プレスツアー(案内)

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実施日 : 2018年02月21日 - 22日

案内:福島プレスツアー(その2)

投稿日 : 2018年02月05日

・原発事故からの復興状況~復興に向けて最前線で活躍する県民の想い~

・食の安全・安心を生産現場で伝える~福島県の風評を払拭するために~

・雇用を生み出し、福島を支える~アニメーション制作とロボット生産企業~

 

東日本大震災からもうすぐ7年を迎える。時が経つにつれ、国内外で災害への関心は徐々に薄れ、記憶の風化が懸念されている。他方で、福島県の原発事故の被害を受けた地域ではもとの生活を取り戻すための努力が続いているほか、復興状況や県産品の安全・安心に関する情報の不足などに起因する「風評」は根強く残りその払拭のための苦労が続いている。

 

本ツアーでは、原発が立地する大熊町と昨年大部分が避難解除された浪江町を訪れ、それぞれの復興計画や具体的な取組、現地で地道な活動を続ける人々を取材する。また、福島県に実際に来てもらうことで、農産品の安全性を理解してもらおうと奮闘する生産者や、雇用維持・創出のために福島で活動を続ける企業関係者など、様々な立場で復興に取り組む人々を取材する。

 

 

 

1. 原発事故からの復興状況~復興に向けて最前線で活躍する県民の想い~

 

福島県環境創造センター交流棟(コミュタン福島)

福島県環境創造センター交流棟は、放射線に関する基礎知識や福島の環境の現状を展示や映像を通して来場者に伝える施設。国内外から子供たちを中心に多くの人々が連日訪れている。

◎放射線と除染に関する基礎知識、震災直後と現在の放射線量を比較した展示を中心に説明を受けるとともに、福島県全体の復興現況について聞く。

 

 

大熊町

大熊町は東端に福島第一原子力発電所を有し、11,000人以上の全町民が避難を続けている。また、原発を囲むようにして除染作業で発生した除染廃棄物を貯蔵する11㎢の中間貯蔵施設の建設も予定されている。町の南端の居住制限区域に指定されている大川原地区は大熊町復興拠点に指定され、2016年に新庁舎建設に向けて連絡事務所が設置された。

大熊町復興拠点を訪れ、住宅や公園などの建設に向けて整備中の現場を撮影する。また、同町出身で、自宅が中間貯蔵施設となることが決定した志賀秀陽(しゅうよう)復興事業課長からは、復興計画について聞く。

県内での再生可能エネルギー生産に取り組む福島発電株式会社担当者の案内で、2015年に発電を開始した大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所を撮影する。

町役場の元職員6名で構成される「じじい部隊」から、全町避難が続く町を守るために続けられているパトロールなどの地道な活動について聞き、取り壊し予定の住宅や現在は荒地となったかつての梨畑の様子などを撮影する。

 

浪江町

浪江町は福島県東部、福島第一原子力発電所がある大熊町や双葉町の北に位置し、最も最近避難指示解除となった地域の一つ(2017年3月31日。帰還困難区域を除く)。震災前は約21,000名だった住民の内、約500名が町内に戻り居住しているが、より多くの町民が再びふるさとで生活できるよう、住まいや働く場所の整備が急がれている。

同町に2016年10月に営業開始した仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」には、レストランや生活必需品などを扱う10店舗が軒を連ねる。「キッチン・グランマ」は弁当や家庭料理を提供しており、一日80~130食を提供している。渡邊りえこ代表(65)は、飲食業は初めてながら、「震災前に経営していた人材派遣業の経験を活かして浪江町民の主婦を集め、スタッフも喜んで働けるお店を作り、町を元気にしたい」と開店以来、休むことなく帰還した住民や作業員などに食事を提供してきた。

◎沿岸部の帰還困難区域を通る国道6号線を北上し、住宅や店舗にバリケードが施され、警備員が立つ様子を車窓から見ながら浪江町に入る(車両を降車しての撮影は不可)。

◎町職員の案内で高台にある大平霊園、津波の被害を受けた沿岸部の請戸(うけど)地区、町の中心地を訪れ、避難指示解除から約9カ月経った町内を視察する。

◎まち・なみ・まるしぇのキッチン・グランマでは、南相馬の仮設住宅から通いながら、食堂運営を続ける渡邊りえこ代表から、復興に向けた想いを聞く。

 

2. 食の安全・安心を生産現場で伝える~福島県の風評を払拭するために~

 

仁井田本家

仁井田本家(にいだほんけ)は、1711年創業、郡山市にある造り酒屋。震災前から農薬や化学肥料を使わずに育てた自然米100%での酒造りに取り組んできた。現在では、風評に苦しむ県内の農家と協力して酒米の生産から関わり、県産米での酒造りも進めている。

震災後の売り上げが落ち込んだ時期に、日本酒に興味がない人でも酒蔵に来てもらい、商品の安全性を実感してもらうにはどうすれば良いかを考えて生まれたのが、麹など日本酒を生産する過程で生まれる材料を使ったスイーツだった。「こうじチョコ」や米でつくったヨーグルト飲料の「米(マイ)グルト」などの商品は人気を博し、これらを日本酒とともに蔵の敷地内で販売する「スイーツデー」と呼ばれる月1回開催されるイベントには、1,000-1,500名の客足がある。また、オーガニック関連商品の生産者を集めて開催する感謝祭には、年に2回の開催ながら毎回3,000名ほどの来場者がある。

◎社長で杜氏(とうじ)の仁井田穏彦(やすひこ)氏の案内で、酒造りへのこだわりやこうじチョコなどの新商品の開発について聞いた後、酒蔵内の醸造タンクなどの酒造りの設備や製造工程などを取材する。

株式会社ワンダーファーム

ワンダーファームはトマトを栽培する植物工場やそこで収穫されたトマトを食せるレストラン、トマトの加工品を販売するショップからなるトマトのテーマパークで、5へクタールの敷地にはバーベキューやブルーベリー狩りが楽しめる広場もある。元木寛社長は震災前からいわき市内の「とまとランドいわき」でトマトをハウス栽培で生産しており、震災後、子供たちの遊び場がないのに心を痛め、荒廃した田んぼの跡地に農産物の安全性も発信できる複合施設として2015年にワンダーファームを開業させた。年間約20万人が県内外から訪れる。

トマトは、11種類、年間600トンを目標に育てており、収穫の半量は自社の加工品やレストランで提供、残りは地元の市場などに卸している。パートを含む約50名のスタッフのうち3分の1は農業関係者。敷地内のショップで自らが生産した野菜を販売することができるため、農家個人の農産品のPRの場としても活用されている。

◎元木社長の案内でトマトのハウスとショップで販売されているトマトジュースなどの加工品を取材する。

 

3. 雇用を生み出し、福島を支える~アニメーション制作とロボット生産企業~

 

株式会社福島ガイナックス

「新世紀エヴァンゲリオン」等の人気作を手掛けてきたアニメ制作会社のガイナックスは2015年4月、福島県三春町に福島ガイナックスを設立した。社長の浅尾芳宣(よしのり)氏は福島県出身。新たなスタジオの建設先を探していたところ、原発事故により故郷への帰還を諦める若い家族が増えていると知り、「アニメを復興の力に」との想いで同町内の廃校を借りて新たな拠点を設けることとした。社員12名のうちほとんどが県内出身で、アニメ制作、イベントや社屋内のミュージアム運営を担う社員は全員20-30代の若い会社だ。これまでに福島県や東北地方の自治体の依頼を受け、その土地を舞台にしたアニメを10本制作してきた。今後は自治体からの依頼に基づいた作品に加え、自主企画の作品も形にしていきたいとしている。

◎浅尾社長の案内で、敷地内のミュージアムの展示を視察した後、社員の村上愛美(まなみ)さん(19歳、郡山市出身、アニメーター)、髙木祐紀(たかぎ ゆうき)さん(25歳、いわき市出身、アニメ制作進行等担当) 、菅(かん)みのりさん(31歳、山口県出身、東京の(株)ガイナックスから福島ガイナックスに転職)へのインタビューや、アニメの制作の作業場を撮影する。

株式会社菊池製作所福島工場

菊池製作所は飯舘村出身の社長が率いる創業40年以上の金型メーカーで、様々な研究機関と協力して、開発、試作、量産を社内で一貫して行っている。震災で一時避難区域となった飯舘村にある福島工場は、震災後も社員の安全を第一としつつ、工場を止めることなく生産を続けてきた。震災後には川内工場に続いて南相馬工場を新設し、地元の雇用創出やロボット製作の研究などにも貢献している。

◎福島工場を訪問し、被災直後から現在までの工場を止めずに営業を継続してきたことへの想いを聞き、社員へのインタビューを行う。工場では、同社の原点である足踏みでプレス加工を施す機械での作業の様子を撮影したり、1,000-2,000単位で受注を基に量産する東京理科大学が開発した筋力補助装置「マッスル・スーツ」の試着と撮影を行う。

 

 

<実施要領>

1. 日程

2月21日(水)

7:32-8:55

東京駅~郡山駅(やまびこ125)

9:45-10:40

コミュタン福島

11:00-12:00

福島ガイナックス

12:15-13:00

昼食

13:20-14:20

仁井田本家

16:00-17:15

大熊町

 

いわき湯本温泉泊

 

2月22日(木)

9:00-10:00

ワンダーファーム

11:15-13:30

浪江町(町内視察、まち・なみ・まるしぇ、昼食)

14:30-15:30

菊池製作所福島工場

17:16-18:48

福島駅~東京駅(やまびこ150)

 

2. 参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

3. 参加費用:無料

4. 募集人数:7名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)

※申し込み人数が7名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

5. 備考:

- 本プレスツアーは福島県が主催しています。

- 本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

- 福島県とFPCJは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

- 写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

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