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北朝鮮の対日政策

投稿日 : 2018年04月26日

■惠谷治 「本物の工作船は、こう侵入してくる」正論4月号

 

海上保安庁の「木造船等漂流・漂着」調べによると、2017年に北朝鮮からの日本沿岸への漂着船は104隻と過去最高を記録したが、軍事ジャーナリストの惠谷治氏は「正論」の論文で、大量の漂着小型船の一部に北朝鮮工作船が紛れ込んでいるのではないかとの見方について「端的に言って、答えは『否』である」と断言した。

 

その理由として惠谷氏は、北朝鮮からの漂流・漂着船が、河川での運送などに使う船底が平らな「平底船」であり、通信機器も備えておらず、航続距離もせいぜい100kmほどしかないことを挙げている。

 

しかし、惠谷氏は北朝鮮による対日浸透作戦がなくなったわけではなく、脱北者の証言によると①工作船が日本の領海線に接近し停泊、工作船の船尾から工作小船を出す②工作小船は上陸予定地に接近し、今度はゴムボートに乗り換え陸地へ上陸する―としている。ただ、200112月の「九州南西海域工作船事件」以降は「対日浸透作戦は激減したと思われる」と分析している。

 

 

■古川勝久「暗躍する北のエージェント」Voice 4月号

 

国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員である古川勝久氏は、「Voice」の論文で、日本国内における北朝鮮への不正輸出事件が後を絶たないことについて、取り締まる日本の法執行体制が現実に追いついていないと警鐘を鳴らした。その理由として、古川氏は「対北朝鮮不正輸出にかかわった企業や個人に対する刑罰や行政処分は意外にも軽い」と指摘する。不正輸出の取締法規は「外国為替管理法」に基づいているため、対北朝鮮不正輸出事件で実行犯が有罪判決を受けても、せいぜい懲役12年で、執行猶予が付くため、刑務所に収監された例はほとんどないと指摘、「刑罰の厳罰化を図ろうにも、外為法では無理がある」とする。

 

そのうえで古川氏は、「北朝鮮制裁違反の取り締まり強化のためには、米国のように「北朝鮮制裁法」のような特別措置法が必要」と主張する。

 

さらに、日本の警察は北朝鮮関連の不正取引をスピーディに摘発できておらず、「近年、不正輸出の容疑が濃厚な企業に対してすら、家宅捜索はあまり積極的に行われていない」として「北朝鮮の不正調達のスピードに、日本の法執行は追いついていないのが実情だ」と強調した。  

 

 

■山下裕貴、富坂聰「北の特殊部隊上陸、その時日本は」文藝春秋4月号

 

自衛隊の山下裕貴元陸将は「文芸春秋」の拓殖大学教授の富坂聰氏との対談で、北朝鮮の特殊部隊員がわずか4年間で倍増し「約20万人に達する」(韓国国防白書2014年)とした上で、陸上自衛隊の特殊部隊員はわずか300人程度であり「その差は歴然」としており、対処には多くの問題を抱えていると指摘した。具体的には、民間の通報で非常事態が敷かれた際、警察から自衛隊へのバトンタッチへの迅速な対応ができるかどうかに懸念があるとして、「北朝鮮の特殊部隊である可能性が少しでもあれば、素早く意思決定をおこない、自衛隊に防衛出動を命じる体制を構築しておくべきだ」と主張した。     

 

さらに山下氏は、アメリカが北朝鮮に対して先制攻撃を仕掛けた場合、すぐに特殊部隊が日本国内で何かを仕掛けてくることは十分考えられるとし、被害を最小限に食い止めるために日本国内での議論の高まりに期待を示した。

 

 

写真:KCNA/新華社/アフロ

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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