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2016年 国内政治・経済展望

投稿日 : 2016年02月19日

・牧原出×中北浩爾×竹中治堅「参院選『改憲3分の2』はあるか」『文藝春秋』2月号

・黒田東彦「日銀総裁、デフレ脱却はいつですか?」『文藝春秋』2月号

・飯田泰之「再増税、2014年の二の舞になるな」『Voice』2月号

 

2016年の国内政治の山場は、7月に予定されている参議院選挙だ。参議院の議席(242議席)の半数が改選されるこの選挙の注目点は、自民党・公明党を中心とした改憲勢力が3分の2(162議席)を超えるかどうかにある。衆議院はすでに与党で3分の2を超えており、参議院でもこれを超えれば、憲法改正の国民投票の実施が現実味を帯びる。自公は2013年の前回選挙と同水準(76議席)で勝利しても3分の2には届かないが、改憲志向を持つ「日本のこころを大切にする党」(旧・次世代の党)や「おおさか維新の会」を加えれば届く可能性もある。

 

この参院選が、衆参ダブル選挙となるかについても関心が集まっている。『文藝春秋』2月号の対談「参議院選『改憲3分の2』はあるか」では、東京大学教授の牧原出氏政策大学院大学教授の竹中治堅氏が、「可能性あり」とみる一方、一橋大学教授の中北浩爾氏は「……可能性はかなり低い」と述べる。中北氏はその理由として、「一票の格差問題」で直近の衆議院選が違憲状態と判断されたこと、解散の大義名分がないこと―などを挙げている。これについて、牧原氏は、「安倍首相は、安保法制を成し遂げた後、自身が本当にやるべきことが何なのか見えなくなっている気がします。もう憲法改正くらいしか大義名分らしきものがないかもしれません」と分析。これに対し、竹中氏は「……安倍首相が大義名分の正当性よりも、『勝てるときに勝てばいい』という考えを優先していることは、一四年の解散・総選挙で証明されています」との考えを示す。

 

また野党第一党の民主党について、中北氏は「……政権交代の可能性を見出せなくなっていて、深刻な状況です。……残念ながら、いまだに民主党は政権運営の失敗の総括すらできていません」と述べ、こうした民主党の不安定さが、ダブル選の可能性を高めていると指摘している。

 

■  日銀総裁が語る日本経済

 

BOJ Governor Kuroda speaks during an upper house financial committee meeting of the Parliament in Tokyo経済の行方にも引き続き注目が集まる。日銀総裁の黒田東彦氏は、就任時、2%の物価上昇を掲げて「異次元」と称される質的量的金融緩和を打ち出したが、就任から3年近く経った現在も目標を達成できていない。このことについて黒田氏は、『文藝春秋』2月号「日銀総裁、デフレ脱却はいつですか?」のなかで、「……そういう意味では『途半ば』です」としたうえで、それまでマイナスだった物価上昇率(天候などに左右されやすい生鮮食品を除いた物価指数であるコアCPI)は、一三年秋にはプラスに転じており、「……実際、物価の基調は大きく改善しています」と説明。また、原油価格の下落が目標達成への大きな障害であるとしつつ、「……その原油価格もいずれは下げ止まって安定、もしくは反発して上がる時期がくる」「……これを前提にしますと、『二〇一六年度後半頃』に、二%の目標を達成できる」としている。

 

金融政策関係者の間では異次元緩和への危惧が強く、出口戦略を示すべきだという意見も出ている。これについては、米国FRBを引き合いに出し、事前に出口戦略の選択肢を示すリスクを認識しておく必要があるとしたうえで、「……日銀は十分な政策手段を持っており、出口戦略に困難が伴うとはまったく考えていない」と説明。また、政府が日銀の金融緩和に並行して行うはずだった消費税増税が先延ばしされていることについては、「……税はもともと政治的な話ですから、政府と国会で決めるということに尽きる。少なくとも中央銀行の立場からどうこう言うべきで話ではありません」と、明言を避けている。

 

■  増税先延ばし論

 

2017年4月に予定されている消費税率再引き上げに対しては、経済専門家の間でも様々な議論がなされている。明治大学准教授の飯田泰之氏は、Voice』2月号「再増税、2014年の二の舞になるな」のなかで、「二〇一四年四月の消費税増税は増税反対派の予想さえも大きく上回る経済停滞をもたらした」とし、「このような増税リスクを回避する最も直接的な方法は、消費税増税の再延期である」と主張する。また「二%の増税は(年間)五兆円の国民負担増である。そのショックを緩和するには最低でも五兆円規模の給付措置が必要」とし、初年度五兆円の給付を3年かけて減額し、ショックを分散させる必要を説いている。

 

 写真:ロイター/アフロ

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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