プレスツアー(案内)

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実施日 : 2006年05月16日

「茨城県東海村(日本原子力研究開発機構)」プレスツアー

投稿日 : 2013年08月22日

世界最高性能の中性子実験施設「J-PARC」と、核不拡散体制を支える研究施設「CLEAR」・「CTBT国内データセンター」

 

数多くの原子力関連施設が立地する茨城県。そのなかでも中心となっているのは、日本の原子力発祥の地・東海村である。この東海村にある日本原子力研究開発機構(略称:JAEA)東海研究開発センターでは、現在、中性子研究分野を含む世界最先端施設・大強度陽子加速器施設(J-PARC:Japan Proton Accelerator Research Complex)の建設が進められている。2008年度に稼動を開始するJ-PARCでは、光速とほぼ同じ速度(1秒間に地球7周半)まで陽子のスピードを上げて水銀体に衝突させ、中性子を含むさまざまな粒子を発生させることで、これまで観察することができなかったタンパク質の機能を浮かびあがらせることができる。この技術を応用し、将来は難病治療薬や、高密度磁気メモリの開発などが期待されており、この分野における日本の国際競争力をアピールするとともに、海外の研究者にも実験施設を開放することで、世界に開かれた研究拠点を目指している。

 

一方、同じく東海研究開発センター内では、核物質管理技術の向上とともに、国際的な核不拡散体制の強化に貢献することを目的として、2005年10月に核不拡散科学技術センターを設置。北朝鮮やイランの核開発疑惑が指摘され、核拡散への深刻な懸念が国際的に高まるなか、「高度環境分析研究棟」(CLEAR:Clean Laboratory for Environmental Analysis and Research)と「CTBT 国内データセンター(National Data Center)」の2つの施設において、世界の核不拡散体制のもと、核兵器開発を未然に防いだり、核実験を探知するための調査・研究を行うなど、「核の見張番」の一翼を担っている。

 

今回のツアーでは日本原子力研究開発機構東海研究開発センターを訪れ、建設中のJ-PARCや核不拡散関連施設を視察・取材する。また、中性子利用を機軸に産業の活性化を図る茨城県の取り組みについて説明を受け、原子力研究の産業利用についても理解を深める。

 

 

※このツアーの申し込み締め切りは5月1日(月)です。

 

※今回のツアーでは原子力関連施設への立ち入りが含まれるため、お申し込みの際は「備考」欄に外国記者登録証番号と参加記者本人の国籍を明記してください。
(日本人の場合は、所属機関における所属部署、役職名のみを明記してください)

 

※FPCでは、オフィスのリニューアル工事により、5月2日(火)夕方~7日(日)夕方まで、電話、FAX、メール等は一切受け取ることができませんのでご注意ください。

 

取材内容

 

大強度陽子加速器施設(J-PARC:Japan Proton Accelerator Research Complex)

 

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中性子を用いて物質・生命等の研究を行う研究施設には2種類ある。1つは原子炉での核分裂を利用する方法で、東海研究開発センター内のJRR-3原子炉をはじめ、米国、フランス、ドイツなどにも同様の施設がある。一方、「パルス」と呼ばれる方法では、加速した陽子を金属の原子核に衝突させることにより中性子を含む粒子を多数発生させる。このタイプの研究施設も米国・英国等に存在するが、現在建設中のJ-PARCでは規模やその先端性において世界をリードする中性子研究施設として期待が寄せられている。電磁力を利用して陽子を加速させる全長330メートルの直線コース「リニアック」と、2つの円形加速器(一周350mと1600m)、のべ3.6kmの軌道はすべて地下15mに位置し、その大半が
すでに地中化されているが、本格稼動前の現在は加速器や中性子ビームライン予定地を含む建設現場での撮影・視察が可能である。

 

茨城県

 

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東京の北東に位置し、人口は約300万人。「研究学園都市としてのつくば」、「ものづくりのまち日立」、「素材産業が盛んな鹿島」など、近年は多彩な産業が集積しており、また、進むインフラ整備により東京へのアクセスが向上、積極的な企業誘致に力を入れている。同県が提唱する産業振興策「サイエンスフロンティア21構想」では「東海地区の原子力利用産業」が想定され、J-PARCにおける研究開発は中核に位置づけられている。同県はJ-PARCの研究施設の一部(中性子を測定装置へ導くビームライン2本)を借り受け、
企業などに利用してもらう実験装置を設置。この2本のビームラインでは、それぞれ「物質・材料研究」と「バイオ研究」が実施されることになっており、前者では材料強度の研究により記録媒体の高記録密度化や非破壊検査の高度化などに適用され、後者ではタンパク質の構造解析により難病治療薬の開発や農業分野への応用などが期待されている。

 

高度環境分析研究棟(CLEAR:Clean Laboratory for Environmental Analysis and Research)
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IAEA(国際原子力機関)の保障措置活動を支える「環境試料分析」。核査察時に原子力関連施設内部の壁や床のほこりを試料として採取し、含まれているウランやプルトニウムの同位体組成を調べ、隠された軍事利用の可能性をあぶりだす分析手法である。CLEARではIAEAの依頼を受け、2004年より環境分析を実施。極微量のウランやプルトニウムの質量分析を行うことで、軍事目的の核開発を検知する役目を担っている。同施設内のクリーンルームは、半導体製造工場並みの清浄度を保ち、ほこりの量は通常の一万分の一程度。分析装置や研究内容から見ると、IAEA本部が所有する分析施設SALをも凌ぎ、世界最先端施設のひとつである。

 

 

CTBT国内データセンター(National Data Center)
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CTBT(包括的核実験禁止条約)早期発効に向けて、世界中に核実験を探知する監視観測所が設置されつつある。現在世界に80箇所あるCTBT放射線核種観測所で得られたデータが国際データセンター(ウィーン)を経て東海研究センター内のCTBT国内データセンターにも送信される。ここには、世界中のどこかで核実験が行われた場合、その場所や時間をトレースする技術と通信網が整備されており、CTBT国際検証体制の枠組みの中で、まさに「核の見張番」としての役割を果たしている。

 

 

 

実施要領

 

 

1.日程:2006年5月16日(火)
7:30 上野発(フレッシュひたち5号)
9:03 東海着
9:10 バス乗車
9:20 東海研究開発センター着
9:25~9:40 歓迎挨拶ならびに機構概要説明
9:40~10:35 J-PARC、中性子利用の概況説明
10:40~11:55 J-PARC視察
12:00~12:40 昼食懇談
12:45~13:45 茨城県の中性子産業展望
13:55~14:10 核不拡散をめぐる国際情勢と日本の現況についてのブリーフィング
14:10~15:20 CLEAR概要説明ならびに施設視察
15:20~15:50 CTBT国内データセンター概要説明
16:00 東海研究開発センター発
16:36 東海発(フレッシュひたち48号)
18:08 上野着、解散

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人8,000円(上野-東海 往復特急乗車券、昼食を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後程参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:先着順15名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が15名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。

 

5.参加申込:
FPCホームページ>> Link
「メディア・アシスタンス」の「プレスツアー情報」ページより直接お申し込み下さい。
(「申し込み」ページへはユーザー名:fpcj、パスワード:membersでアクセスできます)

 

6.FPC担当:山代・矢野(Tel: 03-3501-3405)

 

7.備考:
(1)写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2)FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

 

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