プレスツアー(案内)

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実施日 : 2009年10月22日 - 23日

【プレスツアー】2009年10月22-23日:「もう一つの日本」-山形プレスツアー

投稿日 : 2013年08月22日

~発展が、自然と人間と幸福に調和する-「もう一つの日本」~

 

- 最先端有機EL研究と、オバマ夫人を彩ったニット素材を生み出す“ものづくり精神”
- 聖なる山々に育まれた自然崇拝の文化

 

豊かな自然に抱かれた山形の暮らしには、山、岩、草などを敬う自然崇拝の心が今も息づいている。1961年から5年間、駐日米国大使を務めたエドウィン・O・ライシャワーは山形を訪れ、この地を「山の向こうのもう一つの日本」と呼び、将来、日本全体が山形のように「発展の余地があり、しかもその発展は自然と人間の幸福な均衡を損なわないものであって欲しい」と、山形に理想の日本の将来像を見た。緑に囲まれた環境のなか、地元の山形大学が核となり、CO2削減への貢献が期待される次世代型有機EL照明の研究開発が進む。脈々と受け継がれる職人文化をベースに世界最高レベルの製品を生み出す中小企業を訪ね、伝統を守りつつ、技術の限界まで挑戦する山形のものづくりの哲学を垣間見る。聖なる山として今なお崇拝されている出羽三山(羽黒山)で、自然と人間の結びつきを大事にする山形の精神文化の礎に触れ、「もう一つの日本」を考察する。
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美しい山々が広がる山形。その県土の7割以上が森林に覆われており、日本最大のブナの原生林を有する。県内には温泉が数多く湧き、さくらんぼ、もも、ぶどうなどの果物を産出するほか、米どころとしても名を馳せている。この豊かな自然に抱かれた山形の暮らしには、山、岩、草などを敬う自然崇拝の心が今も息づいている。1961年から5年間に渡り駐日アメリカ大使を務めたエドウィン・O・ライシャワーは山形を訪れ、この地を「山の向こうのもう一つの日本」と呼んだ。自然と人間が健全に調和している場所として礼賛し、将来、日本全体が山形のように「発展の余地があり、しかもその発展は自然と人間の幸福な均衡を損なわないものであって欲しい」と、山形に理想の日本の将来像を見たのだ。それは今まさに地球全体が目指すべき姿であるといえよう。

 

この緑に囲まれた環境のなか、地元の山形大学が核となり、CO2削減への貢献が期待される世界最先端の研究が行われている。世界で初めて白色有機ELの開発に成功した同大学の城戸 淳二教授が中心になり、有機ELを利用した照明器具の商品化が進められているのだ。有機EL (Organic Electroluminescence)とは、発光性の有機物が電気の刺激を受けて発光する現象。有機EL照明の特徴は、これまでにない薄さと省エネルギーで、「3年後に大量生産が実現すると、国内だけで数百億円の市場規模」が見込まれており、新たな産業としての期待が高まっている。元々繊維産業など、伝統的に職人文化が根付く山形には電気・機械関連の企業が数多くある。大学の知と、高い技術力を有する地元の中小企業の力を生かした新たな地場産業を育てる試みが進められている。

 

 

山形には、脈々と受け継がれる職人文化をベースに、世界最高レベルの製品を生み出す中小企業がある。そのひとつが、佐藤繊維株式会社だ。従業員100名余りの中小企業ながら、シャネル、ニナ・リッチ、イッセイ・ミヤケなど、世界の名だたる超トップブランドが同社から糸を買い付けている。今年1月のアメリカ大統領就任式においてミシェル・オバマ大統領夫人が着用したあの印象的なニナ・リッチのカーディガンも、佐藤繊維が作ったモヘア糸を使ったものだった。このほか、同社では世界で最も細い毛糸を始め、世界で一つだけの特殊糸を次々と作り出している

 

もうひとつ、山形の実直で木目細かい職人技術をつぶさに見ることができるのが、オリエンタルカーペット株式会社だ。山あいの小さな工場で作られる手織りのカーペットは、皇居、迎賓館赤坂離宮、そしてバチカン宮殿など、世界中から求められ、納品されている。熟練した職人でも1日に織れるのはわずか7センチほどという緻密な手作業によって織り上げられる絨毯はまるで絵画のようで、芸術の域に達するほどだ。ツアーでは、これらの地元の中小企業を取材し、古き良き伝統を大切にしつつ、技術の限界まで挑戦する山形のものづくりの哲学を垣間見る。

 

山形の美しい山々のなかでも、聖なる山として今なお崇拝されているのが出羽三山(月山、羽黒山、湯殿山)だ。古代の人々は、自然の恵みに包まれた暮らしのなかで、山・自然に感謝し、崇拝する心を育んでいった。出羽三山にはその起源を1400年前に遡る修験道・山岳信仰が今も息づいている。修験道は自然を神として拝む日本独特の宗教で、平安時代には仏教と融合し、多くの信仰を集めた。この信仰は、最盛期の江戸時代を経て、現在も静かに人々に受け継がれている。自然と人間の結びつきを大事にする山形の精神文化の礎に触れると、これからの「もう一つの日本」が見えてくる。

 

 

※本ツアーは山形県、山形大学のご協力により、フォーリン・プレスセンターが企画運営しています。

 

 

 

【取材内容】

 

1. 山形大学 米沢キャンパス 有機EL研究 (米沢市)
~山形で世界最先端の研究、低炭素社会に向けた有機EL照明の開発で地元中小企業と連携~

(山形大学 大学院理工学研究科 有機デバイス工学専攻 城戸 淳二 教授)

 

有機EL(Organic Electro-Luminescence)とは、発光性の有機物が電気の刺激を受けて発光する現象。薄く面上に発光体を形成でき、多彩な色が得られるため、フラットパネルディスプレイとしての実用化が進んできた。1987年に米国研究者によって発見されたが、97年に山形米沢の企業が世界で初めて有機ELディスプレイの量産化に成功、カーステレオの表示などに利用されるようになった。液晶と異なり、有機物自体が発光するためバックライトを必要とせず、薄さを追求することができる。2007年にはソニーが厚さ約3ミリ、高画質の11型有機ELテレビを発売。そして現在では、その薄型面発光、高エネルギー効率、省電力という特徴を生かし、次世代の照明器具として注目を集めている。

 

 

山形大学では、世界で初めて白色有機ELの開発に成功した城戸 淳二教授が中心になり、有機EL照明の商品開発、普及を目指している。現在は、白熱灯の約5分の1、蛍光灯と同等の低電力消費量を3年後には半分にすべく開発を進める。現在主流の蛍光灯には含有する水銀の廃棄処理が問題としてつきまとうが、有機EL照明は有害物を含まないため環境汚染の心配もない。CO2削減に貢献できるうえに、環境に優しい有機EL照明に各方面から寄せられる期待は大きい。

 

「3年後に大量生産が実現すると、国内だけで数百億円の市場規模が見込まれ、海外にはさらに巨大なマーケットが広がっている」という城戸教授が中心となり、大学と地元の企業が連携する「山形有機エレクトロニクスバレー構想」が2003年から進行中。その中で、昨年、有機EL照明パネル生産会社「Lumiotec(ルミオテック)」、今年7月には山大発ベンチャーとして、有機EL照明のデザイン、販売を行う「オーガニック・ライティング」社が共に米沢に設立され、近い将来の構想実現に向けて着実に歩みを続けている。

 

ツアーでは、城戸教授によるプレゼンテーションに加え、米沢市上杉博物館「伝国の杜」にて公開中の有機EL照明装置の展示コーナーで、世界最高水準の明るさを放つ発光パネル約400枚を使った様々な照明システムを視察する。

 

 

2. 佐藤繊維株式会社 (寒河江市)
~オバマ大統領夫人が就任式で着用したニット、世界で最も細い毛糸を紡ぎ出す~

 

佐藤繊維株式会社は、1932年創業、紡績糸とニット製品の生産・販売を行っている従業員100名余りの中小企業だ。しかし、シャネル、ニナ・リッチ、プラダ、イッセイ・ミヤケなど、世界の名だたる超トップブランドが、同社の糸を採用している。今年1月にワシントンで行われたアメリカ大統領就任式でミシェル・オバマ大統領夫人が着用したニナ・リッチのカーディガンに使用されていた毛糸も、佐藤繊維が開発したもの。同社にしか実現できない40番という非常に細いモヘア糸だ。更に、世界で最も細い50番という超極細糸をはじめ、和紙を芯にしてその周囲をウールで包んだ軽くて丈夫な特殊糸や、1本の糸に様々な色が染め付けられグラデーションに変化するものなど、世界で佐藤繊維にしか作れないオンリーワンの糸を次々と作り出している。しかもこれらの糸を紡ぎだすのは、コンピュータ制御の最新の紡績機ではなく、意外にも50年前に製造された手動調整式の古い機械。人の手の感覚で行う微調整や機械の改造が可能なのだという。

 

また、同社はニット製品の生産についても、それまで大手メーカーの下請のみだった体質から脱却し、糸から完成品までを手がける自社のアパレルブランドを立ち上げた。糸から全て一貫してメイド・イン・ジャパンの品質を追求した服にはマーケットから大きな反響が寄せられ、本年9月には初の直営ショップが東京にオープンした。小さな工場でこのような先進的な製品開発と独自の生産流通システムを実現させた原動力-同社3代目社長の佐藤正樹氏「限界まで挑戦するものづくりの精神」を披露してもらう。

 

3. オリエンタルカーペット株式会社 (山辺町)
~山あいの小さな工場から、皇居、バチカンに納品される極上の手織りカーペット~

 

 山形市の西にある山沿いの小さな町、山辺町にあるオリエンタルカーペットは、従業員40名の小規模な会社だ。だが、一見、大正時代の小学校にも見える木造平屋の簡素な工場で作られる手織りのカーペットは、皇居、迎賓館赤坂離宮そして、遠くバチカン宮殿、ルーズベルト記念館など、世界中から求められ、その地を彩っている。

 

手織りの絨毯は図面を見ながら糸を1本ずつ織る作業で、熟練した職人でも1日に織れるのはわずか7~8センチのみと、気の遠くなるような手間がかかる。仕上げには国内唯一の化学洗濯艶出し加工(マーセライズ)が施され、年を経るごとに一層美しい質感が現れる。

 

同社では、元々繊維産業の盛んな同地に、中国から7人の技術者を招いて手織り絨毯の技術を学び、1935年に創業した。中国から伝えられた技術と山形に古くから息づく日本人の美意識と手技が融合して同社独自の技術・品質となり世界から評価されているのだ。2006年、経産省「元気なモノ作り中小企業300社」に選定されると共に、同年から3年連続で「山形工房」のブランドでパリ国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展。ものづくりを通して山形から「心の豊かさ」を世界に発信したいという山あいの小さな工場を訪ねる。

 

 

 

4. 山形県 吉村美栄子知事 会見 (山形市)
~少子高齢化、雇用悪化に対する山形の取り組み、新政権への期待~

 

吉村美栄子知事は、本年1月の知事選で新人ながら現職知事を破って当選した、全国で6人目に誕生した女性知事県民の暮らしに焦点を当て、人口減少の改善などに取り組む。県の総人口は2007年には120万人を割り込んだ。県民の4人に1人が65歳以上、出生率も1.42と年々減少を続けており、少子高齢化も加速している。吉村知事は、選挙戦におけるマニフェストでもこの問題への対応を掲げ、世界不況後さらに深刻化した雇用の悪化への対策も重要課題としている。現在の日本が抱えるこれらの問題に対してどのような政策を進めているか、また、8月末の総選挙によって誕生した新政権に対して地方から期待することなどについて、吉村知事に伺う。

 

 

5. 出羽三山(羽黒山)(鶴岡市)
~聖なる山々に、自然を崇拝する古代の心が受け継がれる~

 

出羽三山は、月山・羽黒山・湯殿山の三つの山の総称であり、古くから信仰の対象とされてきた。山には祖先の霊が宿り、豊な水をもたらし自分達を守ってくれる―古代の人々は、自然の恵みに包まれた暮らしのなかで、山・自然を崇拝する心を育んでいったのだ。

 

出羽三山には、その起源を1400年前に遡る修験道・山岳信仰が今も息づいている。修験道は自然を神として拝む日本独特の宗教。平安時代には仏教文化がこの地に波及したことで神と仏を同根とする考えが広まり、仏教と融合してさらに多くの信仰を集めた。この信仰は、最盛期の江戸時代を経て、現在も人々に受け継がれている。修験道において、羽黒山は「現在」、月山は「過去」、湯殿山は「未来」を表す。従って、三山を巡ることは、現在、過去、未来という時間を旅することであり、その課程で再生を体験することができると言われている。

 

ツアーでは、地元鶴岡市の職員であり、現役の山伏(修験者)でもある伊藤秀悦氏のガイドで羽黒山を訪ね、豊かな自然と静謐な空間の中で、山形の精神文化の礎に触れる。

 

 

 

<羽黒山 訪問先>
・神橋、須賀の滝
清流、祓川に赤い橋がかかる。源流は月山に発し、昔の参拝者達はまずこの川で身を清めたという。

 

・国宝・五重塔
今から1000年以上前の平安時代(920年代)に平将門が創建したと伝えられている。杉並木の中にひっそりと建つ国宝。現在の塔は、約600年前に再建されたものといわれる。

 

・爺杉
五重の塔の隣に立つ老杉。樹齢1000年以上と言われ、国の天然記念物に指定されている。

 

・三神合祭殿(羽黒山 山頂)
山頂に建つ三神合祭殿は、月山・羽黒山・湯殿山の三神を祀る豪壮な建物。神仏習合時代の名残を留める特徴的な造りで、高さ28m・厚さ2.1mもの茅葺屋根は壮大なスケールを誇る。祭殿の前に広がる鏡池は、山頂にも関わらず常に豊かな水を湛える神秘の御池として古来より多くの信仰を集め、羽黒信仰の中心でもあった。この池からは平安、鎌倉、江戸時代の鏡が数多く発掘されている。

 

・斎館
昔から羽黒山伝わる精進料理の伝統を現在に受け継いている。出羽三山の山麓で採れる山菜や筍を素材に、独特のしきたりを守った味付けを施している。「奥の細道」行脚で出羽三山を訪れた松尾芭蕉にも供されたと言われている。

 

・杉並木
山頂と麓とを繋ぐ参道は、樹齢350~500年の杉並木が立ち並ぶ全長約1.7km、2446段の長い石段。澄み渡った空気に神秘的な静けさが広がる。フランスのミシュラン社が発行した旅行ガイド本、日本編「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では最高評価の3つ星に選ばれた。

 

【実施要領】

 

1.日程: 2009年10月22日(木)~22(金)

 

<1日目:10月22日(木)>

 

7:05 東京駅 東北新幹線○番線ホーム集合
7:16 同駅発(山形新幹線 つばさ103)
9:30 米沢駅着

 

09:45-11:20 山形大学 有機EL研究取材(米沢市)
・小山 清人 副学長挨拶(@上杉城史苑)
・城戸淳二教授によるプレゼンテーション(@上杉城史苑)
・伝国の杜:有機EL照明展示コーナー視察

 

12:30-13:45 昼食 (高畠町 ゆうきの里・さんさん)

 

15:15-17:00 佐藤繊維株式会社 (寒河江市)
・代表取締役社長 佐藤正樹氏による説明、工場視察

 

17:45 山形グランドホテル着、チェックイン
18:15-18:45 吉村美栄子 山形県知事 会見
18:45-20:15 夕食懇親会(山形グランドホテル内)

 

(山形グランドホテル泊)

 

<2日目:10月23日(金)>

 

8:45 ホテル発
9:30-11:00 オリエンタルカーペット(山辺町)
・代表取締役社長 渡辺博明氏による説明、工場視察

 

12:30-16:00 出羽三山・羽黒山(鶴岡市) 
(14:00-15:00齊館にて昼食(精進料理))

 

17:10 空港着
18:00 庄内空港発(ANA900)
19:00 羽田空港着、解散

 

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人13,000円(東京-現地往復交通費及び、宿泊、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、直接参加者にご連絡します。
4.募集人数: 先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当: 吉田、小泉(Tel: 03-3501-3405)
6.備考: 山形県、山形大学、及び当センターは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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