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G7伊勢志摩サミット | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

今月の論壇から

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G7伊勢志摩サミット

投稿日 : 2016年05月11日

■ G7 伊勢志摩サミット

 

??????????????????・五百旗頭真「国際協調と自由貿易への原点回帰」 『外交』5月号

 

主要国首脳会議(G7、伊勢志摩サミット)が5月26,27日に三重県で開催される。国際政治学者で熊本県立大学理事長の五百旗頭真氏は、不透明感の増す国際経済や相次ぐテロなど難題を抱える世界情勢の中で、「改めて『秩序の担い手』としてのG7の役割が再評価される状況が生まれている」と分析。その上で、伊勢志摩サミットの課題は、国際協調体制としての国連体制とIMF・GATT体制などによる自由貿易体制を柱とする、国際秩序の安定に取り組むことだとしている。(写真:AP/ アフロ)

 

サミットは通算42回目、日本での開催は8年ぶり6回目となる。五百旗頭氏は、日本にとってのサミットの歴史的位置付けとして、「『外交三原則』(1957年作成、国連中心主義、アジアの一員、自由主義国との協調)を掲げつつも、実質は日米基軸一辺倒だった戦後の日本外交が、ヨーロッパを視野に入れることでグローバルな視野を獲得する場」であったと改めて評価した。

 

一方で、五百旗頭氏は2008年のリーマンショック以降、影響力を増大させてきた中国、インドなどを含むG20の動向について、「さまざまな自己主張や、先進国に対する不満はあっても、意見を集約して国際秩序を安定させる担い手たらん、という意識は希薄」と分析。むしろ、G20が「現状打破、秩序破壊に向かいかねない危険さえ見受けられます」とさえしている。

 

安倍晋三首相は、今回で通算5回目のサミットを迎える。五百旗頭氏は「安定政権で権力基盤が強固なことは外交にとって大きなプラス」と述べ、強みと同時に弱みもあると指摘している。具体的な強みは、日米基軸の強化に加え、63の国・地域の歴訪と訪問先での共同プロジェクト推進を挙げ「(G7メンバー国)以外の国や地域とも積極的に関係を構築してきた」ことだとしている。

 

一方の弱みは、大胆な金融緩和、財政出動、規制緩和を進めてきたアベノミクスの行方であり、五百旗頭氏は「肝心の経済が難しい状況に入り始めました。無理をすると、転ぶかも知れません」と警鐘を鳴らしている。

 

長嶺安政、実哲也、田所昌幸(鼎談) 「『課題先進国』日本の経験を共有財産に」 『外交』5月号

 サミットの事前調整を行うシェルパ役で外務審議官の長嶺安政氏は、伊勢志摩サミットの広範な課題について言及している。G7の役割について、「民主主義国の集まり」との大前提に立って、「政策の協調を図り、問題解決への道筋を定めて、自ら行動し、あるいは国際社会に対して行動の指針を示す」ことが求められていると改めて強調。

 

G7とG20との関係についても、「対立的に捉える必要はない」、「この分野(貿易を含む国際経済)の政策協調は基本的にはG20がメイン」などとしながら、新興国経済が調整局面に入っていることから「経済的にはむしろG7がリードする環境が再び生まれるなど、ここ数年は、G7の価値や役割が見直される傾向にある」との認識を示した。

 

テーマについて、田所昌幸・慶大教授は「注目したいのは、金融、難民、民主主義、南シナ海、の四点」とした上で、「グローバルなデフレが進行しており、為替レートが政治問題化すること」への危惧を指摘した。これに対し、長嶺氏は「アベノミクスはいち早く三要素(金融政策、財政政策、構造政策)の組み合わせで進めていたこともあり、議論をリードできます」として、為替問題が政治問題化することはないとの見通しを述べた。

 

難民問題についても、長嶺氏は「難民の直接の受け入れ人数は少ない」と前置きしながら、「シリア周辺国への支援は中東政策の核心の一つとして積極的に行ってきました。欧州でバルカン半島など難民の『通り道』にあたる国々へのサポートも同様です」と述べ、難民問題における日本の立場は、「グローバルな文脈で捉えて、幅の広いメニューで議論」することだと説明した。

 

日本が独自に設定するテーマでは、「質の高いインフラの促進、国際保健分野でのイニシアティブ、女性が輝く社会の実現」の3本柱を挙げ、世界で年間約1兆ドルに上る国際インフラの需給ギャップを埋めるためのイニシアティブ発揮を訴えた。また、国際保健は「日本がこれまでサミットで特にハイライトしてきた実績のある分野」として、国際保健基金の在り方や公衆衛生危機対処などで更に尽力する考えを示すとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の考えに基づいて、母子保健から高齢者のケアまで、継ぎ目なくフォローできる保健医療サービスの普及を推進する考えであると述べた。

 

・北岡伸一「鎖国思想が招く国力の低下」 『中央公論』5月号

 国際政治学者で東大名誉教授の北岡伸一氏は、伊勢志摩サミットに関連して、日本が長年推進してきた「人間の安全保障」政策の重要性を改めて指摘、「四〇〇万を超える人(シリア難民)が国を追われている。多数の難民の受け入れは難しくても、弱者を保護するという考え方には共鳴する人も多いだろう」と強調した。

 

さらに、北岡氏は「これらを積み重ねていくことが世界に日本の存在感を発揮することである。『国際社会で名誉ある地位を占める』ことは、憲法の前文でもうたわれていることでもあるのだ」としている。

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

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