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トランプ政権と日米関係(2017年4月号)

投稿日 : 2017年04月19日

トランプ政権と日米関係

 

■石破茂・元防衛相 「日米安保の在り方を提起せよ」文藝春秋4月号

 

自民党の石破茂元防衛相は文藝春秋の論文で、トランプ米政権発足後の最重要課題である安全保障問題について、日本側が「日本の独立と平和のために、(中略)日米安保は今後こうあるべきだと積極的に提起するべき時だ」と論じた。

 

2月に行われた日米首脳会談では、「日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」と共同声明に明記され、尖閣諸島の安全保障についても「日米安保条約第5条の適応範囲」であることが確認された。しかし、石破氏は「成果があったのは非常に良かったと思いますが、一歩引いて現実を冷静に見ておく必要があります」とし、「『これで間違いなくアメリカが守ってくれる。ワーイ、よかった』という話で終わらせてはなりません」と念押しした。特に、石破氏はトランプ大統領がこれまでの政策的な既定路線を根本から見直す姿勢を示しているため、この機に「日米安保の在り方や、自衛隊の役割について今一度根本から考えてみなければなりません」と強調した。

 

また、石破氏は、トランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決定したことに関連して、今後の日米二国間交渉では牛肉・豚肉の畜産業をどう守るかが重要課題になると指摘し、トランプ政権の下での日米関係は「日米首脳会談の成功で『事成れり』」ではなく、「スタート地点に立ったばかり」であるとの認識を示した。



出井伸之・元ソニー社長/クオンタムリープCEO 「中国を敵に回すことはない」 文藝春秋4月号


元ソニー社長でクオンタムリープCEOの出井伸之氏は文藝春秋の論文で、トランプ政権が「反中」的な政権と見られていることに対し、「中国に対しては礼節を重んじた、大人の関係を続けているように見えます」と指摘。米中関係は外からはうかがい知れない「奥深い」関係にあると強調した。その上で、出井氏は「アメリカにとって中国と対立しても、いいことなどありません」として、トランプ政権は「中国との関係強化に自ずと進んでいく」と論じている。

また出井氏は、アメリカ政財界と中国共産党上層部との間では、深い人脈づくりや関係構築が行われていることを指摘。今後の米中関係のキーマンとして、中国では、ゴールドマンサックスの元CEOで、ジョージ・ブッシュ政権時代のポールソン財務長官が、“橋渡し役”として目されているとした。

一方、出井氏は、トランプ大統領の野心について「戦後体制に代わる二十一世紀体制の構築にあると見ている」とし、戦後の枠組みを構築してきたG7、G20IMF、国連などの国際機構に大ナタを振るい、揺さぶりをかけて来る可能性があるとも指摘。こうした動きの中で日本が進むべき道について、出井氏は、「米中が協調して手を組んでも焦る必要はありません。日本は冷静に『第二集団』のトップを目指せばいいのです」と述べ、「アメリカに寄らず中国に寄らず、独自の成熟国家としてアジアから頼られる存在を目指す」べきだと主張した。



■渡部昇一・上智大学名誉教授 「覚醒するか、ジャパン・ファーストの精神」 正論4月号


上智大学名誉教授の渡部昇一氏は「正論」の論文で、2月の日米首脳会談を受けた今後の日米関係について、「日米の関係は盤石で、よほど変な出来事が起こらない限りは、日本は何でも落ち着いて政策を実行できる状況にある」と主張した。また、日米首脳会談で、尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用範囲であると確認されたことは「国境をキッチリさせることの一環」であるとし、両国が中国を軍事的な脅威と認め、さらに、「国境」の重要性を再認識するという点で歩調が合えば、(経済など)他の問題について心配することはないと論じている。また、渡部氏は、トランプ政権の誕生とEU離脱について、他の国々が自由主義路線を歩むなかで、「『国境』の重要性」を断固として打ち出したと評価した。 


写真:ロイター/アフロ


※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。


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