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実施日 : 2009年06月02日

【プレスツアー】2009年6月2日: 野菜工場プレスツアー

投稿日 : 2013年08月22日

「野菜工場」プレスツアー
~3C(Clean, Cool, Clear)で農業は変わるか?~

 

野菜などの植物を外気と遮断された室内で生産する「野菜工場」未来型農業として注目を集めている。光や温度、湿度、二酸化炭素、水などをコンピュータで管理することで、年間を通して安定的な収穫が期待でき、「安全・安心」の食材を求める消費者ニーズにも合致。さらに、重労働や不安定収入といった農業のイメージを変える可能性があることから、若者を中心に新たな雇用を生み出すことも期待されている。

 

3C(Clean, Cool, Clear)をキャッチコピーに、産官学が一体となって急速に普及の機運が高まってきた野菜工場は、日本の農業に新たな風を吹き込むことができるのか。ツアーでは野菜工場の可能性を多角的に探る。
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野菜などの植物を外気と遮断された室内で生産する「野菜工場」未来型農業として注目を集めている。光や温度、湿度、二酸化炭素、水などをコンピュータで管理することで、年間を通して安定的な収穫が期待でき、レタスでは1年に20回の連作も可能だ。完全密閉型のクリーンルームで栽培した野菜は、完全無農薬で洗わずに食べられることから、「安全・安心」の食材を求める消費者ニーズにも合致、天候などに左右されず高品質野菜が安定供給されるため、外食産業などでの需要も高まっている。さらに、重労働や不安定収入といった農業のイメージを変える可能性があることから、若者を中心に新たな雇用を生み出すことも期待されている。

 

普及への最大の課題は、光や空調などに大量のエネルギーを消費することによるコスト高だが、発光ダイオード技術など省エネ技術の開発も進んでいる。政府としても野菜工場の普及を本格的に支援する方針で、今後3年間で、野菜工場の数を現在の3倍の150ヵ所に、生産コストを3割削減する目標を掲げ、追加の経済対策にも支援策が盛り込まれている。

 

3C(Clean, Cool, Clear)をキャッチコピーに、産官学が一体となって急速に普及の機運が高まってきた野菜工場は、日本の農業に新たな風を吹き込むことができるのか。ツアーでは野菜工場の可能性を多角的に探る。

 

 

1.(株)みらい
~若き起業家が挑む農業革命~

 

(株)みらい ウェッブサイトへ

 

2008年5月、南極の昭和基地の野菜工場で新鮮なレタスが収穫された。蛍光灯の光と培養液、二酸化炭素装置を使った栽培装置を開発したのが、千葉県松戸市の農業ベンチャー企業(株)みらいの嶋村茂治社長(37)だ。嶋村社長は千葉大学大学院で栽培技術を学んだあと、04年に(株)みらいを設立。人工照明や培養液、二酸化炭素、温度など全てセンサーで制御した完全制御型水耕栽培システムを採用した「グリーンルーム」と呼ばれる植物工場を開発し、06年には松戸市のマンションに野菜工場を完成。そこで栽培した野菜をそのまま販売する店舗「グリーンフレーバー」も併設し、生産と販売を一体化させ、究極の地産地消を実現したビジネスモデルを展開し、JAPAN SHOP SYSTEM AWARDS 2007の優秀賞を受賞した。

 

これまで、技術供与した工場は南極・昭和基地を含めて4ヵ所だが、最近では問い合わせが月100件を超え、東南アジアや中東など海外からも引き合いも来ている。今後1年間で、技術協力による工場建設は日本国内だけで20ヵ所程度に増える可能性があるという。

 

ツアーでは、自称「農業ソフトウェア会社」を率いる嶋村茂治社長より植物工場開発の経緯や今後の事業展開などについて話を聞くとともに、同社のグリーンフレーバー五香店を取材する。

 

 

2.小津産業(株) 日本橋やさい
~空き倉庫を利用、東京産野菜の地産地消を目指す~

 

小津産業(株) ウェッブサイトへ

 

1653年和紙問屋として創業、以来紙卸、不織布加工販売を主な業務として350年以上の歴史を誇る小津産業が昨年、異業種である農業分野に参入した。事業の環境変化に伴い、都内の自社倉庫スペースの合理化を進め、その有効活用を検討していた。同じ頃、冷凍餃子産地偽装など食を巡る様々な問題が発生する中、東京という地の利を活かし地産地消のコンセプトで、作り手の顔が見える安心・安全の東京産の野菜作りを決断した。同社は、木綿からできた生分解性の不織布テープに野菜の種を封入して種をまくシーダー農法では国内100%のシェアを誇っており、もともと農業分野とも無縁ではなかったが、景気に左右されない新規事業として再び農業に着目(株)みらいの技術支援を受け、昨年10月、東京・府中市の倉庫の3階フロア(約500㎡)を利用して植物工場をオープンした。

 

既存の建物を利用したことで、初期コストは通常の半分程度に抑えることができた。現在8種類の野菜を栽培しており、レタス換算で1日1,800株の収穫がある。生産した東京産の高品質の野菜は、新鮮なうちに都内のホテルやレストラン、小売店などへ販売されている。新規事業名は「日本橋やさい」。創業以来、同社が東京・日本橋に本拠地を置いていること、また将来は創業の地である日本橋で野菜を栽培したいとの願いが込められている。

 

ツアーでは、府中市の植物工場を訪問、農業事業を取り仕切る金子裕一・新事業開発室長から、農業事業にかける思いと不景気を乗り切る新規事業戦略について話を聞く。

 

注意:(株)みらい及び小津産業(株)の野菜工場では、野菜を栽培しているクリーンルームの中に立ち入ることはできません。ガラス越しに野菜栽培の様子を撮影することは可能です。

 

 

3.千葉大学&政府関係者ブリーフィング

 

千葉大学園芸学研究科・園芸学部 ウェッブサイトへ

 

政府は、2008年9月に改訂された「新経済成長戦略」において、技術開発の推進などによる野菜工場の普及・拡大を積極的に支援することを明記。今年1月には、農林水産省と経済産業省による農商工連携研究会の下に「植物工場ワーキンググループ」を設置、大学や企業などの第一人者による、具体的な課題や支援策の検討を行ってきた。既に国会で審議中の追加経済対策では、最大の課題であるコスト削減技術の開発拠点の整備のための支援策などが盛り込まれている。また、こうした野菜工場の研究開発分野をリードしてきたのが千葉大学園芸学部で、栽培技術の研究やコスト分析など、様々な研究が行われている。

 

ツアーでは、植物工場ワーキンググループのメンバーで、この分野の第一人者である丸尾達千葉大学准教授より野菜工場推進のための研究や技術開発についてブリーフを受けるとともに、研究施設を視察する。また、併せて経済産業省担当者から日本における野菜工場の現状と課題、政府としての支援策についても説明を受ける。

 

 

 

【実施要領】

 

1. 日程案:2009年6月2日(火)
08:00 日本プレスセンタービル発(借り上げバスで移動)
09:00 千葉大学松戸キャンパス着
09:10-09:30 経産省ブリーフ
09:30-09:50 千葉大学丸尾准教授ブリーフ
09:50-10:20 質疑応答
10:20-10:50 研究施設視察
11:20-12:30 (株)みらい グリーンフレーバー五香店(松戸市)
13:00-13:45 昼食
15:15-16:30 小津産業(株)日本橋やさい工場(府中市)
17:30 日本プレスセンタービル着

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人2,000円(食事代、交通費を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、直接参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当:矢野・山内(Tel: 03-3501-3405)

 

7.備考
(1)写真・TV撮影は一部制限があります(野菜工場のクリーンルームへの立ち入りはできません)。担当者の指示に従ってください。
(2)当センターはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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