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日本の政党政治と野党再編

投稿日 : 2017年10月06日

以下は、9月上旬までの段階での議論です。


【対談】待鳥聡史 京都大学教授  x  中北浩爾 一橋大学教授

 「性急に答えを求める有権者に政治家は今、何をすべきか」

  中央公論 10月号


衆院解散で10月22日に総選挙が行われることになったが、待鳥聡史京都大学教授は『中央公論』の中北浩爾一橋大学教授との対談で、「今の政治課題は政党のあり方」と指摘し、理念と組織がしっかりした20世紀型の政党の維持はもはや困難になっていると強調した。その一因は、「有権者が政治に短期的な結果を求め、政党がそれに応えられない」ためだとしている。特に、待鳥氏は、現在の政党が〝使い捨て″状況にあることに憂慮を示し、「政党は使い捨てカイロではなく、湯たんぽのようになってほしい」と述べ、湯たんぽ政党は長持ちでコストがかからないとしている。ただし、そのためには「支持者が政党の意思決定にかかわることのできるシステムが大事」と指摘した。


一方で待鳥氏は、従来型の組織を維持している公明党が自民党の補完勢力となり、同じく共産党が民進党と協力を進めようとしていることについて、「注目すべきは安定した小政党が自身の支持基盤を高く売りつけるのに成功していること」と分析する。その理由について、①多党制状態にある参院では、過半数確保のため小政党の協力が不可欠である②衆院の小選挙区比例代表制では、小政党が比例部分で生き残りやすい③自民、民進両党とも地方組織が弱体化している――ことを挙げた。


ただし待鳥氏は、現行の小選挙区比例代表制は「選挙前の第一党に対して有利に働くのではなく、選挙前に最も勢いのある党に有利に働く制度である」とも指摘し、流動化している無党派層を結集できれば、「自公の基礎票を上回って政権を獲得できる」との可能性にも言及した。中北浩爾一橋大教授も、無党派層の影響力について、1993の年の細川政権、2001年の小泉政権、09年の民主党による政権交代を挙げ、「無党派の風は8年周期で起きている」と指摘した。



【対談】中北浩爾 一橋大学教授   中野晃一 上智大教授

   「政党政治の底上げは可能か―揺れる安倍政権と野党の活路」 世界10月号


中北浩爾一橋大教授は『世界』の中野晃一上智大教授との対談で、安倍政権の強さについて、①自民党内の結束が乱れていない②自民、公明両党の協力関係が国政レベルで崩れていない③民進党をはじめとする野党が低迷している――ためだと分析する。特に、1999年の自公連立政権の誕生は大きな意味を持ち、自公政権が揺らぐ可能性はあるとしながらも、もし政権交代が起こるとしても「間欠泉的に噴出する『無党派の乱』によるもの」であると指摘した。その上で、中北氏は「選択肢は、自公か『風』か。極めて危うい改革型のポピュリズムによってしか政権交代が起こらない」と強調した。


迷走する野党共闘についても、中北氏は民進・共産両党の関係は自公関係に比べ選挙協力面で大きな後れをとっており、政権選択選挙である次期衆院選では「共産党が路線転換しないと,その(野党共闘)ための条件は整わない」、「民進党から共産党に対して路線転換を求めるべきだと考えている」などと強調した。中北氏によれば、自公は民共より1・5倍以上の固定票を持ち、候補者調整、票の融通を徹底しているのに対し、民共は票の融通は不可能で候補者調整にも苦慮しているとしている。


さらに、中北氏は野党共闘が民進党の組織変革につながるよりも、個々の議員が生き残りのために共産党票に依存することになりかねないと懸念を示す。また、細野豪志議員のような保守系議員が民進党を離党することで「社民リベラルと中道保守の連合政党たる民進党が解体し、残った勢力は社会党化、いや社民党化していく恐れがある」と指摘した。



写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ


※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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