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実施日 : 2007年03月27日

‘超’高齢化日本を支える「地域医療」プレスツアー

投稿日 : 2013年08月23日

30年前から地域医療に取り組む ~ 新潟県・南魚沼医療福祉センター ~   「保健・医療・福祉」が一体となって守る高齢者の暮らし

 

実施日:2007年3月27日

 

「2007年問題」-日本の戦後ベビーブーム世代、いわゆる「団塊の世代」の大量退職-が騒がれて久しい。1947年生まれの220万人が定年を迎える今年、日本は「超高齢化」時代へ突入する。2005年国勢調査によると、日本の高齢化率は20.2%だが、今後2023年には30%、2052年には40%に達すると予測されている(2006年度高齢社会白書)。少子化傾向も続く中、この先増え続ける高齢者を誰がどのように支えていくのか、高齢者が健康で安心して快適に暮らしていくことができる社会システムの確立が急がれる。

 

地域医療は、地域の特性や社会的要因に配慮した形で、予防、治療、在宅ケア、リハビリ、介護・福祉サービスの「包括医療」を実践して住民の暮らしの質の向上をはかるもの。日本では、最初に地域包括ケアシステムを確立した広島県尾道市御調町と30年前から保健・医療・福祉の連携による地域医療に取り組む新潟県南魚沼医療福祉センターがその草分け的存在だ。

 

同センターは、他者による高齢者介護という概念が無かった30年前(1976年)から、保健・医療・福祉が連携して高齢者の暮らしを支援する地域医療を実践してきている。病院・高齢者ホーム・検診センター・ヘルパーステーション・訪問介護ステーションが同じ敷地内に隣接且つ連結して存在しているため、天候や時間にかかわらず行き来でき、緊急時も即時対応が可能だ。また、地域医療の要である訪問看護を1980年に全国に先駆けて開始し、同地域に在宅ケアが普及。その後、政府がそれを後追いする形で2000年に介護保険制度を整備した。

 

新潟県南部に位置する南魚沼市は、人口約63,000人、高齢化率24.9%(住民基本台帳2006年3月)、雄大な越後三山、日本一美味しい「南魚沼産コシヒカリ」、そして35年前に日中国交正常化を果たした、故・田中角栄元首相の地元選挙区として有名。上越新幹線・浦佐駅前には雪避けの屋根がある故・角栄氏の銅像が今も建つ。同市は、豊かな自然の中で住民が健康で安心して暮らせるまちづくりを推進する。国際大学等もあり文教都市の一面も持つ。

 

これまでFPCツアーでは、仙台市とフィンランド政府による健康福祉プロジェクト(2005年)、富山市の高齢者にやさしいコンパクトなまちづくり(2006年)等、自治体主導の先進的な取り組みを取り上げてきた。今回は、30年前に立ち上がり、地域の実情と市民の生活に即して着実に成長してきた南魚沼の地元密着型の医療・福祉サービスを取材し、高齢化社会を豊かに生きるための地域=コミュニティが地道に成長していく姿を追う。

 

※本ツアーは南魚沼医療福祉センターと同市民の方々のご協力を得てFPCが企画しました。

 

取材内容

 

 

【写真1】越後三山・八海山(2007年3月9日撮影)
【写真2】特別養護老人ホーム八色園
【写真3】訪問看護
【写真4】ヘルパーさんによる入浴援助

 

1. 南魚沼医療福祉センター 「保健・医療・福祉」の連携で地域医療を推進

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JR浦佐駅から車で5分、霊峰八海山を望む田園地帯に位置する同センターは、「自分達の健康は自分達の手でつくろう」、「健康増進・予防・治療・治療リハビリの一体化」を提唱し、地域の特色と住民の生活に根ざした地域医療を実践する。その中核の「ゆきぐに大和病院」、保健活動の拠点「農村検診センター」、福祉を担う「特別養護老人ホーム八色園」、「訪問看護ステーション」、「ヘルパーステーション」の5施設・機関が密接に連携して「いつでも、どこでも、誰にでも」医療サービスを提供する。米山恒夫事務長は「地域医療とは医療の名を借りた生活支援」との信条をもつ。

 

2.南魚沼の地域医療30年の歩み:市立ゆきぐに大和病院・斎藤芳雄院長

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FPCが誕生した1976年、新潟県南魚沼郡大和町に大和医療福祉センターが開設された。「徹底した予防活動」「良心的医療」「充実した福祉」の一体化により、老人医療費を下げ、住民のすばらしい「生」と「死」を保障する同構想は、東京から新潟に移り住んだ斎藤院長が二人の大先輩(黒岩卓夫前院長と権平達二郎氏)とジョイント・ベンチャーのように立ち上げ、院長いわく「高齢化社会に向けた“ささやかな実
験”」として展開してきた。また、斎藤院長は当時の田中角栄首相の地元「新潟三区」に住んで変貌の様子を目の当たりにし、近代化によって地方=農村が中央=都市に呑み込まれていく矛盾した構造に気付いたという。高齢化が進む中、市町村レベルで取り組む地域医療・福祉の充実を「地方の再生」につなげたいという斎藤院長の挑戦とヴィジョンをきく。

 

 

3.地域医療の要-在宅ケアと訪問看護・訪問介護

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ゆきぐに大和病院の一角に集積する「訪問看護ステーション」 >> Link「地域包括支援センター」 >> Link「ホームケアステーション」 >> Linkは小規模ながら地域医療の「要」の役割を果している。同院は1980年に地域看護部(現ホームケアステーション)を設置し、医師の定期・臨時往診等必要なときにいつでも医療が受けられる体制を整え、それにより同地域に在宅ケアが普及した。93年にヘルパーステーション、95年には訪問看護ステーションを開設。これらの活動は2000年に施行された介護保険法の前身となるものであった。現在、訪問看護ステーションは保健師、看護師、リハビリ士等10名で運営、年間延べ約6800件(05年度)を訪問し、身体の保清、排泄援助、リハビリ、医療処置、家族の指導等を行う。本ツアーでは小グループに分かれて訪問介護の現場に同行取材する。

 

 

4.デイサービスと個性尊重-特別養護老人ホーム八色園

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南魚沼市を中心に3市3町で運営する公立の八色園は1975年に県下7番目の施設として開設、2003年に「全室個室・ユニットケア(小規模介護)」の新型特養(定員100名、及び短期入所20名)となった。日中(7:30~18:30)に高齢者を預かるデイサービスセンターは1987年の開設以来、一般(定員41名)、認知症(9名)を対象に地域のケアマネージャーとも連携した個別介護サービスを行っている。入居者や利用者の個性、意思、プライバシーを尊重したつくりの個室や浴室、職員やボランティアを含め園内の人々が交流できる公共スペースも随所に設けられ、窓の外には雄大な越後三山が聳え立つ。介護される者、する者共に安心と快適を享受できる場所だ。

 

5.住民の検診と食育-健友館「健康懐石膳」

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健友館は1989年に完成、以来、人間ドック、住民検診(基本健康診査、各種ガン検診をセットにした総合検診)、近隣事業所の検診等、地域の検診事業や、南魚沼の有する医・食・農を活用した健康増進事業「健康やまとぴあ」を実施している。「健康懐石膳」は人間ドック受診後の特別ランチで、前年の受診データを基にその年のメニュー・テーマを設定し、季節の食材を使って調理される。2007年のテーマは「メタボリック症候群の予防」。本ツアーの昼食では「健康懐石膳」を頂くのみならず、本場の南魚沼コシヒカリ米、そして食前酒として地元の銘酒「八海山」が振舞われます。お楽しみに!

 

 

 

実施要領

 

 

 

【写真1】南魚沼医療福祉センター全景
【写真2】地域医療の中核-ゆきぐに大和病院
【写真3】上越新幹線・浦佐駅前に建つ故・田中角栄首相銅像
【写真4】同センターから眺める霊峰八海山

 

1) 日程(案):

 

3月27日(火)
08:15 東京駅上越新幹線プラットフォーム集合
08:24 同発(Maxとき309号)
09:59 浦佐着(タクシー移動 5分)
10:15 南魚沼医療福祉センター 着
10:30-45 同センター概要説明:米山事務長
10:45-11:30 南魚沼の地域医療30年の歩み:斎藤院長
11:30-45 八色園概要説明:大平施設長
11:45-12:45 園内視察
12:50-13:40 昼食「健康懐石膳」@健友館
13:45-13:55 訪問看護ステーション、地域包括支援センター、ホームケアステーション 視察

 

 

14:00-14:30 南魚沼医療福祉センターの在宅ケアシステムと訪問看護 説明:佐藤所長
14:30-16:00 訪問看護・訪問介護の現場 取材 (5グループ)
16:15-16:45 質疑(総括)
同センター発(タクシー移動)
18:14  浦佐発(Maxとき342号)
19:50  東京着

 

2)参加資格: 外務省発行外国記者証保持者

 

3)参加費用: 1人¥5,000-(全行程交通費、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。

 

4)募集人数: 先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)

 

5)FPC担当: 小泉、永井(Tel:03-3501-5070, 3405) 

 

6)備考: (1)写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従って下さい。 (2)南魚沼医療福祉センター、及びFPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。 

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