プレスツアー(案内)

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実施日 : 2015年12月07日 - 08日

案内:三重県プレスツアー

投稿日 : 2015年11月17日

-現代に伝える忍者の文化-
-特色ある農業ビジネスに挑む経営者たち-

 

 

伊賀流忍者博物館(2)三重県西部の伊賀市と名張市は「忍者の里」と称されている。この地域は険しい山々があり、人目を忍んで活動しなければならなかった忍者の心身の鍛錬に適していたため、優秀な「伊賀忍者」を多く生んだという説がある。アニメや漫画の人気による影響もあり、忍者の本場を訪ねようと海外からの観光客も多い。また、伊賀市は三重大学などと協力し、同学で忍者を学術的に研究する「忍者学」の市民講座を設けるなど、世界的な人気を誇る忍者を活用した地域活性化に取り組んでおり、忍者の知恵を現代にも活かそうとする動きも活発化している。

 

DSC_0073また、農業が盛んなこの地域では、独自の戦略を持ち、安心・安全な野菜や加工品の生産・販売で、着実に売り上げを伸ばし、雇用の促進や地域の活性化に貢献する活動も生まれている。県中部に位置する松阪市にも、先進的な設備で環境に配慮しながら効率的にミニトマトを生産し、従来の農業に風穴を開けようとしている企業がある。

 

来年、伊勢志摩サミットの開催を控える三重県。本ツアーは三重県の様々な地域の魅力を探るツアーの第一弾として、忍者の里を訪れ、現代にも活かせる忍者の文化を取材する。また、様々な社会的課題と向き合い、特色ある農業ビジネスに取り組む経営者たちの挑戦を取材する。

 

※本プレスツアーは、伊勢志摩サミット三重県民会議が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。
※本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

 

 

<取材内容> 

伊賀流忍者博物館(3)

 

1. 現代に伝える忍者の文化
一般社団法人 伊賀上野観光協会 専務理事 稲垣 八尺(いながき やさか)氏
三重大学 教授 山田 雄司(やまだ ゆうじ)氏
三重大学 名誉教授 久松 眞(ひさまつ まこと)氏
伴家忍之傳研究所(ばんけしのびのでんけんきゅうじょ) 清本 泰志(きよもと やすし)氏

 

伊賀流忍者博物館(1)

アニメや漫画の影響で、飛ぶ、跳ねる、手裏剣を投げるといった派手なアクションのイメージが強い忍者だが、実際は読んで字のごとく、人目を忍んで活動していたいわゆるスパイ。南北朝時代から江戸時代の14-19世紀にかけて活躍していたと考えられており、伊賀、名張から多くの忍者が生まれたことで知られる。伊賀流忍者博物館は、伊賀上野観光協会が運営し、忍者屋敷での仕掛け、からくりの紹介、手裏剣などの武器や道具の展示等を通じ、忍者の姿を現代に伝えている。忍者屋敷は一見、普通の家屋だが、敵から身を守るため、抜け道があったり、床下に武器が隠されているといった様々な仕掛けが施してある。この屋敷は、伊賀の山間にあった建物を移築復元したもので、伊賀・甲賀(滋賀県)一帯にはこうした民家が点在していたとされる。伊賀上野観光協会はまた、最後の忍者といわれる川上仁一(かわかみ じんいち)名誉館長や弟子の清本氏を指導者に迎えて一般向けの修行コースを昨年企画し、これまでに約90人が参加している。参加者に修行を通して忍者の強い精神力、情報収集・分析力等を身に着けさせ、現代にも活かせる忍者の知恵を伝えている。また、忍者の携帯食である兵糧丸(ひょうろうがん)はもち米、うるち米、ハスの実、長芋、シナモン、ハトムギ、高麗人参、砂糖からできており、滋養強壮、疲労回復、リラックス効果があるとされている。三重大学の久松名誉教授は、「忍者の食の知恵は、現代のストレス社会や災害時の非常食として活用できるのでは」としている。

 

伊賀流忍者博物館にて、忍者とその食の知恵について説明を受ける。その後、忍者屋敷の仕掛けを使ったパフォーマンスと清本氏の忍術を見学する。最後に忍者伝承館を視察する。

 

 

 

2. 特色ある農業ビジネスに挑む経営者たち

 

(1)農業の6次産業化の成功例
株式会社伊賀の里モクモク手づくりファーム  代表 松尾 尚之(まつお なおゆき)氏

 

DSC_0035モクモク手づくりファームは今年開園20周年を迎えた食と農の体験施設。野菜、ハム、パン、地ビールなどの生産・販売に加え、それらを提供するレストラン、ウインナーなどの手づくり体験施設、温泉が備わった宿泊施設も有している。来場者は年間50万人。東京、名古屋、大阪にもレストランや直営店があり、年間の総売上高は50億円にのぼる。開業当初より生産から加工、販売まで行ってきた同社は、いわゆる農業の6次産業化に成功した代表例とされている。近年はその運営ノウハウを活かし、国内外でコンサルティング事業を行っている。同社がコンサルティングを手がけた施設が新潟市と中国でオープンしており、韓国でも2016年春に新たな施設がオープンする予定だ。
DSC_003220年前、地元の畜産農家18人が集まり、たった一つの建物でウインナーづくりを体験できる施設として始まった事業が、生産者と消費者が交流できる場としてファンを増やし続け、今では東京ドーム3個分、約14ヘクタールの面積の施設に成長を遂げた。スタッフは約1,000人で平均年齢は35歳。8割以上が三重県内出身者で、地域の雇用も創出している。

 

モクモク手づくりファームにて昼食をとり、同社の事業に関するブリーフィングの後、ハムやウィンナーの製造現場を視察する。

 

 

DSC_0074(2) 女性経営者が進める「農福連携」
株式会社アグリー 代表取締役 井上 早織(いのうえ さおり)氏

 

㈱アグリーが運営する名張市の「アグリー農園」では、2,437平方メートルの敷地内のハウスで、小松菜やベビーリーフなどを水耕栽培している。できるだけ農薬は使わず、安心・安全な野菜を販売している。また、障がい者が農業の担い手となることで、障がい者の働く場を増やすと共に、農業人口の不足を補う「農福連携」という農業と福祉を連携させる取組を積極的に進めている。
指揮をとるのは、大阪から移住し、名張市で4年前に起業した井上氏。農業も経営も未経験、資金不足や女性であるがゆえの数々の逆境を乗り越え、3年で黒字化を達成した。今年9月の決算では、津市にある農場も含めて、同社の売上高は年間7,200万円を記録した。
働き手約30人のうち、約半数は障がい者。雇用契約を締結せずに、障がい者に就労機会を提供し、作業の対価として工賃を支払う法律にのっとった取組だ。名張市は名張市障害者アグリ雇用推進協議会を設け、「農福連携」を推進してきた代表的な自治体の一つで、井上氏も同協議会と連携しながら事業を進めてきた。井上氏が障がい者の受け入れを始めたのは、近隣の伊賀つばさ学園という特別支援学校の農場視察を受け入れたことがきっかけだった。

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障がい者に農場で活躍してもらうことが、自身を農家として受け入れてくれた名張への恩返しだと感じ、様々な工夫を凝らした。農場には通常ないトイレや更衣室を設け、働く環境を整えることから始まり、一人ひとりがその日やるべき作業が一目でわかる作業分担表をホワイトボードにまとめた。これにより、次の作業を聞きに来る障がい者がいなくなった。自分で考える力を養うことにつながったのでは、と井上氏はいう。井上氏は、農業を通じて、障害の有無の関係なく働くことができる共働コミュニティー作りを目指している。

 

アグリー農園を訪れ、井上氏より「農福連携」の取組について説明を受けた後、農園での作業の現場を取材する。

 

 

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(3)きのこ生産で地域を元気に~高齢化が進むコミュニティーの挑戦~
木の子の里・錦生(にしきお)事業協議会 会長 冨山 修(とみやま おさむ)氏(69)

 

名張市錦生地区の木の子の里・錦生生産センターでは、廃校となった小学校を活用し、定年退職を迎えた地元の人々が中心となってシメジ、シイタケ、キクラゲ等のきのこの生産、販売を行っている。また、地域の家庭35軒で栽培しているきのこも同センターで買い取っている。同センターの主な取引先は市内の生鮮野菜売り場、レストラン、ホテルなどで、昨年の売り上げは300万円だった。
3年前、高齢化が進む同地区を元気にするための試みとして、コミュニティービジネスを興したいと考えたのが、錦生地区の自治協議会長も務める冨山氏と同年代の仲間15人。シメジの菌床(きのこの菌が植えつけられ、養分も添加された培地)を購入し、自宅でそれぞれが育てた。全員きのこ栽培に関しては未経験で、全てが手さぐりだった。シメジ栽培を選んだのは、隣の赤目(あかめ)地区が有名なマツタケの産地だったことにちなんだ。

kids and shimeji

廃校となった小学校の給食棟を400万円かけて改修し、シメジが育つために必要な一定の温度と湿度を保てる設備を整えたのは昨年のことで、自宅で育てていたシメジが全く収穫できなかった2年目の教訓を活かしてのことだ。この事業は名張市や国からの助成金に頼っているが、冨山氏は、将来的には事業収益のみで運営し、従業員を増やして雇用も生み出すことで、地域全体を巻き込んだ事業にしたいと考えている。公民館では定期的に研修会を開き、各家庭で商品になるきのこを少しでも多く育ててもらえるようにしている。「自分たちのきのこをおいしいと言ってもらえるとやっぱり嬉しい」と、生産者の声にもハリが生まれている。

木の子の里・錦生生産センターを訪れ、冨山氏の案内で地域活性化のために運営するきのこ生産・販売の現場を取材する。

 

 

(4)県内企業がタッグを組み、環境に優しく、先進的な設備で育てるミニトマト
工場内画像うれし野アグリ株式会社 代表取締役 辻 保彦(つじ やすひこ)氏
浅井 雄一郎(あさい ゆういちろう)氏

 

うれし野アグリ㈱は、東海地域最大規模の栽培面積約2万平方メートルのハウスで、ミニトマトの水耕栽培をしている。昨年9月にスタートした同事業は、農業・地域・企業が手を結ぶ新しい農業の形であり、食品加工技術をもつ辻製油㈱、トマトや緑化樹を生産・販売する㈱浅井農園、経営管理のノウハウを持ち、海外展開を目指す三井物産㈱の3社による合弁会社である。木質バイオマス工場でつくられた蒸気エネルギーを利用する辻製油の植物油脂製造工場では、その余剰エネルギーの活用法はないかと考えていたところ、省エネルギー型施設園芸事業にたどり着いた。1千平方メートルの収穫量が国内平均の3倍を上回る25トンのミニトマトを収穫でき

作業画像

る背景には、オランダから輸入した先進的なシステムをベースにした独自の栽培システムへの変換がある。ハウス内の環境をコンピューターで制御し、ミニトマトの生育に適した環境を整えている。また、ミニトマトは約15メートルの長さまで成長するため、収穫する位置が高くなり続ける問題が発生する。そこで、作業者の負担を軽減させるため、糸を使って茎の下部を横に這わせるように調節し、いつでも同じ高さで収穫できる作業環境を整えた。使用エネルギーは、辻製油から供給される蒸気でまかなうことができ、環境に配慮した大規模施設でのトマト栽培が実現している。また、地域の高齢者や主婦など約50人が働いており、雇用の創出にも貢献している。現在、生産量は約400トンで、海外への販路拡大も視野に入れている。

 

うれし野アグリにて、辻代表取締役より、事業の概要についてブリーフィングを受けた後、浅井氏の案内で、ガラス越しにミニトマト栽培の様子を取材する。

 

鈴木知事写真

 

 

 

3. 三重県知事インタビュー
三重県知事 鈴木 英敬(すずき えいけい)氏

 

鈴木知事は2011年に初当選し、現在2期目を務めている。現在41歳。全国最年少の知事で、2012年には育休を取得したことでも話題となった。
来年5月の伊勢志摩サミット開催を受け、三重県は、同県の魅力を世界に発信し、全県を挙げて取り組むため、官民一体となって構成する「伊勢志摩サミット三重県民会議」を立ち上げた。「開催支援」、「おもてなし」、「明日へつなぐ」、「三重の発信」の4つの柱に基づき、スピード感をもって必要な取組を展開している。

 

三重県知事に来年開催の伊勢志摩サミットへの意気込み等を聞く。

 

 

 

<実施要領>
1. 日程: 2015年12月7(月)-8日(火)

 

1日目
8:37-10:12   新幹線のぞみ17号 品川→名古屋
12:15-14:30 モクモク手づくりファーム(昼食含む)
15:00-17:00 伊賀流忍者博物館
17:45-19:15 夕食懇談
19:30頃        ホテル着(名張市内泊)

 

2日目
8:30             ホテル発→移動
9:00-10:30   アグリー農園
11:10-12:15  木の子の里・錦生生産センター
12:30-13:15  昼食
14:30-16:00  うれし野アグリ
16:45-17:45  三重県知事インタビュー(三重県庁)
19:32-21:13  新幹線のぞみ48号 名古屋→東京
(※上記は仮日程です。若干の変更が生じる可能性があります。)

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用: 1人13,000円(全行程交通費、昼食代を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当: 横田(TEL: 03-3501-3405)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)FPCJおよび三重県はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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