て、教訓がくみ取れる裁判になることを期待する」と述べた。

 

日経は、「今後の裁判では『最大15.7メートルの津波の可能性がある』とした試算を3人がどう受け止めていたかや、浸水による電源喪失を防ぐ現実的な対策がとれたのかどうか、などが争点になるとみられる。裁判の推移を見守り、今後の安全対策にいかしていきたい」と述べた。

 

■ 強制起訴の問題点 

産経は「99%以上とされる高い有罪率を見込む検察官による起訴と、『黒白は公判で』とする傾向がある検審による強制起訴の間では、基準に大きな隔たりがある」と指摘した。

 

日経も、「検察とは別の観点から起訴の必要性を判断することこそ制度の根幹だが、二重の起訴基準が併存したままでよいかは議論が必要だ」と強調した。

 

一方、朝日は、「(事故を)二度と繰り返さない教訓を引き出す努力がもっと必要だ」とし、「1年ほどで活動を終え、検証は不十分なまま」である事故調査委員会の役割について再考を促した。

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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