プレスツアー(案内)

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実施日 : 2011年10月06日 - 07日

案内:山陰プレスツアー(2011年10月6-7日)

投稿日 : 2013年08月22日

古事記編纂1300年“神々の国”島根
大山の森林と水を活かした鳥取の活性化戦略

 

 

古事記編纂1300年“神々の国”島根

 2012年、我が国に現存する最古の歴史書で、数々の神話を現代に伝える「古事記」が編纂されて1300年を迎える。古事記に収められている神話の三分の一は出雲系といわれるほど、島根県は数多くの神話が伝わる「神話のふるさと」であり、古き良き「日本の原風景」が残る場所だ。その中心的な存在で、数千年の歴史を持つといわれる出雲大社は、縁結びの神として全国的に知られるが、最近では「恋愛成就のスポット」として若い女性の参拝も目立つ。

現在出雲大社は、2008年から2013年まで5年をかけて行われる60年振りの遷宮となる「平成の大遷宮」の真っただ中。本殿の大屋根の葺き替え作業などが行われており、伝統技能を受け継ぐ職人たちが一生に一度の大仕事に腕を振るっている。

 

また、このように「神々の国」とも称される島根は、神を舞う神楽が日本で最も盛んな地域の一つで、地域共同体の崩壊が危惧される中、子供たちへも伝統文化が着実に継承されている。「無縁社会」ともいわれる現代において、東日本大震災は人と人の「絆」や「縁」の大切さを見直す契機となった。ツアーでは、“縁結びの地”島根で、日本人の根底に流れる心と感性に触れるとともに、伝統技術や文化の継承に携わる人々の姿を追う。

 

“人口最少県”鳥取の大山の森林と水を活かした地域戦略
 
今年は国連が定めた国際森林年。各国で進む森林破壊や温暖化からどのように森林を守っていくのか、森林の持続可能な管理・利用が課題となっている。県土の70%を森林が占める鳥取県の西部、国立公園に指定されている大山は、太古の昔から“神の山”として崇められ守られてきた。近年は環境意識の高まりと精神的な癒しを求める社会的な風潮に乗って、大山の大自然と癒しのスピリチュアル・スポットを巡るエコツアーが人気を集めている。

 

また、豊かな森林が育む豊富で清らかな水は地域を潤し、貴重な地域資源として地域の活性化にもつながりつつある。大山の伏流水を地下からくみ上げている同県米子市の水道水は、厚生労働省の「おいしい水研究会」で全国32市の一つに挙げられた。この豊富で純度の高い地下水を求めて、米子市内に進出を決めた企業もある。また、大山山麓では、大手飲料メーカーの工場が次々と進出、“大山の水”が全国で販売されるなど、水ビジネスが活気づいている。

 

また、こうした水の恵みと自然を活かし、人口59万人と日本最少の同県で、特に高齢化と過疎化が進む中山間地域の活性化と高齢者雇用の取り組みも見られる。ツアーでは、大山の貴重な大自然を体感するとともに、豊かな森林と水を活用した地域活性化戦略を取材する。

 

<ツアー取材先>

 

1.島根県

 

(1)「神々の国しまね」プロジェクト・溝口善兵衛知事インタビュー

 

 2012年、日本創生の物語が描かれた最古の歴史書「古事記」が編纂1300年を迎える。同年7月21日から11月11日まで出雲大社周辺を主会場に、「神話博しまね」(Japan Myth Expo in Shimane)の開催も決定した。これを機に、島根県では壮大な神話の世界と島根県の魅力を発信するプロジェクト「神々の国しまね」を展開中。「古事記に描かれているのは、この国の始まりと人のご縁の始まり。まさに今、原点に立ち返り、人と人とのつながりを見つめなおす機会」と提案する同プロジェクトの背景と狙いについて、県関係者から説明を受けるとともに、溝口善兵衛知事にインタビューする。また、古代出雲歴史博物館を訪問し、古代出雲の歴史の一端に触れる。

 

(2)出雲大社

 

 「神々の国しまね」を象徴する存在であり、60年振りの遷宮となる「平成の大遷宮」が行われている出雲大社。「古事記」にその創建が記されているほどの古社で、縁結びの神・福の神として名高い。最近では「パワースポット」「スピリチュアル・スポット」として若い女性の参拝客も多い。「大国主大神」が祀られている本殿は、大社造と呼ばれる神社建築様式の代表的な建造物で国宝に指定されており、高さ24メートルと神社建築の中では日本一の規模を誇る。旧暦の10月は、全国の八百万の神々が出雲に参集されるとされており、各地ではこの月を「神無月」と呼ぶが、出雲では「神在月」と呼ばれ、神々を迎える神事が行われる(今年は11月上旬)。ツアーでは、「神在月」の神事を目前に控えた出雲大社を訪問、大社関係者よりその歴史と位置づけ、及び現在進行中の大遷宮についての説明を受けるとともに、仮殿、古代神殿出土場所、本殿を視察する。

 

また、御本殿では、大屋根の葺き替えが行われており、西日本各地から集まった職人がヒノキの皮を幾重にも竹の釘で屋根に打ち付ける作業に汗を流している。ツアーでは、屋根葺き職人の責任者から作業の内容について説明を受けるとともに、伝統技術の継承等についてインタビューする。

 

 

(3)神門通り甦りの会

 

 出雲大社の門前町である神門通り。地方都市の他の商店街と同様に、1980年代後半から空き店舗が目立ち始め、活気を失っていた。神奈川県出身で東京の飲料メーカーで16年務めた多々納光教さんは、父親の故郷が島根県であったこともあり、「縁結びの地で心機一転頑張ろう」と出雲市のチャレンジショップ事業に応募、2007年10月に島根の素材のこだわった団子やぜんざいなどを提供する「大社門前いづも屋」をオープン。翌年には、地域の商店主らと往時の賑わいを甦らせようと、「神門通り甦りの会」を結成した。神門通りでは、これまで16店舗がオープンしたほか、様々なイベントも奏功し地域の活性化が実現しつつある。ツアーでは、昼食時に神門通りを訪問、商店街の再生にかける地域の取り組みを取材する。

 

 

(4)子ども神楽(雲南市)

 

 ヤマタノオロチの伝説が伝わる雲南市。スサノオノミコトがヤマタノオロチ退治の後にイナタヒメとこの地に至り、初めて建てた宮殿が神社になったものと伝えられる須我神社は、「日本初之宮(にほんはつのみや)」とも言われている。また、この時詠んだ歌が、日本で一番古い歌であることから「和歌発祥の地」ともされている。この歌の中に出てくる「出雲」が出雲の国名の起源でもある。

 

古事記の神話も題材とした伝統芸能である神楽が盛んに行われている島根県。特に西部の石見地方を中心に100を超える社中があり、日本一神楽が盛んな地域とも言われている。また、地域コミュニティの強い絆を背景に、この伝統文化が次世代へ着実に継承されており、数多くの子供神楽が演じられている。雲南市立海潮中学校は、島根県で唯一、神楽部がある中学校だ。山間部の小規模中学校で生徒数はわずか50名だが、うち15名が神楽部に所属し、年間10回以上の公演活動を行っている。

 

 ツアーでは、古民家を利用した神楽の宿で、海潮中学校神楽部によるヤマタノオロチ退治をテーマとした神楽を鑑賞、生徒や指導者にインタビューする。

 

 

2.鳥取県

 

(1)伯耆町福岡区

 

 鳥取県西部、国立公園・大山のふもとの伯耆町南部に位置する人口180人余りの中山間地で、高齢化率47%の福岡区は、少子高齢化に対応し集落機能維持と地域活性化を目指して、5つの集落再編により2009年1月に誕生した。同区では、「過疎化、高齢化が進む中、少しでも地元を元気にしたい」という地元住民が、豊かな水資源と農産物を利用した地域活性化策を検討。2009年5月に、地域住民9人により株式会社上代を設立、また平均年齢70歳を超える高齢者の女性7人をそば打ちとして、農家食堂「かあちゃんそば」を同年6月に開設。翌7月には、伯耆町が鳥取県初の「どぶろく特区」に認定され、2010年1月からは、廃校となった小学校の校庭に建設された醸造場でのどぶろくづくりがはじまった。「かあちゃんそば」は県外からもリピーターが訪れる人気店となり、週末のみの営業を平日にも拡大。「源流どぶろく上代」は初年度の2000リットルを完売、2年目の昨年度は3500リットルを販売するなど、販路を拡大しつつある。

 

 ツアーでは、株式会社上代が運営する農家食堂とどぶろく醸造場を視察するとともに、同社の住田圭成代表取締役(前伯耆町長)へのインタビューを通して、高齢者雇用と交流人口の拡大を通じた同地域の活性化の動きを追う。

 

(2)大山水事情

 

 大山の豊富な天然水の秘密は、西日本最大級の面積を誇る大山のブナ林にある。縄文・弥生時代の昔から“神の山”として守られ、奈良時代以降も山岳信仰の霊場として入山が厳しく制限された結果、現在のような豊かなブナ林が残っており、その地下深くに清らかな天然水が豊富に蓄えられている。鳥取県を中心とした山麓の住民は、飲料水として、農業用水として、古代よりその恩恵を受けてきた。現在でも山麓地域の水道水は、大山の天然水を利用しており、農業や工業などの産業にも広く活用されているほか、ミネラルや鉄分を豊富に含んだ水は日本海にそそぎ、豊かな海の幸をもたらしている。

 

NPO大山中海観光推進機構(大山王国)は、今回のツアーの訪問地である鳥取県西部から島根県東部の広域エリアを対象とし、自然や歴史・文化などを共有する同地域の活性化のため、行政の枠を超えて観光コンテンツの開発や情報発信を行っている。ツアーでは、同地域の事情に詳しい同機構の石村隆男理事長から「水」をキーワードとした大山の歴史・文化と自然について話を伺う。

 

 

(3)大山エコツアー

 

 

 大山は昔から修験道の修行場として栄え、“神在ます山”として人々に崇め祀られてきた。豊かな水を育む大山の自然、樹木や岩に宿る神秘や不思議なパワーは、精神的な癒しを求める現代社会人を引き付けている。この地でエコツーリズムの推進と地域活性化に取り組んでいるのが、大山・中海エコツーリズム協議会。同協議会は、大山隠岐国立公園とその麓に広がる周辺エリア、及びラムサール条約登録湿地の中海とその周辺エリアの地域性を活かした特徴あるエコツーリズムの促進に取り組んでいる。ツアーでは、同地の雄大な自然、風土と歴史、伝統と文化を保全しつつ、新たな観光の魅力づくりと経済活動を両立させた持続可能な地域づくりの実現を目指す活動について理解を深めるとともに、ブナの森ウォークや大山ダウンヒルサイクリングなど、実際にエコツアーの一部に参加し、その魅力あふれる自然を体感する。

 

*本プレスツアーは、フォーリン・プレスセンターと山陰国際観光協議会との共催で実施するものです。参加者には経費の一部を負担して頂いていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

 

<実施要領>

 

1.日程案

 

1日目(島根県) 10月6日(木):
07:25 羽田空港発(JL1663)
08:55 出雲空港着
09:45-10:40 「神々の国しまね」プロジェクト概要説明及び古代出雲歴史博物館視察
11:00-12:20 出雲大社
12:30-13:30 神門通り甦りの会(昼食含む)
14:30-15:40 子ども神楽
16:30-17:00 知事会見
18:00 ホテル着

 

2日目(鳥取県) 10月7日(金):
09:00 ホテル発
09:45-12:00 伯耆町福岡区(昼食含む) 
13:00-14:00 大山水事情ブリーフィング
14:15-16:15 エコツアー
19:00 出雲空港発(JL1672)
20:20 羽田空港着

 

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人13,000円(全行程交通費、宿泊費、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当:山口、矢野(TEL: 03-3501-5070)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従ってください。
(2)FPCJ及び山陰国際観光協議会はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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