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慰安婦合意と日韓関係

投稿日 : 2018年04月16日

 木村幹 「慰安婦合意反故『韓国という病』」  文藝春秋3月号

 

神戸大学教授の木村幹氏は、「文藝春秋」の論文で、韓国の文在寅大統領が年頭に慰安婦問題の日韓合意に関する「新方針」を示し、事実上〝反故″にしたことについて、「政権が代わるごとに、ひっくり返されては外交が成り立たない」と批判した。その理由について、木村氏は「正義は法よりも上にある」という韓国の直接民主主義的な考え方が背景にあり、「(韓国では)世論が正義を見つけたら、それに従うのは当然だと考えられ、反論するのは難しい」と指摘した。ただ、木村氏は、こうした韓国的な民主主義の在り方は、世界的に見ても「必ずしも孤立したものではない」として、英米両国や欧州諸国に見られるようなポピュリズム的な流れを先取りしてきたものだとする。

 

また、木村氏は201512月末の日韓合意について、中国シフトを強めた朴槿恵前大統領に対するアメリカの圧力を受けたもので、韓国は「慰安婦問題で結果を出さないといけない状況に追い込まれた」としながらも、文政権が行った日韓合意の「交渉過程の検証は大きな失敗であった」と指摘した。理由は、新方針の提示によって「韓国外交の国際的な信用性が極端に損なわれてしまったためだ」と強調した。

 

しかし、木村氏は韓国側が合意を「破棄もせず再交渉もしない」としたことで、「日本は今後もこれまでどおり日韓合意の履行を韓国に粘り強く求めていくことができる」と評価した。問題は、文政権にとって、「慰安婦問題の優先順位は決して高くない」ことであり、韓国政府が決定した「慰安婦の日」(814日)への対応や、日本大使館前にある少女像の撤去問題など課題は山積していることだと指摘した。その上で、文在寅政権ほど日韓関係を軽視している政権はなかったとするとともに、韓国側が「日韓関係はこのまま硬直状態で構わない」と判断していると強調した。このため、木村氏は日韓合意を実のある生きたものとするためには、「アメリカと国際社会を味方にしておく不断の外交努力が必要」と論じた。

 

 

写真:YONHAP NEWS/アフロ 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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