プレスツアー(案内)

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実施日 : 2018年11月09日

郡山・猪苗代プレスツアー

投稿日 : 2018年10月24日

「一本の水路」が もたらした豊かな恵みと「郡山ブランド」

 

明治維新から今年でちょうど150年。改めてこの激動の時代における日本の近代化を振り返り、短期間で成し遂げた政治・経済・社会改革を再評価する動きもある。

福島県郡山市・猪苗代町で文化庁による日本遺産として認定されたのは、安積開拓・安積疏水開さく事業の物語「未来を拓いた「一本の水路」」である。この事業は、明治時代初期に猪苗代湖の水を奥羽山脈がそびえる東側の荒れた安積(あさか)原野(郡山市)に流し、乾いた大地を潤いと実りのある豊かな大地へと変えた。
延べ85万人を動員し、当時の年間国家土木予算の約3分の1を要する巨大プロジェクトは約3年にわたり、猪苗代湖と郡山市は「一本の水路」でつながった。

 

このツアーでは、明治政府初の国営農業水利事業を実現させた人々の物語を知るとともに、この歴史的プロジェクトが地域にもたらした「恵み」を活かし、受け継ぎ、地域の特産品や観光資源としての普及を目指す取り組みを取材する。

 

 

[取材先]

十六橋水門・猪苗代湖

安積疏水開さく事業で作業の担い手となったのは明治維新により刀を捨て、無職とならざるを得なかった武士で、九州を皮切りに全国からその家族を含め約2,000名が郡山に移住した。一番初めに着手された同事業のシンボル的構造物が十六橋(じゅうろっきょう)水門。水門は猪苗代湖の西側に建設され、水位調整・治水の機能を持ち、現在も大雨の際の洪水調整などの防災面で大きな役割を果たしている。日本最古のコンクリート水門施設といわれている。

 

十六橋水門を訪れ、「一本の水路」のストーリーを学ぶ。
「一本の水路」の端緒をなす上戸(じょうこ)浜を訪れ、猪苗代湖の眺望を撮影する。

 

 

 

「鯉に恋する郡山プロジェクト」
市町村別生産量全国一、郡山市の鯉の養殖と鯉料理

福島県は全国2位の養殖鯉の生産量を誇り、その多くが郡山市内で生産されており、市町村別では郡山市が全国一だ。郡山の鯉の養殖は、江戸時代に水不足対策としてかんがい用のため池が多く造られたことが始まりとされている。その後、安積疏水によってかんがい用の水が確保できるようになったことから、ため池を鯉の養殖に利用しはじめ、さらに養蚕業が盛んとなって鯉のエサとなる蚕のサナギが増えたことで鯉が育つ環境が整い、鯉の養殖が盛んになったとされている。

 

郡山市では、「郡山ブランド認証産品」でもある鯉の郷土料理復活と消費拡大のため、「鯉に恋する郡山プロジェクト」が2015年に始動。市内で鯉料理を提供する飲食店は3店舗から40店舗以上にまで拡大した。また、産官学の連携により、魚介類の中ではビタミンB1を最も多く含むなど栄養豊富で滋養強壮効果の高い健康食としても注目される鯉の効能を広く周知するなど「郡山=鯉」のイメージ定着を図っている。

 

(株)熊田水産は年間500t以上の生産量を誇る鯉の養殖業者で、福島県内に14の養殖池を有する。養殖池の管理やエサの工夫など養殖技術を磨いてきた同社は、養殖だけでなく、うま煮などの加工品の製造・販売による6次産業化や市内の学校給食に鯉を使ったメニューを登場させるなど、鯉を食する習慣の普及にも取り組んでいる。

 

熊田水産の養殖池を訪れ、エサやりの様子を撮影するとともに、熊田純幸(すみゆき)代表取締役より良質な鯉を育てる秘訣や鯉の普及活動について説明を受ける。

 

 

「一本の水路」の恵みを食する:郡山の豊かな食文化を体験

「一本の水路」により、豊かな水田が広がる福島県一の米どころとなった郡山。郡山産米「あさか舞」や良質な水が作り出す日本酒も郡山市による「郡山ブランド認証産品」に登録されている。

 

今年創業100年を迎えた磐梯熱海温泉の老舗旅館「四季彩一力(いちりき)」にて、熊田水産から仕入れた鯉や「あさか舞」を使用した昼食をとりながら齋藤清男(せいお)総料理長より郡山の食文化について説明を受ける。


昼食後、四季彩一力の総面積5,000坪を誇る紅葉が美しい(予定)日本庭園を視察。猪苗代湖からの水が回遊し鯉や水鳥が遊ぶ野趣豊かな庭園を撮影する。

 

 

東北唯一のクラフト・ジャパニーズ・ウィスキー蒸留所:笹の川酒造株式会社

笹の川酒造は江戸時代から主に日本酒を製造・販売しており、安積原野開拓のため地元の富商たちによって結成され、今も続く「開成社」の立ち上げ当初からのメンバーだ。同社は、戦後のコメ不足をきっかけにウィスキー作りを開始し、同社の前身である山桜(やまざくら)酒造の名を冠した「チェリー・ウィスキー」は1980年代のウィスキーの流行時、「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」とされ日本を代表する銘柄として愛されてきた。ウィスキーの人気が下火だった時期も新規の蒸留は休止されていたものの、熟成済のウィスキーの販売は今日まで休まず続けられてきた。ウィスキーは、フランスを中心にヨーロッパ30カ国に加え、カナダにも輸出されており、出荷量の4割を輸出が占める。

 

2010年代に入ってから徐々に興った世界的なウィスキーブームや品評会での入賞により、日本のウィスキーの評価も急上昇。その追い風を受け、同社のウィスキーの売れ行きも再び伸び始めた。2015年の創業250年をきっかけとした設備投資により、翌2016年に敷地内に安積蒸留所をオープンさせ、再びウィスキーの蒸留を開始した。新しく仕込んだウィスキーは3年間の熟成を経て出荷となるため、来年秋の「新酒」の出荷が待たれている。

 

日本酒造りでは杜氏としても活躍する山口敏子(としこ)常務取締役の案内で安積蒸留所を訪れ、ウィスキーの蒸留の様子や熟成中のウィスキー樽が並ぶ倉庫を撮影する。ショップを訪れ、試飲も行う。


 



郡山の伝統工芸品「張子(はりこ)」

郡山駅の東側には江戸時代から約300年続く4軒の張子作りの工房からなる集落「高柴デコ屋敷」があり、人気の観光スポットとなっている。張子とは、木型に紙を張りつけて筆で絵付けをし、その後木型を抜き取った工芸品。彦治(ひこじ)民芸は、集落のなかで初めて張子で十二支を制作した工房とされている。

 

彦治民芸を訪れ、十一代目橋本大介氏より、郡山ブランド認証産品でもある張子について説明を受けるとともに、最盛期を迎えた来年の干支・亥(いのしし)の張子の絵付けを行っている十代目橋本髙宜(たかよし)氏の作業の様子を撮影する。希望者は絵付け体験も可能。

  

 

 

[実施要領]

 

1. 日程:2018年11月9日(金)

 

7:12-8:33 東京駅→郡山駅(やまびこ123)
9:50-10:20 十六橋水門
10:55-11:15 上戸浜(猪苗代湖)
11:40-12:50  四季彩一力(昼食)
13:20-14:00 熊田水産
14:35-15:45 笹の川酒造
16:25-17:15 彦治民芸(張子)
18:30-19:48 郡山駅~東京駅(やまびこ154)

※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。

 

2. 参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3. 参加費用:5,000円(全行程交通費、昼食を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4. 募集人数:6名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)

※申し込み人数が6名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当:広報戦略課 佐藤 彩子・鈴木希

(Tel: 03-3501-5251、E-mail: sc@fpcjpn.or.jp)

 

6. 備考:

(1)本プレスツアーは日本遺産「一本の水路」プロモーション協議会が主催し、FPCJが企画・運営を担当しています。

(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

(4)日本遺産「一本の水路」プロモーション協議会、及びFPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

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