プレスツアー(案内)

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実施日 : 2016年03月03日 - 04日

案内:岩手県沿岸部プレスツアー 5年目の復興

投稿日 : 2016年02月12日

 

―民意に寄り添う復興―

―生活再建に向けた「選択」―

―支援に頼る復興から自立を目指して―

 

――大槌町――

DSC00442 東日本大震災時、大槌町では津波による浸水高は最高位で22.2m、死者・行方不明者は人口の1割近い1,285人に達し、約6割の家屋が被災した。人口に占める犠牲者の割合では、被災市町村の中で最も高い自治体の一つだ。街の大部分を津波と大火災で喪失し、当時の町長をはじめ幹部職員多数が町役場で犠牲となった。そのため、他の被災市町村より行政復興に時間がかかった。そんな大槌町の復興は、地元住民のたゆまぬ努力と町外から集まった支援者の存在なくしては語れない。震災から5年を迎える今、支援に頼る復興からの自立を目指し奮闘する地元住民や支援者の姿がある。

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 大槌町では、これまでの復興計画の見直しを訴えて、昨年初当選した町長にインタビューするとともに、同業者と協働で経営の立て直しに取り組む水産加工業者、災害復興住宅と仮設住宅で暮らす人々、そして地域住民の職や教育の支援に力を入れるNPOの活動を取材する。

 

 

 

――宮古市 田老地区(旧田老町)――

DSC00615 これまで幾度も大津波による壊滅的な被害を受けてきた宮古市田老地区は、巨大防潮堤と津波災害に対する高い防災意識で他県や世界にも知られていた。それでも先の大震災では、高さ約16mの津波が襲い、181人が犠牲となった。これを受け宮古市は初めて、山を切り拓いた広大な高台への住宅の移転を復興計画に盛り込んだ。また、市街地近くの防潮堤の高さも10mから14.7mに上げて整備する計画が進んでいる。震災から5年が経とうとする今、田老地区では高台とかさ上げした市街地の整備が終了した。どのようにして津波の脅威と向き合いつつ、生活を再建していくのか、被災した地元住民はそれぞれが選択した場所での新たな生活に向けて進み始めている。

 

 宮古市では、市長にインタビューするとともに、整備が完了した高台や市街地、建設が進む巨大防潮堤を視察し、商店経営者など地域住民の生活再建に向けた「選択」を現地で取材する。

 

※本プレスツアーはフォーリン・プレスセンターが主催します。

※本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

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<取材内容>

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大槌町

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1.大槌町長へのインタビュー 平野 公三(ひらの こうぞう)町長

~民意に寄り添いながら、復興の加速化を目指して~

02 2015年8月に、大槌町では震災から2度目の町長選があり、新しく平野公三氏が町長に就任した。選挙で平野氏はより民意に沿った復興を進めるべく、これまでの復興計画の見直しを公約に掲げて当選した。2015年10月には役場の各部署の職員から選出した検証チームをつくり、聖域を設けずにすべての事業を継続、縮小、休止、廃止など7段階で評価した。評価の結果、全体の約30%が見直しの対象となった。例えば、震災遺構として一部保存が決まっていた旧役場庁舎については、「事業廃止」と評価し解体する方向となった。町民への説明や意見交換会を開催したうえで、市街地再生の遅れや維持管理費の負担、住民の感情などを考慮しての判断だった。その後、高校生の有志と町議会が解体の先送りを求めたため、年度内の解体は見送られており、どのように町民の意見を取りまとめるか、注目が集まっている。平野町長は住民とのコミュニケーションを大切にしつつ、重点的に実施すべき事業を取捨選択することにより復興の加速化を図っている。

平野町長および町関係者より、復興計画の見直し、生活再建への取り組み、将来へのビジョンなどについてインタビューする。

 

 

 

2.仮設団地と災害公営住宅

 小鎚第8仮設団地

~5年目の課題と続く支援~

・自治会長 芳賀 廣安(はが ひろやす)氏(66歳)

・株式会社ジャパンクリエイト マネージャー 八幡 雄一(やはた ゆういち)氏(53歳)

・大槌町社会福祉協議会 生活支援相談員 臼澤 和賀子(うすざわ わかこ)氏

                    佐々木 直美(ささき なおみ)氏

3 大槌町では、完成した災害公営住宅や自力で再建した住宅での生活を始めた住民もいるなか、未だに町民の約4分の1にあたる3000人あまりが仮設住宅で暮らしている。計画された災害公営住宅がすべて完成するのは更に3年先の予定で、自力で住宅を再建するにも建設費の高騰が足かせになっている。

 

 小鎚第8仮設団地は同町で2番目に入居者が多い仮設団地で、94世帯193名(2016年1月31日現在)が入居している。現在、町内には48の仮設団地があるが、町は2018年度末までに12団地に集約する計画だ。

 

 大槌町社会福祉協議会の生活支援相談員が戸別訪問を行い、住民の見守りや公的福祉支援の情報提供などの生活支援を行っている。また、団地内にある集会所には、町から委託を受けた株式会社ジャパンクリエイトの復興支援員が常駐し、仮設団地の見回りや住民からの相談への対応のほか、自治会の運営の手助けをしている。

 

 生活支援相談員によると、震災から5年近くたち、仮設住宅に暮らす住民の悩みにも変化がでてきているという。震災当初、震災を体験した住民の心のケアや新しい生活環境へ適応するための支援が求められていた。しかし、最近では災害公営住宅や再建した自宅へ引っ越す住民も増え、仮設住宅に残る住民の孤立感が高まっているという。

大槌町の関係者から概要説明を受け、仮設住宅の住民と、住民を支える支援員に仮設での生活や今後の見通しについて話を聞く。

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 大ヶ口一丁目町営住宅

~災害公営住宅でのコミュニティーづくりと続く見守り活動~

・自治会長 川﨑 雅士(かわさき まさし)氏(37歳)

・大槌町社会福祉協議会 生活支援相談員 臼澤 和賀子(うすざわ わかこ)氏

                   佐々木 直美(ささき なおみ)氏

DSC00509 現在、大槌町には328戸の災害公営住宅が完成しており、2018年度までに合計962戸が整備される予定だ。2014年8月に入居を開始した大ヶ口一丁目町営住宅は、1.2メートルかさ上げされた敷地に建てられた木造長屋タイプの住宅だ。車いす専用やペットの飼育が可能な住宅、一人暮らし用や家族用といった用途に合わせた70戸が整備されている。入居率は100%で、70世帯130人が暮らしている。そのうち、65歳以上の高齢者単身世帯は23世帯を占める。

 

 災害公営住宅は、被災した低所得者の生活の再建を支援するものであり、高齢者が集まりやすい傾向がある。阪神淡路大震災でも、仮設住宅や災害公営住宅に高齢者が集中し、多くの孤独死が発生した。その教訓を踏まえ、社会福祉協議会の生活支援相談員が配置され、公営住宅へ転居した住民にも定期的な戸別訪問型の見守りが続けられている。また、大ヶ口一丁目町営住宅では、入居者のコミュニティーづくりが自治会を中心に進んでいる。

大槌町の関係者から概要説明を受け、公営住宅の住人や生活支援相談員に公営住宅での新しい生活や課題についてインタビューする。

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3.ど真ん中・おおつち協同組合

~4社共同で取り組む水産加工事業の復興と自立~

http://www.domannaka.com/

DSC00495 震災前、大槌町では約700人が水産加工業に携わっていたが、震災で多くの水産加工業者は工場や施設を失い、現在仕事に戻っているのはわずか150人程度だ。事業を再開するにも、多くの経営者が資金集めに苦心する中、津波で加工施設を失った「芳賀鮮魚店」、「浦田商店」、「ナカショク」、「小豆嶋漁業」の4社の経営者が共同での事業再開を目指して、2011年8月に任意団体「立ち上がれ!ど真ん中・おおつち」を立ち上げた。団体設立により、被災した中小企業の施設や設備の復旧・整備を国と県が連携して支援する「グループ補助金」が活用できた。この補助金で復旧・整備費用の4分の3を支援されたおかげで、それぞれの工場や設備の再建が進んでいる。また、4社共同で魚介類のブランド化や販路拡大を図るために組合組織を設立し、直販店「ど真ん中おおつちショップ」の運営やインターネット販売をおこなっている。組合代表理事の芳賀政和さん(70歳)は、「水産業がなければ大槌町では生きていけない。早く自立してお客さんに安心したものを提供できるようにしたい」と語る。

ど真ん中・おおつち協同組合の芳賀代表に事務所兼ショップで話を聞き、加工施設等を視察する。

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4.大槌復興刺し子プロジェクト(NPO法人テラ・ルネッサンス)

~持続的な活動を目指し、自立の道を模索~

DSC00466 震災で家と働く場を失った女性たちに、居場所と仕事を提供しようと始まったのが「大槌復興刺し子プロジェクト」。復興支援のためウェブ制作会社を辞めて東京から大槌町へ移住した吉野和也さんが中心となって、2011年6月に始まったプロジェクトで、狭い場所でも布と糸さえあれば作れる伝統的な刺しゅうの「刺し子」を使った商品の製作・ネット販売事業だ。

 

 震災当初、刺し子プロジェクトは収入源を提供することより、心理的な支援としての側面が大きかった。家族や知人を失い、生き残ったことに自責の念を持つ女性もおり、作業に没頭することによって心の落ち着きを取り戻し、新しい友人をつくるきっかけになった。

 

 現在では、吉野さんを職員として採用したNPO法人テラ・ルネッサンスが運営を担い、30名ほどの女性が刺し子として参加している。運営費の64%を刺し子製品の売り上げで賄い、残りはテラ・ルネッサンスの会費、寄附などで支えられている。震災から5年を迎え、長期的な活動を視野に自立した運営を目指して大手企業の良品計画や個人のデザイナーとの共同商品制作にも取り組んでいる。さらに、2021年には運営主体を地元関係者に引き継ぐことを目標にしている。

同プロジェクトを立ち上げた吉野和也さんやNPO法人テラ・ルネッサンスの現地プロジェクトマネージャーの吉田真衣さん、刺し子としてプロジェクトに参加している地元住民に話を聞く。

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※「刺し子」とは、日本に古くから伝わる伝統的な刺しゅうで、特に東北地方では衣料の補強・防寒として受け継がれてきた手芸だ。現在ではその幾何学模様を飾りとして生活に取り入れることが多く、刺し子プロジェクトでもコースター、バッグ、パーカーなどにオリジナルのデザインを施し販売している。

 

 

 

 

5.コラボ・スクール 大槌臨学舎(NPO法人カタリバ)

~復興の担い手を育てる放課後の学び場~

 

DSC00560 コラボ・スクールは、東京に本部がある認定NPO法人カタリバが、被災した子供たちの学習支援を目的に2011年7月に宮城県女川町で、同年12月には大槌町で設立した放課後の学びの場だ。狭い仮設住宅で暮らす子供たちが落ち着いて勉強できる空間をつくるとともに、学習指導を通した心のケアも行っている。現在、大槌臨学舎には小学生90人、中学生124人、高校生55人が通い、十数名のスタッフと講師が現地で活動している。2013年度、2014年度ともに、コラボ・スクールに通うすべての受験生が第一志望校に合格したという。

 

 

 DSC00575震災から5年を迎えるなか、コラボ・スクールでは学習支援にとどまらず、子供たちが将来自立して復興に携われるような学習機会も提供している。その一つが、高校生が主体的に地域の課題に取り組む「マイプロジェクト」だ。高校3年生の前川美里さん(18歳)は2014年度に、自身の震災体験に基づいて、「安否カード」をつくるプロジェクトに取り組んだ。安否カードは、災害が発生した際に住居の目立つ場所に掲示して、自分が既に避難したことを家族や地域の人に伝える安否確認方法の一つだ。前川さんは、同NPOが開催する「全国高校生MY PROJECT AWARD 2014」で、部門賞を受賞した。「将来は地元の釜石市で、保育士として防災教育にも取り組みながら、マイプロジェクトで作った安否カードを改善し、全戸に配りたい」と意気込みを語る。

大槌臨学舎を訪問し、NPOカタリバのスタッフから活動概要の説明を受け、マイプロジェクトに参加した高校生にインタビューする。

 

 

 

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宮古市(田老地区)

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6.宮古市長へのインタビュー 山本 正德(やまもと まさのり)市長

~幾度も津波被害から立ち上がってきた田老の新たなまちづくり~

 2009年に市長に就任し、2011年の震災発生後は復旧・復興を進めてきた。

山本正徳宮古市長(公式1) 山本市長は、復興まちづくり計画の策定には住民の合意形成が重要であるとし、住民の提言や意見を積極的に取り入れた復興計画づくりをおこなった。そのため計画策定に震災から1年を要した。その復興計画には、田老地区の防潮堤の再建と旧市街地のかさ上げに加え、山を切り拓いてつくる広大な高台への移転計画が盛り込まれた。高台への移転計画は、1933年の昭和三陸地震の際、国の復興計画案にも記載されていたが、当時の田老町長は技術・コスト面や漁業を生業とする町民の事情を考慮し、高台移転ではなく巨大防潮堤の建設を選択した。約80年の時を経て、高台移転を決意した山本市長と住民。かさ上げした市街地と高台移転地の用地引き渡しが始まったのを受け、2015年11月22日に「田老まちびらき記念式」が行われた。山本市長はあいさつで、「国・県など関連団体、市民の協力で復興が進んできたが、まだ道半ば。着実に一歩ずつ前進していく」と述べた。

 

山本市長にインタビューし、田老地区を中心とした今後の復興計画や津波対策について話を聞く。

※田老地区の津波と防潮堤の歴史は、下記<10.>の「巨大防潮堤」を参照

 

 

 

7.仮設商店街「たろちゃんハウス」

~店舗再建の現状と課題~

・たろちゃん協同組合 理事長/Yショップ田老箱石店 箱石 英夫(はこいし ひでお)氏

・田中菓子舗  田中 和七(たなか わしち)氏

 宮古市田老地区にある仮設商店街「たろちゃんハウス」は2011年9月、3棟2階建ての仮設共同店舗に被災した22店舗が入居して始まり、現在も18店舗が営業している。宮古市最大の仮設団地「グリーンピア三陸みやこ」の敷地内にあり、現在も仮設で暮らす229戸518人の住民にとって欠かせない生活の場だ。

 

 住民の生活再建への動きが進むなか、商店の経営者たちも高台か、かさ上げした市街地での店舗再建を始めている。商店街を一か所にまとめる案もあったが、防災に対する考えの違いにより各店舗は分散して再建される予定だ。一方で、たろちゃんハウスのまとめ役であるたろちゃん協同組合の箱石英夫理事長は、「仮設団地に多くの住民が残っているなか、店舗を再建し、たろちゃんハウスを出ていくことに後ろめたさを感じている人もいる」と苦しい胸の内を明かす。

たろちゃん協同組合の箱石理事長と田中菓子舗の田中和七さんに今後の再建について話を聞く。

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8.高台(三王団地)

~岩手県最大規模の高台団地と高台移転を選択した住民~

DSC00604 宮古市の復興計画の基本的な考え方として、防潮堤を再建しても最大クラスの津波が発生すると浸水することが予想される市街地区域については高台移転を進める、としている。高台移転先として、乙部地区の山を切り拓いて整備された三王団地は、面積約25.5haで岩手県内最大規模の高台団地だ。東日本大震災の際の津波最大遡上高よりも高い海抜40~60mに住宅、30mより高い場所に公共施設を配置する計画で、災害公営住宅の集合・戸建あわせて25棟71戸と、保育所や消防施設の建設が計画されている。災害公営住宅は5棟36戸が完成し、入居も始まっているほか、整備された個人住宅地161戸分の土地には、現在60戸ほどの戸建住宅が建設されており、少しずつにぎわいをみせている。

 

山王団地を視察しながら、宮古市担当者から説明を受け、自宅を建設中の地元住民にインタビューする。

 

 

 

 

9.かさ上げ市街地

~仮設商店街からの店舗再建を果たして~

・津田時計写真店 店主 津田 重雄(つだ しげお)氏(75歳)

 2011年の震災当時、市街地の津波浸水高は約7~14mに達した。市街地の津波対策として、防潮堤の一線堤(14.7m)、二線堤(10m)の整備に加え、地域の幹線道路である国道45号線とその山側の市街地が住宅地として2mかさ上げされた。宮古市は、今後津波による浸水で建物の被害が予想される区域を「災害危険区域」に指定し、住宅の建築を規制したが、田老地区では国道45号線より海側と防潮堤周辺一帯を危険区域に指定した。

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 仮設商店街の「たろちゃんハウス」で営業を続けていた津田時計写真店の津田重雄さん(75歳)は、2015年11月に被災店舗では初めてかさ上げ市街地で店を再建した。震災時、国道45号線と第1防潮堤の間に店舗兼住宅を構えていた津田さんは、津波で店や機材をすべて流された。店舗があった土地は災害危険区域に指定されたため、近くのかさ上げ市街地での再建を希望し、隣接する災害公営住宅で暮らす。「2015年度中には14.7mの防潮堤ができる予定だったが、まだ完成していない」と不安を感じながらも、津田さんの新たな生活が始まった。

 

 

かさ上げされた市街地を視察し、店舗の再建を果たした津田重雄さんに話を聞く。

 

 

 

10.巨大防潮堤

~津波の脅威から住民を守る。防潮堤の教訓と再建~

・一般社団法人 宮古観光文化交流協会 

学ぶ防災ガイド 元田 久美子(もとだ くみこ)氏(58歳)

 宮古市田老地区(旧田老町)は、過去に何度も津波による壊滅的な被害を受けてきた。1933年に発生した高さ10mの昭和三陸大津波を機に、旧田老町は防潮堤建設による復興計画を打ち出した。1958年に完成した第1防潮堤に第2防潮堤(1965年)、第3防潮堤(1978年)を加えた、高さ10.65m、全長2,433mにおよぶX型の世界に類を見ない巨大防潮堤は、「万里の長城」とも呼ばれた。ただし、この防潮堤は1896年に発生した明治三陸地震による高さ15mの津波より低く、避難時間を稼ぐなど減災を主な目的として建設されたものだ。そのため、旧田老町は高台への避難路や誘導標識の整備を進め、町民の防災訓練や教育にも力を入れてきた。

 

 しかし、東日本大震災では、この地区を高さ約16mの津波が防潮堤を乗り越えて襲い、第2防潮堤に至ってはほぼ完全に破壊され、死者・行方不明者は181人にのぼった。防潮堤の存在が安心感を与え、今回の被害を生み出したとの声がある一方で、避難時間を稼ぐ役割は果たしたという評価もある。震災を体験した宮古市の住民を案内役に、宮古観光文化交流協会が2012年4月にはじめた「学ぶ防災」ガイドは、巨大防潮堤の教訓と防災意識の大切さを伝えている。

 

 現在、防潮堤の復旧工事が進められており、第1防潮堤を二線堤と改め、補強工事が完成している。第2、第3防潮堤については、一線堤として少し海側にずらした位置に新たに建設予定だ。一線堤の完成は当初の計画より1年遅れ、2017年3月を予定している。

二線堤の上から一線堤建設の様子と整備された市街地を望みながら、学ぶ防災ガイドの元田久美子さんに話を聞く。

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<実施要領>

1.日程: 2016年3月3日(木)~4日(金)

※下記は仮日程です。若干の変更が生じる可能性があります。

 

<1日目:3月3日(木)>

7:16                     東京駅発(新幹線 はやて111号)

9:59                     新花巻駅着

(10:10-12:25 新花巻~大槌町 2時間15分 昼食)

12:25-12:40         城山公園(高台から町を撮影)

12:50-13:05         旧役場を撮影

13:20-14:10         大槌刺し子復興プロジェクト

14:15-17:00         仮設住宅と災害復興公営住宅

14:15-15:30        小鎚第8仮設団地

15:45-17:00        大ヶ口一丁目町営住宅

17:15-18:15         大槌町長インタビュー(町長登場は30分のみ)

18:30-19:35         コラボ・スクール

20:00                   ホテル着(夕食)

 

<2日目:3月4日(金)>

8:15                    ホテル発

8:30-10:00           ど真ん中・おおつち協同組合

(大槌町~宮古市 1時間15分)

11:15-12:15         宮古市長インタビュー

(宮古市~田老地区 45分 昼食)                                                      

13:00-13:30         たろちゃんハウス

13:45-14:35         高台(三王団地)

14:45-15:35         市街地(津田写真時計店)

15:45-16:35         防潮堤(学ぶ防災ガイド)

(田老地区~盛岡市 2時間50分)

19:25                   盛岡駅着

19:50                   盛岡駅発(新幹線 はやぶさ36号)

22:04                   東京駅着

 

 

2.参加資格:  外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:  1人13,000円(全行程交通費、食事を含む)

*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:  15名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。

*申し込み人数が15名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当:於保(おぼ) 清見(TEL: 03-3501-3405

 

6.備考:

(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。        

(2)FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

 

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