社説読みくらべ

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日銀、マイナス金利導入

投稿日 : 2016年02月12日

Bank of Japan Governor Kuroda speaks during a seminar in Tokyo

 

朝日:効果ある政策なのか

産経:日銀頼みの限界忘れるな

日経:日銀頼みにせず市場安定へ協議を

毎日:苦しまぎれの冒険だ

読売:脱デフレの決意示す負の金利

 

 

写真:ロイター/アフロ

 

 

日本銀行は1月末の金融政策決定会合で、民間銀行が日銀に資金を預ける際に手数料を課すマイナス金利を初めて導入することを決めた。日銀の黒田東彦総裁は、「必要なことは何でもすると示すことで、デフレマインドを転換する」と記者会見で強調している。

 

マイナス金利は2014年6月に欧州中央銀行 (ECB) が導入しているほか、スイスやデンマーク、スェーデンでも採択されている。しかし、マイナス金利は”副作用”も指摘されており、今回の追加政策へは政策委員9人のうち4人が反対に回り、僅差の決定だった。

 

新たな金融緩和について、全国紙5紙は1月30日付の社説でそれぞれ論評している。

 

追加政策を好意的に受け止めているのは読売新聞だ。「国際金融市場が年初から大混乱に陥り、世界経済の先行き不安が強まる中、日銀が機動的な対応を取ったことは評価できる」と論評した。

 

日本経済新聞は、「日本経済が再び物価の持続的な下落であるデフレ局面に戻る事態は避けなければならない。そのための日銀の対応は理解できる」と一定の評価を与えているが、景気浮揚には課題が多いとの立場だ。

 

産経新聞も、「世界市場の混乱で脱デフレが滞る事態を絶対に避けるという、強い決意の表れである」と日銀の対応に理解を示しつつも、「直ちに景気が好転するとみるのは楽観的にすぎる」と述べた。

 

一方、朝日新聞と毎日新聞は今回の追加策に懐疑的だ。

 

朝日は「いま歴史的な超低金利のもとでも銀行が貸し出しを大きく増やさないのは、企業の資金需要が乏しいからである。その根本的な問題がマイナス金利の導入によって解消するわけではない」と主張した。

 

毎日も、マイナス金利導入について「ひとことで言えば、従来の異次元緩和策が期待した効果を上げずに行き詰ったから、(取られた政策)である」と断じている。

 

■ マイナス金利の政策効果

 

読売は、「金利水準が全体的に下がれば、リスクをとっても利益を得たい投資家の動きが活発となり、円高の防止や株価を押し上げることが期待できるのではないか」「中小企業やベンチャー企業は、資金調達が円滑になり、新事業への投資拡大などが望めよう」と、マイナス金利の効果に期待感を示した。しかし、金融政策だけではデフレ脱却は難しいとし、政府に「成長戦略を充実させるとともに、実行を急ぐべきだ」と求めた。

 

日経は、「日銀が先手を打ったのは、春季労使交渉での賃上げを後押しする狙い」があったのではないかと指摘したが、「日銀の金融緩和だけで経済を持続的に改善させるのは難しい」と述べ、政府に法人実効税率の引き下げや岩盤規制の改革など成長戦略を加速するように促した。

 

産経も、「金融頼みには限界がある。ましてマイナス金利は、銀行の収益を圧迫するなど副作用も懸念される劇薬だ。実需が盛り上がらなければ、経済の好循環には結びつくまい」と述べた。その上で、強い経済を実現するために「規制緩和などで企業活動を後押しし、民間が前向きな経営に徹する」ことを官民に求めた。

 

朝日は、「この手法は銀行が金利コストを預金者に転嫁し、預金金利までマイナスにしてしまう可能性がある」と、副作用を指摘した。「内外経済が不安定になるたびに、新たなサプライズを市場に与える今のやり方がいつまでも続けられるとは思えない。その手法はいよいよ限界にきている」と主張した。

 

毎日は「最も懸念するのは、円の価値を守るべき日銀への信用が大きく揺らぐことである」「冒険の先に、円の価値の暴落が待ってはいないか」などと、2%の物価目標を掲げ、追加緩和を繰り返す日銀に対して懸念を表明した。

 

■ 世界との政策協調

 

20カ国・地域(G20)や先進国の政策協調の重要性を指摘したのは日経と読売だ。

 

読売は、「市場の動揺を鎮めるには、各国中央銀行の行動が重みを持つ」と指摘した。「新興国経済の行方が不安視されている。とりわけ日米欧の金融当局は、先進国が世界経済を牽引する必要性を自覚し、市場との対話に万全を期さねばなるまい。政策面での連携強化が欠かせない」と強調した。

 

日経は、「世界的な金融市場の安定に向けた今後のカギは、世界第2位の経済大国となった中国を巻き込むことだ。G20レベルでのグローバルな協調体制づくりに向けた協議が必要となる」と指摘した。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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