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日本外交の展望とインド太平洋戦略

投稿日 : 2018年04月13日

河野太郎 「北朝鮮への圧力を続けて非核化を迫る」外交Vol.47

 

河野太郎外相は「外交」のインタビューで、日本は国際秩序の変動期にあって、世界の「フォロアー」ではなく世界の「道しるべ」になるべきだと明言し、日米同盟の強化、日中関係の改善、「圧力」による北朝鮮への対応など2018年の日本外交方針を明らかにした。特に、安倍晋三首相が2016年に打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」が1711月の日米首脳会談で「一致して推進する」ことが合意されたことに関して、河野外相はインド太平洋地域の自由で開かれた海洋秩序は同地域に安定と繁栄をもたらす「国際公共財」であるとの認識を強調。同戦略が〝対中包囲政策″ではないかとの見方があることについて、「それはまったくの誤解。特定の国を対象としたものではなく、何らかの構想などへの対抗として行っているものでもない」と断言した。

 

また、中国が推進する「一帯一路」構想についても、「インフラの開放性、透明性、経済性、財政の健全性などの国際社会共通の考え方を十分に取り入れることで、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待している」と述べ、日本として協力していく考えを示した。

 

日韓関係では、こじれている慰安婦問題について「日韓合意は国と国の約束であり責任を持って実施されなければならない」、「合意の着実な履行は、国際社会に対する責務である」と念押し、「最終的かつ不可逆的」な日韓合意の着実な実施を韓国側に粘り強く求めていく考えを示した。また、河野外相が重視する中東外交では、中東への関与が日本の安全保障、平和に直結するとして、首脳間、外相間などの関係を重視した「人的ネットワーク」を最大限に活用した外交を推進すると表明した。

 

 

田中明彦 「『自由で開かれたインド太平洋戦略』の射程」 外交Vol.47

 

政策研究大学院大学の田中明彦学長は「外交」の論文で、「自由で開かれたインド太平洋戦略」について、「インド太平洋」という概念は「世界経済の超長期の展開の中で生み出されてきた概念である」とするとともに、21世紀に入りインド、さらにサブサハラアフリカの成長が顕在化し、インド太平洋周辺地域こそが「世界の成長センターとなってきた」と指摘した。従って、「日本が今『インド太平洋』を重視するのは、単にどこかの国の動向に短絡的に反応することよりも、より根源的な国益観に基づいているのである」と強調、その目標は同地域を「力や威圧のない地域、自由な地域、法の支配する地域、市場経済を重んじる地域、豊かな地域に変えていくこと」であるとだと論じた。

 

しかし、田中氏は政府の「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、「いかなる政策手段で目標を実現しようとしているのか」という全貌がまだ明らかではないと指摘し、今後取り得る施策について、①港湾施設など地域を結びつけるインフラ整備などの「広域連結性推進政策」②内戦やテロの頻発するシリア、アフガニスタン、ミャンマーなどでの「人間の安全保障」と脆弱国支援③軍事紛争の発生率を低下させるための「パワーポリティクス」の管理➃環太平洋パートナーシップ(TPP11)など広域多角的外交の模索―などを挙げた。その上で、「全体像を示した戦略文書を早期に公表することが望ましい」と要望した。

 

 

写真:ロイター/アフロ

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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